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秘密の彼氏  作者: 夢遥
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10/10

秘密の彼氏

蒼馬が人気女優と熱愛発覚を知った優愛。

 でも、ショックなはずなのに平気な顔で週刊誌の記事を見る自分がいてー!?


 優愛、美緒、蒼士、蒼馬の四角関係(?)は、どうなるのか?

 翌日、週刊誌にも蒼馬君の話題で埋め尽くされていた。


 夜の公園で、2人で歩いているところや、2人がキスをしている姿が、大きくスクープされていた。


「優愛ー。大丈夫?」

 美緒が、雑誌を机に置くと、心配そうにあたしを見る。

「うん、大丈夫。それより、美緒の方がー」


 朝、美緒が学校へ来るなり、蒼馬君ファンの子達に、


『美緒と付き合っているより、泉ちゃんの方がいいに決まってる』

 とか、陰口をたたかれているのを聞いた。


「噂されても仕方がないよ。スクープされたのは、蒼士君だと思っているんだしー」

 美緒は、苦笑いをすると、蒼士君の机を見た。


「蒼士君。まだ、来てないね……」

「蒼馬君のこととはいえ、さすがに今日は、学校に来るのも大変じゃないのかな?また、正門の所にマスコミもいたし……」

 あたしは、チラッと外を見る。


「あたし、蒼士君にメールしてみる」

 美緒は、鞄から携帯を取り出した。


 あたしも、蒼士君のメアドを知っていれば、メールしたい。いくら、蒼馬君に熱愛が発覚しても、今はまだ、あたしは蒼馬君の彼女ー。


 その時、あたしの携帯からメールの着信音が鳴り響いた。


 あたしは、携帯の画面を覗き込む。


『突然ごめん。話があるから、今から、旧校舎に来てくれないかー?』


 誰からの、メールだろうと思っていたけど、文の終わりには、蒼士君の名前がー!


「メール。蒼馬君から?」

 美緒は、メールの送信が終わると、あたしを見た。

「う、うんー。ちょっと、電話してくるね」

 あたしは、席を立つと、急いで教室を出た。


 話って何だろう……。

 それに、メアドも教えてないのに、どうして知っているの?



 外へ出ると、誰にも見つからないように、立ち入り禁止の旧校舎の建物の中へ入って行く。


「蒼士君ー?」


 しーんと静まり返った廊下に、あたしの声が響き渡る。


 まだ、昼間だというのに、校舎の中は、ひんやりしていて、何か出てきそうな感じだ。


 本当に、ここに蒼士君がいるのかなー?


 あたしは、身震いしながら、廊下を進んで行った。


 奥まで進んで行くと、カタッと後ろで物音がした。


「そ……蒼士君。そこに、いるの?」


 あたしは、音がした方へ歩いて行こうとしたその時、急に肩を掴まられて、あたしは、悲鳴をあげてしまった。


「キャッー!!」

 あたしは、恐怖のあまり、そこから逃げようとした。


「西本!待てよ。俺だよ、俺」

 相手の顔を見ると、蒼士君が慌てた様子で、あたしの顔を覗き込んだ。


「蒼士君……」

 あたしは、へなへなと床に座り込んだ。

「ごめん。驚かせてー」

「本当だよ。心臓が止まるかと思ったんだからね!」

 あたしは、唇を尖らせた。

「ごめんごめん。でも、西本の驚きようって言ったらー。プッ」

 蒼士君は、いきなり笑いだした。

「もぅー!笑うことないでしょ」

 あたしは、ふぐみたいに頬を膨らませながら、

「それより、どうして、あたしのメアド知ってるの?」

 不思議そうに、蒼士君を見た。

「前に、蒼馬に教えてもらったんだ」

「何だ。そうだったんだー。で、話って?」


「蒼馬のことなんだけど、何か連絡あったか?」

「ううん。ないけどー」

 あたしは、小さく左右に首を振った。

「てっきり、蒼馬の帰りが遅いのは、仕事が忙しいからだって思ってたのに、浮気しているなんて……。西本のこと、どうするつもりだろう」

 蒼士君は、キュッと唇を噛み締めた。

「そんなに心配しなくても、あたしは、大丈夫だからー。蒼士君のほうこそ蒼馬君に間違われて、マスコミに追いかけられたりして大変じゃないの?」

「俺の方は大丈夫。今日も何とか見つからずにここまで来れたし」

 蒼士君は、苦笑いしてから、急に真剣な顔であたしを見た。

「西本ー」

 蒼士君は、急にあたしを抱き締めた。   

 でも、抱き締められた拍子に、バランスを崩して床に倒れてしまった。


 バターン!!

 あたしは、慌てて起き上がろうとしたけど、今の状況にドキッとした。


 だって、蒼士君があたしの上に乗っている状態だったからー。


 あたしの心臓の音が大きくなる。


「蒼馬に浮気されるくらいなら、西本のこと渡さなければよかった……」

 蒼士君は、ポツリと呟いた。

「えっ……」

 蒼士君の言葉に、あたしは息を呑んだ。


 それって、どういうこと?


 あたしは、蒼士君を見つめた。


「俺ー。何、言ってるんだろ……。ごめん。今、言ったこと忘れて……」

 蒼士君は、あたしから離れようとした。

「忘れてって言われても……。気になるよー」

 あたしは、蒼士君の袖を掴む。


 あたしが、真剣な顔で言ったものだから、蒼士君は小さな溜め息をついた。


「蒼馬には秘密にしていたけど、俺、本当は、西本のことが好きなんだ!」

「……!!」

 蒼士君の告白に、あたしの心臓の鼓動が一段と速くなる。


「で、でも……。蒼士君は、美緒の彼氏だよ?み、美緒のこと好きじゃないのに付き合ってたの……?」

 あたしは、しどろもどろに言う。

「高野のことは、嫌いじゃないー。でも、西本に対する恋愛感情とは違うんだ」

「なっ、何言ってるのー?それじゃ、美緒が可哀想だよ!」

 あたしは、声を荒立てた。

「毎日、一生懸命に弁当を作ってくる高野が、いじらしくて……。告白されて、ついオーケーしたのもあるんだけど、本当は……」

「本当はー?」

 あたしは、蒼士君を見つめた。

「俺といると、西本がまた、あいつらに酷いめにあわされるんじゃないかと思ってさ」

「だから……、美緒と付き合うことにしたの?」


 蒼士君は、大きく頷いた。


「それに、西本だって、蒼馬に告られて、まんざらでもなさそうだったしー」

「……」


 確かに、始めは蒼馬君に告白されて、嬉しい気持ちもあった。

 でも、あたしが蒼士君のことを好きって気づいたときには、美緒も蒼士君のことが好きだって打ち明けられた。


だから、諦めようと、蒼馬君と付き合うことにしたのに、今更、そんなこと言うなんてずるいよー。


 あたしの胸がキュンと締め付けられる。


 蒼士君に告白されて、あたしは、つい自分の気持ちを打ち明けてしまう。


 あたしの気持ちを知った蒼士君は、最初は驚いていたけど、嬉しそうにあたしを抱き締める。


「西本ー」

 蒼士君は、あたしの顔を覗き込んだ。


 そして、あたし達は、2度目のキスをした。

 その時、ガタンと物音がして、あたしと蒼士君は、身体を離した。


「美緒……」

 振り向くと、青ざめた顔で美緒が立っていた。

「ご……ごめん。優愛が遅いから、捜していたら、旧校舎に入る優愛を見たって言う子がいたから……」

 美緒は、その後の言葉が、続かない様子だった。

「あ、あのね。美緒……」

 あたしと蒼士君は、自分の気持ちを美緒に打ち明けた。


「やっぱり……」

 美緒は、悲しそうに唇を噛み締めた。

「実は、保健室で2人が抱き合っているところ見てたの……」

「……!!」


 やっぱり、あの時、見てたんだー!?


「それに、あたしと付き合っていても、いつも、蒼士君は優愛のこと気にしているみたいだったから、半信半疑だったけど、そうなんじゃないかなって、思ってた……」

 美緒の目に涙が溢れた。


「ごめん、美緒……」

「あたしの方こそごめんー。優愛と蒼士君の気持ちも知らないで」


 今度は、あたしと美緒が抱き合って2人で大泣きしてしまった。


 何分経っただろうー。


 あたし達は、いっぱい泣いて、やっと落ち着いた頃、美緒が口を開いた。


「蒼士君。今まで、ありがとう……」

 美緒は、手で涙を拭いながら笑顔を見せた。

「高野……」

 蒼士君は、すまなさそうに美緒を見た。


「やだなぁー。そんな顔しないでよ!このまま付き合っていても、あたしも惨めな想いするしー」

 美緒は、寂しそうに苦笑いする。


 美緒が、あたし達のこと許してくれたー。

 でも、問題は連絡がつかない蒼馬君の方だ。 雑誌では、泉ちゃんとキスしているところが、載っていたし、付き合っているのかも知れない。


 もし、そうだとしたら、あたしや蒼士君にとっても、蒼馬君には悪いけど、蒼士君と付き合えるチャンスだ。


 そんなことを考えていたら、あたしの気持ちを知ってか知らぬか、蒼士君が真顔で、

「あとは、蒼馬のことだけど、西本のこと、どんなふうに想っているのか聞いてみるよ」

 と、言った。

「うん……」

 あたしは、心配そうに小さく頷いた。




 そして、蒼馬君に聞いてみると言った日から、6日目の朝のことだった。


 旧校舎で逢った以来、蒼士君は学校に登校していないので、まだ、蒼馬君のことは、わからないままでいた。


「優愛!大変だよ」

 あたしが、学校に登校してくるなり、美緒が雑誌を広げたまま、慌ててあたしの目の前に見せた。

「そんなに、慌ててどうしたの?」

 あたしは、呑気な顔で、雑誌を見る。


見出しには、

蒼馬君のことが書いてあった。

 よく読んでみると、実は双子の兄がいた!とか書いてある。


 おまけに、どこかのマンションの入り口で、蒼士君が、蒼馬君に会いに行ったところの写真まで載っていた。


「とうとう、ばれちゃったんだー」

 あたしは、ボソッと呟いた。

「これだけならいいんだけと、下も見て」

 美緒に言われて、下のほうの記事にも目をやった。


「何、これ……」


 記事には、蒼馬の歌声は、実は兄の蒼士だった!ファンを騙していた人気俳優と書いてあった。


「2人とも大丈夫かなー?」

 美緒が、心配そうに雑誌の記事を見つめた。


 あたしも心配で、蒼士君にメールを送ったけど、返事が返ってこないまま、2、3日経ってしまった。


「はぁー」

 2時間目の移動教室が終わって、教室に戻ってくるなり、あたしは、大きな溜め息をついた。

「どうしたの。優愛?今日は朝から、元気ないよ」

 美緒が、あたしの肩をポンと叩いた。

「だって、あれから随分、経つのにー。蒼士君からは音沙汰なしなんだもん」 あたしは、また溜め息をついた。

「ふーん。音沙汰なしねー。そうかなー?」

 美緒が、意味ありげに言う。

「そうかなって……。どういう意味ー」

 あたしが、話ていた時だった。


 急に後ろから、誰かに腕を掴まれて、連れて行かれた。


「な、何するのよー!」

 あたしは、ムスッとしながら、相手を見上げた。


「蒼士君……」

 相手は、蒼士君だったからびっくりだ。


「ねえねえ、蒼士君!双子の弟がいたんだね」


 廊下にいた子達が、あたし達の周りに集まってきた。


「弟の方が芸能人だったんだね!」

「ドラマのエンディングは、蒼士君が歌ってたんだ?顔が同じだから、騙されちゃったなー」

 みんな言いたい放題だ。


「みんな、これには訳が……」

 蒼士君を助けようとした時、

「行くぞ、西本!」

 蒼士君が、あたしの手を引っ張って歩き出した。


「いいの?みんなに説明しなくて……」

「ほっとけよ……」

 そう言って、蒼士君は誰もいない旧校舎まで来ると、急に立ち止まった。


「急に、学校に来てマスコミの方は大丈夫なの?」

 あたしは、心配そうに蒼士君を見た。

「見つからないように来たから大丈夫だよ。それより、メールの返信できなくてごめん!」

「ううんー。蒼士君も大変だったんだし……」

 あたしは、小さく左右に首を振った。


「……蒼馬から、伝言があるんだ」

「……」

「今日、学校が終わったら、ここの場所に来てほしいって」

 蒼士君は、1枚のメモをあたしに渡した。


 そこには、住所と地図が書いてあった。


「今、家にもマスコミが待ち伏せしてるし、蒼馬も隠れるのに焦ってて、俺が訪ねたマンションにはもう、いないんだー」

「でも、あたしが行って、また、写真を撮られたらー」

 あたしは、不安そうな顔をした。

「それは、多分、大丈夫だと思うよ……」


 蒼士君が、あたしをギュッと抱き締めた。


「蒼馬の所に独りで行かせるのは、気が進まないけど気をつけろよー」

「うん……」

 あたしは、蒼士君の胸に顔をうずめた。




 そして、学校の帰り、メモに書いてある地図を便りに、蒼馬君がいる場所へ。


 何分か歩いて、やっと目的の場所へ到着した。


「本当にここにいるの……?」

 あたしは、その場に呆然と立ち尽くした。


 そこに建っていたのは、いかにも潰れそうなアパートだったからだ。

 壁の塗装は剥がれ落ち、階段を上がる手すりも錆びていて、誰も住んでいないような感じに見える。


 あたしは、もう一度、地図を確かめた。


「やっぱり、ここだ……」


 なんだか、幽霊でも出そうー。


 あたしは、大きく深呼吸をすると、歩き出した。


 恐る恐る、階段を上がって行く。


 メモに書いてある、部屋の番号の所へ行くと、玄関のチャイムを押した。


 本当に、蒼馬君がいるのか心配だったけど、すぐに玄関のドアが開いて、蒼馬君が顔を出した。


「優愛ちゃん。いらっしゃい」

 蒼馬君は、いつもと変わらない笑顔で迎えてくれた。


「蒼馬君……」

 あたしは、ぎこちなく微笑んだ。

「ここじゃなんだから、中に入って」

「う、うんー」

 あたしは、少し遠慮がちに部屋へ入った。


「ごめん。こんな所に呼び出してー」

「こんな所にいるとは思ってなかったから、びっくりしちゃったー」

「あははー。マスコミがうるさいから、身を隠すって言ったら、ここしか思いあたらなかったんだー」


 確かに、ここなら隠れるのにベストだとは思うけど……。


「優愛ちゃんー。週刊誌に載っていた記事のことなんだけど……」

 急に蒼馬君が、シュンとした顔をさせた。

「い、泉ちゃんのことだったら、あたし気にしてないから……」

 あたしは、蒼馬君に微笑んで見せた。

「でも、話を聞いてくれないかな?」

 蒼馬君が真剣な顔で言うものだから、あたしは、小さく頷いた。


「あの時は、ドラマの打ち上げで、スタッフもみんな一緒だったんだー。でも、俺が離れて息抜きしていたら、泉に告白されて、断ったら急にキスされたんだ……」


「……」


 そんなことになっていたとは知らなかった……。

 そこを、ちょうど写真に撮られたわけかー。


「このことは、蒼士にも言ってある……」

 急に蒼馬君は、あたしの腕を掴むと抱き締めた。

「あの……蒼馬君。ごめんなさい!」

 あたしは、蒼馬君の腕から逃れようとした。

「蒼士から言われたよ。優愛ちゃんのことが好きだってー。2人が両想いだってことも」


 蒼士君、ちゃんと話してくれてたんだー。


「ごめんなさい!自分の気持ちに嘘ついて、蒼馬君と……」


 謝っても謝りきれない。


「……家に来た時、君の様子で、そんな気はしていたんだ。だから、セリフ合わせに手伝ってもらう振りをして、無理やり君を自分の物にしようと……」

「……」


 だから、いつもの蒼馬君じゃなかったのかー。

 何だか、自分の態度に反省してしまう。


「でも、俺もバカだよなぁー。優愛ちゃんを傷つけるようなことして……」

 蒼馬君が、深い溜め息をつく。

「ううん。蒼馬君は、悪くないよ。最初から、あたしが悪いんだから……」


 結局、美緒や蒼馬君のことを、傷つけてしまった。


 と、思っていたのは、あたしだけなのか、

「優愛ちゃんが、蒼士のことが好きなのはわかったよ。でも、今まで通り、俺の彼女でいてほしい」

 蒼士君は、あたしの耳元で囁いた。

「蒼馬君。これ以上、彼女ではいられない」

 あたしは、大きく首を振った。

「俺と付き合っていれば、優愛ちゃんだって、蒼士より俺の方に気持ちが傾くかもしれないし」

 蒼馬君が、あたしに手を伸ばした時だった。


 ピンポーン!


 玄関のチャイムが鳴って、あたしと蒼馬君は、ハッと玄関の方へ目を向けた。


 まさか、マスコミが嗅ぎつけて来たんじゃ!?


 それから、何回もチャイムの音が鳴り響いた。


「優愛ちゃんは、何処かに隠れててー」

 蒼馬君は、緊張した顔で、玄関の方へ向かった。


 何処に隠れるって言っても、部屋はキッチンの奥に6畳の部屋が1つだけあるだけだ。


 何処に隠れるか、迷っていると、

「蒼士、ちょっと待てよ!」

 蒼馬君の慌てた声が、聞こえてきた。


「蒼士君?」

 あたしは、ふっと玄関の方へ目をやった。

「西本、行くぞ!」

 蒼士君が、部屋に入って来るなり、あたしの手を掴んだ。


「優愛ちゃん!」

 蒼馬君が、止めに入ったけど、

「蒼馬君、ごめんなさいー!!」

 あたしは、蒼士君に手を引かれながら、背中越しに謝った。


「蒼馬、悪い。優愛は貰っていく!」


 そして、あたし達は逃げるようにアパートを出た。



「はあはあ……」


 何分位、走っただろうー。


 すっかり、辺りが夕焼けで染まっていた。


「蒼士君ー。さっき、あたしのこと名前で……」

 あたしは、乱れた息を整えながら、言った。

「ごめん。焦っていたものだから、つい……。嫌だったか?」

「ううん」

 あたしは、大きく首を左右に振った。

「後をつけてきたのはいいけど、あまりにも静かだったから、何かあったんじゃないかと思って、焦ったぁー」

 蒼士君は、安心した顔で一息ついた。


 蒼士君に後をつけられていたなんて、全然、気づかなかったー。


「ありがとう、蒼士君ー。実は言うと、困っていたから、助かった」

「困っていたって、まさか、蒼馬に何かされたとか!?」

「違う違う。そういうことじゃないの」


 あたしは、蒼馬君に言われたことを、蒼士君に伝えた。


「何だよ、蒼馬の奴。自分のこと好きになるかも知れないから、別れる気はないんて。何、考えているんだ!?」

 蒼士君は、ムスッとした顔で眉をつり上げる。

「でも、はっきりと断っているし。蒼馬君も分かってくれたとは思うけどー」

「それなら、いいんだけど、俺からも蒼馬に言っておくからー」


 蒼士君は、あたしの瞳を覗き込んだ。


 ドキンドキン……。


 あたしの心臓の鼓動が速くなる。


「これからは、俺が優愛を守から、彼女になってほしい」

 蒼士君は、真剣な瞳であたしを優しく抱き締めた。

「あたしを、蒼士君の彼女にして!」


 あたしは、嬉しそうに蒼士君の腕の中で、頷いて見せたー。

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