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ユーと引き離され、二人は背合わせになって戦っていた。ジューメは大剣を振り回し、時には楯のように使って、ルシアルの兵と金属ザコを相手にする。その反対側では、ヴェントが煙ザコと戦っていた。
「ヴェント、そいつには斬撃は効かないと解ってるだろう! さっさと風で蹴散らせ!」
「む……無理だよ!」
ヴェントは、何度切ってもすぐに復活するザコを見ながら、叫んだ。
「なんでさ……ボクは、風を使えない」
「てめぇがそんな弱気だったら、風も声を聞いちゃくれねぇだろうよ!」
ジューメが荒げた声に、ヴェントは目を丸くした。よく見ればジューメは、ルシアルの兵や金属ザコがこちらに来ないよう足止めをしており、煙ザコだけをこちらへ流しているようだった。
「風が声を聞いてくれない、応えてくれない? 甘えんのもいい加減にしろ! いいか、声を聞いてくれねぇんなら従えろ、呼びかけるな命令しろ! お前気づいてねぇのか? 初めてそいつらが襲ってきたとき……オレの炎を乗せたのは、お前の風だぞ!」
その言葉に、心臓が跳ねた。自分はあの時、何を思った?
――どうしてボクの言葉を聞いてくれないんだ、二人を「守れ!」 この煙は、お前たちなら蹴散らせるだろう!――
「ヴェント、お前はやれるんだ。……落ちこぼれじゃねぇ、その力を信じろ」
大剣が空を斬る音、剣と剣が激しくぶつかり合う鈍い金属音、そして兵の叫び声が辺りを包む中、ジューメの声は確かに耳に届いていた。ヴェントは短く息を吐くと気を集中させ、一度煙ザコを一閃すると剣を鞘に納めた。呼吸を整え、煙が集まり、復活していくのを見つめる。
「……風よ。ボクに力を貸せ……この煙ザコを、吹き飛ばして散り散りにしてしまえぇ!」
煙ザコが完全に復活した、その瞬間。ヴェントは腕を鋭く突き出した。自分の前で大気が震え、竜巻が巻き起こり、煙ザコを巻き込むと原型を留めないほど、バラバラにしてしまう。
「ジューメ……! ボク!」
「ほら、使えるじゃないか! さっさとそいつらを蹴散らしてしまって、こっち手伝え!」
ジューメは口の端を上げて不敵な笑みを零し、ヴェントは頬を紅潮させながらも、力強く頷いた。
ユーは透明な壁の向こう側に時折視線を向けながらも、ビットと戦っていた。単体の威力は全くと言っていいほどないが、その数の多さに、確実に体力を削られていく。幸い、コンダムが直接手を下すことはなく、彼はただ戦うユーを見ているだけだった。
右のクロウで三つのビットを砕き、左のクロウで二つを破壊し。その姿にコンダムは低く笑った。
「舞え……美しく、儚く舞え。ウィユ=オスキュリート。忌まわしき闇の龍の、加護を受けし一族よ」
その囁き(ささやき)が聞こえたのだろうか、最初にいた量の半数以下になったビットを更に砕き、ユーは顔を上げた。肩で息をし、頬からは一筋の血が流れ、服を裂かれながらも瞳には強い光が宿っている。
「フフフ……そろそろ余興も終わらせたいところだが、もう少し楽しませてもらおうか」
と、彼は緩やかに腕を広げた。今まで見せていなかった翼が開かれ、その翼を見たユーは目を見開く。
「な……なんで!」
続きを口にすることは出来ず、襲ってきた突風に、ユーは咄嗟に顔を腕でかばった。風が治まるとすぐに顔を上げるが、思わず戸惑い、周囲を見渡す。




