まさかの……(N駅、K駅間)
電車の揺れは気持ちいい。つい、うとうとしてしまう。
疲れている時は、立っていてもうとうとできる。そして、膝がカクン! となり目が覚める。
高校一年の後半くらいから、普通電車以外にも乗れるようになった。快速や新快速がどの駅に停車するのか、理解できるようになったからだ。
〝電車乗る人あるある〟の一つだと思うのだが、それぞれに乗る車両が決まっていたりする。
この車両の前から二番目の扉が、階段に一番近いとか。この車両はだいたい空いてるとか。
当時の私にも決まった車両があった。
なぜだかわからないけれど、先頭車両。別に階段が近いわけではないし、空いているということもなかったと思う。
そして、電車が好きというわけではないのに、運転席の後ろにへばりつくように立っていた。
あの日もそうだった。学校からの帰りの電車での出来事である。私は例のごとく、先頭車両の運転席の後ろに落ち着いていた。私の隣に四十代くらいの男性、その隣には二十代くらいの男性が立っていた。
三人とも進行方向に向いて立っていた。
二十代男性は立ったまま爆睡していた。うとうとではなく、遠目にも爆睡だとわかった。
私は一旦気になることがあると、その動向が気になって仕方ないたちである。この時は二十代男性の爆睡が気になって仕方なかった。
ちらちらと横目で見ていた。その時、
二十代男性が突然横に倒れてきたのだ! 横から飛び蹴りされて倒れるような感じ。
人というのは優しいものである。何と横に倒れてきた男性を四十代男性と私が瞬時に支えた。
見知らぬ人なのに。彼が床に倒れ込むのを、男性と私は防いだのだ。
男性はすぐさま目を覚まし「すいません」と言ったものの体勢を立て直すと、また寝始めた。
今度いつ倒れてくるか……ヒヤヒヤしていたのは、私だけではないはずだ。
早く駅に着いてくれ、とあの日ほど切に願った日はない。




