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秘密の彼氏  作者: 夢遥
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9/10

秘密の彼氏

蒼馬のドラマのセリフ合わせの練習に付き合った優愛だったが、台本には載っていないキスシーンを、突然、蒼馬にされて傷つく優愛だったけどー!?


 蒼馬君に、あんなことされた以来、逢わない日が続いて一週間が経とうとしていた。


 蒼士君から、蒼馬君が謝っていたことを聞いたけど、蒼馬君からのメールは音沙汰なし。


 蒼士君から聞いた話では、今、やっているドラマの他に、新番組のドラマの出演も決まって、忙しいみたいだとは聞いた。


 お昼休み。お弁当を食べて、一息ついていたら、美緒が心配な顔で教室に入ってきた。


「美緒、どうしたの?」

「蒼士君が、あたしをかばって足を怪我しちゃって……」

 美緒は、泣きそうな顔であたしを見た。

「えっ、どうしてそんなことに……」


 話を聞くと、この前、あたしに言いがかりをつけてきた隣のクラスの子達が、今度は、美緒に被害があったらしい。


 あたしより、酷いめに遭いそうになったらしく、ちょうど、蒼士君が止めに入った時に足を怪我したらしい。


「優愛ー。どうしよう……。あたしのせいだ」

 美緒は、自分を責めた。

「美緒のせいじゃないよ。蒼士君が助けたいって思ったから、助けたんだし……」


 あたしの時だって、そうだった。倉庫に閉じ込められたあたしを助けに来てくれたのは、蒼士君だった。


 クールに見えて、優しいところもあるんだよね……。


 何だか、心配になってトイレに行く振りをして、保健室に様子を見に行った。


「失礼しまーす」

 あたしは、ノックをしてから保健室に入って行った。


 保健室の先生は、いないみたいで、シーンとしていた。


 蒼士君はというと、カーテンの隙間からベッドに寝ているが見えた。


 ケガしたのは足だけだし、寝ていないと思っていたあたしは、慌ててカーテンを開けた。


「蒼士君ー!?」


 美緒の話では、足をケガしたって言っていたけど、まさか、他の所もケガしているんじゃー!?


「んー。西本……?」

 蒼士君は、眠そうにあたしの方を振り向いた。


 何だー。眠っていただけかぁー。


 あたしは、ほっとさせると、蒼士君を見た。

「どうした?」

「み、美緒から、蒼士君がケガしたって聞いたものだから……」

「高野も大げさだなー。ちょっと、足をくじいただけなのに」

 そう言って、蒼士君がケガした足の方を見せた。

「美緒が、血相かえてたから、捻挫して動けないのかと思ったぁー」

 あたしは、ほっと胸をなで下ろした。

「へぇー。そんなに心配してくれてたんだ?」

「べ、別に。友達として、美緒が泣いている顔を見たくないだけだから!」


 何だか、いつになくむきになってしまう。


「とにかく、もうすぐ、授業が始まるし。美緒に心配させないためにも、授業に出た……」

 あたしが、続きを言おうとした時だった。


 いきなり、蒼士君が、あたしの腕を掴むと、グイッと引き寄せられた。


「……!!」


 蒼士君の腕の中で、寝るような形になって、慌てて離れようとしたけど、びくともしない。

 どうしたの?蒼士君……。


 家に遊びに行った時もおかしかったけど、今日もこんなこと突然するなんて……。


 その時、ガラッとドアが開いて、保健室の先生が入ってきた。


 蒼士君の手が緩んだ隙に、あたしは慌てて離れる。


「あら。まだ、いたの?ケガも酷くないんだし、次の授業は出なさいよ」

 先生が、ガラッとカーテンを開けた。


「はいはい」

「返事は、1回!」

 先生は、軽く蒼士君を睨んだ。


 あたしと蒼士君は、保健室を出ると、美緒が保健室の前に立っていた。


「美緒ー」

 あたしは、ドキッとする。


 まさか、蒼士君と抱き合っていたとこ、見られていたんじゃー!?


「や……やだなぁー。どうしたの?こんな所でー。中に入ればよかったのに……」

 あたしは、

やっとの思いで話かけた。

「今、来たとこだったんだけど、入ろうと思っていたら、急に2人が出てきたから、びっくりしちゃったー」

「そ、そうなんだ?あたしは、頭痛の薬を貰いに来たんだけど、授業が始まるからって、先生に追い出されちゃって」

 何だか、後ろめたくて、嘘をついてしまった。

「蒼士君も?」

 美緒は、心配そうに言う。

「足をくじいただけだから、仕方がないよ」

 蒼士君は、少し、足を引きずりながら、ケロッとした顔で言った。


「ごめんね、蒼士君ー。あたしのせいで……」

 美緒は、しおらしく謝ると、

「蒼士君の足が治るまで、変わりにあたしがサポートするね!」

 と、蒼士君の横に立つと、身体を支えてあげた。


 2人の姿を見て、キュッと胸が締め付けられる。


「あ、あたし……。先に行ってるね」

 あたしは、2人に背を向けながら言うと、教室へ戻った。



 まだ、2人でいるところを見るのも辛いのに、どうして、あたしのこと抱き締めたりするのー?

あたしには、蒼馬君がいるって知っているのに……。


 あたしは、複雑な気持ちで、携帯を取り出した。


 こんな時は、蒼馬君に電話しよう。


 蒼馬君の声を聴いたら、蒼士君のことなんて忘れられるよね?


しばらく、逢わない日も続いているから、余計に心が乱れるのかも。


 そう思って、電話をしても、蒼馬君は出ることはなかった。

 忙しいみたいだって、蒼士君が言っていたし、電話に出られないのもおかしくない。




 その日の夜。美緒から携帯に電話がかかってきた。


「優愛!テレビ観た?」

 電話の向こうで、美緒は慌てた声で言った。

「まだ、観てないけど……」


「観てないならいいの……。じゃあね」


 さっきまで、慌てた様子だったのに、いきなり美緒に電話を切られて、不審に思ったあたしは、テレビのスイッチをつけた。


「泉ちゃんと熱愛発覚した蒼士君ですが……」


 テレビに映っていたのは、帽子とサングラスで隠した蒼馬君が、マスコミに追われながら、車に乗るところだった。


「……」

 泉ちゃんって、ドラマの共演で一緒だった子だよね……。


 ショックなはずなのに、どうしてだろう、平気な顔でテレビを観ている自分がいたー。

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