2-2
「……なんか不思議」
ユーはすぐに泣きやみ、苦笑いしながら近くにあるハンモックに腰かけた。不安定に体を揺らしながらも、器用にバランスを取っている。
「今まで泣いたこと、ほとんどなかったのに……」
「ずっと、我慢してたの?」
ヴェントの問いに、彼は首を振った。ヴェントは近くにある椅子を引き寄せながら、ユーのことをじっと見る。
「何だろう、よくわからなかった。……しばらくは局長さんと一緒にいたんだけど、一人でいるのも……もう、ボクにとっては普通のことだったから」
と、銀色の髪を、軽くつまんだ。それから頬に残る涙の後を手の甲で強くこすり、深くため息をつく。
「それに、一人の方がいいから」
それはどこか、自分に言い聞かせているように聞こえた。俯いたままでいる彼に、ヴェントはそっと眉をひそめる。
「ユー、今、いくつ?」
「……十四歳」
顔を上げず、自分の両手をにらみながら、ポツンと言った。ヴェントはため息をつくと軽く椅子から立ち上がり、ユーの脇の下に手を伸ばす。そのままヒョイと彼を抱えあげると、ユーは目を丸くしていた。
「じゃあ、今日から一人は普通じゃなくなるね。ボクがいるから」
歯を見せて笑うヴェントに、ユーは呆然としていた。あんまりにも軽く抱えあげられたことにもそうだが、彼の言葉に目を瞬かせる。
「な、なんで?」
「うーん……集落では一度も会ったことがないのに、こうして今日森の中で会ったのも何かの縁だよ! これから仲良くしよう、ユー。……ウィユ=オスキュリート」
ヴェントが呼ぶと、彼はどこか恥ずかしそうに体をよじり、ヴェントの腕から抜けた。それから今度は、逃げるようにハンモックの上へ座り直す。
「えっと、だけどボクは……」
「もー。何を難しく考えることがあるのさ。そうだ、手を出して!」
と、ハンモックに腰かけるユーに向け、手を伸ばした。それを訝しげ(いぶかしげ)に見つめ、視線だけを上げてヴェントを見る。
「ほら、いいから」
恐る恐る、ユーが手を伸ばした。ヴェントはその手をきつく握り、コトンと首をかしげるユーを見る。彼もまた、首をかしげながらも、手を握り返していた。
「……ほら。これで、ボク達は友達だ」
なんの含みもない笑みを浮かべるヴェントに、ユーは顔を伏せ、思い切り反らした。今度はヴェントが首をかしげ、彼の顔を覗きこむ。頬は赤く染まり、目は泳いでいた。
「ユー?」
「……なんだか、こそばゆい」
そう言う彼に、ヴェントは優しく微笑むと、ユーの頭をクシャリと撫でたのだった。




