表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密の彼氏  作者: 夢遥
PR
3/10

秘密の彼氏

やっと、蒼士のことを好きだと気づいた優愛。

 でも、美緒の為に、弟の蒼馬と付き合うことにしたけど、ファーンの子達にいろいろと聞かれる中、そのたびに、蒼士君に助けられてー。


 優愛の恋心が揺れ動くー!?


 ガチャガチャ!


 その時、カギを開ける音がすると、誰かが飛び込んできた。

 あたしは、意識がもうろうとするなか、相手をみたけど、気を失ってしまった。




 気を失ってから、どのくらい経っただろうー。


 あたしは、保健室のベットの上で、目を覚ました。


「気がついたか?」


 ベットの横で蒼士君が心配そうに

していた。


 何だか、おでこが冷たいと思ったら、冷やしたタオルがのせてあった。


「そ、蒼士君が助けてくれたの……?」

 あたしは、やっとの思いで声を出した。


 蒼士君は、黙って頷いた。


「あ、ありがとう……」

 素直にお礼を言うと、起き上がろうとした。


 ん?何か胸の辺りが涼しいと思ったら、シャツの前ボタンが全部、外れていて、ブラが見える状態になっていた。


「ま……まさか、あなたが外したの!?」

 あたしは、真っ赤な顔で、慌ててシャツで前を隠した。

「涼しくさせようと思って」

 蒼士君は、涼しい顔で言った。

「そ、蒼士君がそんなことしなくても、保健室の先生がいるでしょー!?」

「先生が、いなかったんだから、仕方がないだろ」

 蒼士君は、少し、無愛想な顔で言った。


 そう言われると、何も言えなくなってしまう。


「それよりさー。蒼馬とキスしてるところ、撮られてたね?どうして2人っきりで会ってたのかな」

 蒼士君が、ベットの上に手をついて、あたしの顔を覗き込んだ。

「そ、それはー」


 美緒が、蒼士君のこと、好きだから探りを入れてたなんて言えない。


「わかった。どうせ、蒼馬にも口止めされたんだろう?」

「ち、違う!」


 何、言ってるの!蒼馬君は、あんたと違うだから。



 でも、ドラマのエンディング曲は蒼士君が歌っていることを、友達に言わない約束だったけど、つい、美緒に喋ってしまったのは秘密だ。


「じゃあ、どうして蒼馬にキスされたんだ?」

「……あ、あたし。蒼馬君に付き合ってほしいって言われたの」

 あたしは、おずおずと打ち明けた。


「それで、付き合うのか?」

「まだ、わからない……」

「ふーん。でも、蒼馬にキスされたの、本当におでこだけか?」

 蒼士君が、悪戯っぽく言った。

「そうだけど、何が言いたいわけ?」

「蒼馬って、結構、手が早そうだし。記事にはなっていないけど、今までだって、女性関係はあったみたいなんだよな」

「……」


 それは知らなかったー。


「でも、カラオケに誘われて蒼馬が行くと、相手が蒼馬の歌声を聴いて、イメージが違っていて、幻滅するみたいなんだけどー」

 蒼士君は、自分で言って、ハッとした。


 どうやら、蒼馬君の歌声に関しては、秘密らしい。


 だからかー、双子だってバレずに独りで歌っているようにしているのはー。


「そんなに、蒼馬君の歌って下手なの?」

「ごめん。今、言ったことは、忘れてくれないかな」


 急に、蒼士君がそんなことを言うものだから、余計に興味が湧いてしまう。


「えー、いいじゃない。教えてくれたってー」

 あたしは、軽く蒼士君の肩を揺すった。


「しつこいな。忘れろって言ってるだろ!」

 蒼士君の顔がグッと近づいてきた。


 また、キスされる!


 あたしは、慌てて、パッと横を向いた。


「とにかく、今言ったことは忘れてくれ」

 念を押すように言うと、保健室から出て行った。


 びっくりした!また、キスされるのかと思ったー。

 でも、今までなら口封じとか言って、キスされていたのに……。


 なんだか、期待はずれのような気分になって、切ない溜め息をついてしまった。



「優愛……」

 いつの間にか、美緒が保健室に来ていた。


「美緒」

「はい。優愛の鞄、持ってきた」

 美緒は、あたしの鞄を差し出した。


「ありがとう」

 あたしは、鞄を受け取る。

「今、神崎君とキスしていなかった?」

 美緒は、ボソッと呟いた。

「えっ、してないよ!」 あたしは、慌ててブンブン手を振った。

「そうなんだ?じゃあ、角度でそう見えたのかもー」

 美緒は、少しほっとした様子だ。


 もう、キスしているなんて言ったら、ショックをうけるだろうな……。


「でも、何だか神崎君と仲良さそうだよね……。もしかして、神崎君。優愛のことが好きなのかな……」

「えっ!」


 そんなのあるわけがない。


最初から、あたしに対して、意地悪で突然、ファーストキッスを奪う奴なんだよ!?


「神崎君が、優愛のこと好きなら、あたしは応援するしかないよね……」

 美緒は、しょんぼりした顔で言った。

「や、やだなぁー。蒼士君があたしを?ありえないって。それに、ここだけの話。そ、蒼馬君と付き合うかも知れないしー」

 少し言いずらそうに、美緒に打ち明けた。

「あの写真。やっぱり、そういうことになっていたんだー」

 美緒は、納得した顔で頷いた。


 何だか、自分で言ってて、胸の辺りがチクンと痛むのはどうしてだろう……。


「でも、蒼馬君と付き合うのって大変そうだね。もう、正門の所にマスコミが大勢集まっているし」


 ……!!


 あたしは、慌てて保健室を出て昇降口へ向かった。



 昇降口から外を見ると、正門の所にアナウンサーの人やカメラマン、記者の人が沢山集まっていた。


 記者の人が、独り独り下校する生徒に、何か聞いているみたいだ。


 これじゃ、帰れない……。


「あれは、西本のこと聞いてるなー」

 いつの間にか、後ろで蒼士君が靴を履きながら、言っているのが聞こえてきた。


「あたしのことを、聞いてるって……。やっぱり、あの記事が原因?」

「ああ。蒼馬との関係を詳しく知りたいんじゃねぇの」

「……」


 詳しくって言っても、まだ、はっきりと決めていないのに、言えるわけがない。それに、テレビ局まで来ているみたいだし、全国放送で流れるってことだよね…。



 少し、足がすくんでしまった時、急に、蒼士君があたしの腕を掴んで歩き出した。


 な、何!?まさか、あたしをマスコミの中に連れて行くつもりじゃー。


 あたしは、蒼士君を止めようとしたけど、力が強くて、強引に引っ張られて行くだけだった。




「ほら、ここからだったら、見つからずに帰れるから」


 しばらく歩くと、急に蒼士君が立ち止まった。


 あたしは、ふと辺りを見回した。


 どうやら、校舎裏らしいけど、旧校舎の方みたいだ。


 蒼士君は、塀をよじ登ると、自分の手を差し出した。

「ほら、掴まれよ!」

「う、うん」

 あたしは、素直に蒼士君の手を掴むと塀をよじ登った。


「俺、先に飛び降りて、支えてやるから。後から飛び降りろよ」

 そう言うと、蒼士君は軽々とピョンと飛び降りた。


 下を見ると、結構高い!!


「いいぞ!」

 下で、蒼士君が両手を広げて合図を出している。


 あたしは、少しためらったけど、思いっきりジャンプした。


 ドシーン!


 あたしの重みで、蒼士君の腕に抱きしめられるような形のまま、一緒に倒れてしまった。


「ごめん、大丈夫!?」

 あたしは、慌てて蒼士君の顔を覗き込む。

「イテテ……。お前なぁー。もう少し、加減しろよ」


 人が心配しているのに、最初の言葉がそれ!?


 あたしは、ムスッとしながら、蒼士君から離れて立ち上がろうとしたのに、あたしを抱き締めたまま離そうとはしなかった。


 や、やだー。どうしたんだろう……。


 あたしの心臓の鼓動が、速くなる。


「ごめん。こんな所、蒼馬に見られたら殴られるな」

 蒼士君は、慌ててあたしから離れた。


 今日の蒼士君。いつもと様子がおかしい。


 その時、あたしの携帯の着信音が鳴り響いた。


 画面を覗いてみると、蒼馬君からだった。


 あたしは、蒼士君を気にしながら、電話に出てみた。


「もしもし。優愛ちゃん?」

 電話の向こうから、蒼馬君の人懐っこい声が流れてきた。

「蒼馬君……」

「学校にマスコミが押し寄せているみたいで、ごめん!まさか、あの時、写真を撮られているとは思わなくてー。俺もうかつだった」

 蒼馬君は、しんみりした声で言った。

「あ、あたしも。もう少し、気を使っていればこんなことにはー」

 あたしも、軽く考えていたことには変わりがない。


「ありがとう。そう言ってくれると助かるよ」

 あらたまって、蒼馬君は礼を言う。


 でも、蒼馬君と付き合うってことは、いつも誰かに見られていて、今回みたいにすぐにスクープになってしまうって、よくわかった。


「記事にも載ってしまったし、それで、ここで、はっきりとしておこうと思って。この前の返事を聞きたいんだけどー」

 蒼馬君の、言いずらそうな声が流れてきた。


 ど、どうしよう……。蒼馬君の彼女になれるなら、こんなに嬉しいことはない。


 その時、何故か横にいる蒼士君が目に入った。



 どうして、こんな時に蒼士君が気になるわけ?



「優愛ちゃん?」


「や、やっぱり、返事は電話で言うことじゃないし……。直接、逢ってからでもいいかな……?」


 返事を、後回しにしようとしている自分がいた。


「じゃあ、わかった。後ろを振り向いてみて」

 あたしは、不思議に思い、ゆっくりと後ろを振り向いた。


「蒼馬君ー」

 いつの間にか、サングラスをかけ翼のある帽子をかけた蒼馬君が立っていた。


「よかった。優愛ちゃんに逢えて……」

「蒼馬君。どうしてここに?」

「学校の方にマスコミが押し寄せてるみたいだったから、心配になって、こっそり様子を見に来ちゃった」

 蒼馬君が、サングラス越しに恥ずかしそうに笑っていた。


「蒼馬の所に行けよ。ずっと好きだったんだろ?気持ち伝えてこいよ」

 蒼士君が、蒼馬君に向かって、あたしの背中を押された。



 あたしは、一瞬、蒼士君の方を振り向くと、蒼士君が少し、悲しそうな顔をしている。


 どうして、そんな顔をするの?


 チクン!


 そう思ったら、あたしの心臓が締めつけられた。


 ……あたし、蒼士君のことが好きなんだ!!

 今頃、自分の気持ちに気づくなんてもう遅いよ……。


 蒼士君は、美緒が好きな人ー。協力するって約束したのに今頃、蒼士君のことが好きだったなんて言えるわけがない。


 あたしは、決心した顔で、蒼馬君を見た。


「あ、あたしを蒼馬君の彼女にして……」


 あたしが言うと、蒼馬君は凄く、喜んでくれた。


「また、マスコミが押し寄せてくるようなことがあるかも知れないけど、優愛ちゃんのこと、絶対に守るから!」

「……」


 今まで、テレビの向こうの蒼馬君が彼氏だったら……なんて、思ったこともあった。


その夢が叶ったんだから、きっと、これで良かったんだよね……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ