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【W/S】―世界終焉の物語は学園生活とともに―  作者: 灰土おやつ
巡礼の支度 想造育成機関_アトモス学園
19/72

16.いよいよ今日から

 悪夢を見ることの無かった翌朝、その寝覚めは非常に良好だった。

 ベッドから上体を起こし、ぐっと両腕を上げて伸びをする。

 カーテンを開いて外を見やると、今日も快晴の青空が広がっていた。

 気持ちの良い朝だ。

 壁に掛かった時計は七時十五分を指している。まだ朝食には早いけれど、準備はしておくとしよう。

 さっさと着替えなど身支度を済ませ、テレビを付ける。実家でもこの時間はニュースを見ながらの朝食だったので、習慣というやつだ。


『……昨日、アトモス学園にて記念すべき第百回目となる入学式が行われ、新人イマジネーター五十名が式に臨みました。毎年多くの若者が憧れ、その夢を叶えるか或いは破れるか、人生の岐路とも言えるイマジネーターへの道。今や当事者の若者だけでなく、我々大人にとっても大きな注目を集める行事と言ってもよいでしょう。しかしながら、今年はこの入学式において異常が発生したようです。なんと、まさに入学式の当日、敷地内に魔物が出現したというのです……』


 昨日の出来事は、ニュースにも取り上げられる事態になっていた。ただ、幸いにして新入生が魔物を倒したなんていう話は出てこなくてホッとする。

 プライバシー的に無いとは思うが、勝手に名前を出されてこの子ですとか報道されたら怖いものな。

 ……しかし、今じゃテレビも当たり前の時代だが、昔はニュースペーパーが情報を仕入れる主流だったという。

 科学の技術革新によって、こういう便利な製品が発明され、それを早くから享受できるオレたちは恵まれているのだろう。

 何でも、ほとんどの機械製品は『コードリオン』と呼ばれる特殊な魔石が用いられているのだとか。詳しい仕組みは専門外だが、この魔石の発見を機に科学技術は発展していくことになったようだ。ブースターにもコードリオンは使われているし、このテレビだってそう。恐らくは、腕のデバイスにだってコードリオンが組み込まれているはず。

 古くは魔法を便利に使って生活してきた人類も、現代では科学による恩恵の方が大きくなった。魔法なんて使わない、使えないという人が増えるのもまあ、無理はない話だよな。


 ――と、柄にもないこと考えちまった。


 ぼんやりニュースを見ていると、もう時刻は八時前になっていた。

 座っていた椅子から腰を上げ、オレは部屋を出て食堂に向かった。


 朝が弱い新入生が多いのか、五分前くらいだったのだが昨夜よりも集まりは悪い。

 食堂内を見回すと、とりあえずイオナは座っていたので、同じテーブルに着かせてもらうことにした。


「おはよう、イオナ」

「うん、おはようー。よく寝れた?」

「ああ。悪い夢も見なかったよ」

「そっか。それは良かった」


 イオナはにこりと微笑んでくれる。これが妹だったら、まだ悪い夢なんて見ちゃうの? なんて煽られるから新鮮だ。

 妹も悪いヤツじゃない、ただちょっと反抗期なだけなんだがなあ……もうちょっと兄に優しい態度をとってくれても。


「はー、間に合った!」


 ルカもギリギリでやって来て、オレの隣に座る。昨日とはイオナとルカの位置が入れ替わった形だ。

 何か、少しだけルカがニヤリと笑ったのは気のせいか? 間に合って良かったという笑みかもしれないが。


「皆おはよう! さあさ、朝食を取りに来て」


 ナオさんとルトさんは今日も溌溂だ。テキパキと朝食プレートを並べていき、新入生はそれを受け取っていく。

 朝はベーコンエッグにポテトサラダ、バターたっぷりのトースト二切れ。それに新鮮なオレンジジュースといったメニューだった。

 シンプルながら、いくらでも食べられそうな絶妙の味付け。朝はあまり食が進まない方なのだが、それでもこれはペロリと完食出来た。

 今日は間違いなく体を動かすことになるし、エネルギーはしっかり補給しておかなくては。

 ほぼ全員が朝食を平らげたところで、食堂内に放送の音が鳴る。


『新入生の皆さん、おはようございます。メルシオネです。この後午前九時より、演習場にてブースターの説明を行いますので、遅れないよう集合してください』


 簡潔な説明だけを終えると、そのまま放送は切れた。


「九時か……あと三十分だな」

「余裕はあるけど、早めに行っちゃおうよ。他にやることもないし」

「ああ、そうするか」


 ルカの提案に、オレもイオナも異存は無かった。

 プレートを返却コーナーに返してから、オレたちはすぐ寮を出て、演習場へと向かう。他の生徒も大体同じような動きだ。

 演習場には予定の二十分前に到着した。オレたち以降も生徒は疎らにやって来て、十分が経つ頃には恐らく全員になった。

 その辺りでメルシオネ教官も到着し、生徒の数を数えると満足げに頷いた。全員いる、ということだろう。

 彼は軽く咳払いをして、注目するよう促してから口を開いた。


「どうも皆さん、定刻より早めに集まっていただいてありがとうございます。せっかくなので、少し早めに始めるとしましょうか」


 ……いよいよイマジネーターとしての講義が始まる。

 早く色々なことを覚えていきたいと逸る気持ちはあるが……なるべく落ち着きを持って、着実に進んでいかないとな。

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