↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/39

3-2

 リ・セントーレを遠く離れた頃、ヴェントはようやくユーの手を放した。ユーは辺りを見回し、深く息を吐き出すとヴェントに深く頭を下げる。

「……ごめん。ボクのせいだ」

「何が?」

 平然と返すヴェントに、ユーは目を向くと顔を上げた。あたりを見回し、警戒しながらも、ヴェントはユーのことをいつもと変わらない表情で見ている。

「何が、って! 見てなかったの? ボクは……あいつらに狙われてる。ボクが何も言わなかったから……ヴェントは、ボクを助けてくれたよ。だけどそのせいで君もきっと、危ない目に遭う。そんなのって!」

 拳を強く握り、うつむきながら怒鳴るユーの肩に、手がそっと置かれた。恐る恐る顔を上げると、そこにはやはり、普段通りのヴェントがいる。

「ユーを助けたのは、ボクが勝手にしたことだよ。なんだろう、何も考えてなかった。……だからユーがそういう風に思うことはないよ。それよりも、あいつらはいったいなんなの?」

 ユーは静かに首を振り、口をきつく閉じた。ヴェントの手を肩から払おうと手を伸ばす。だがヴェントは逆に、力を込めてユーの肩を握った。それから正面に回ると顔を覗き込み、意地でもユーと目を合わせようとする。

「ユー、ボク達は友達だよね。だからユーが困ってる時には助けるし、それが当然だとボクは思ってる。……もしきみが、ボクのことを友達だと思ってくれているのなら、話して。このまま放っておけって言われても、絶対に納得しないからね」

 無言のまま、必死にヴェントから視線をそらしていたユーだったが、観念したように小さく頷くと顔を上げた。それにヴェントは微笑み、ユーの手を握ると、近くに見えた洞窟に入る。中に入ると翼を畳んでユーを自分の隣に座らせ、そっと辺りをうかがった。

「……うまく、まけたみたい」

 ユーは膝に額を押し付け、ゆっくりとした呼吸を繰り返していた。ヴェントはそんなユーの背中をなでながら、彼が口を開くのを、ジッと待つ。小刻みに震える姿は、怯えているようだった。

「……ヴェント、ボクが生まれた村の話から、してもいい?」

 顔を上げないまま、ユーは言った。掠れる声に、ヴェントは耳を彼に近づけ、頷く。


 ――生まれたのは、竜の国の、小さな隠れ里。そこに住む竜人はみんな、黒い髪に黒い瞳を持っている。……そこは、ほかの竜人たちに知られることのなかった、闇の竜人の領域。そしてボクは、その村に住む一家、オスキュリートの子供なんだ。

 闇の竜人は、ほかの竜人たちとは違い、昔から隠れるようにして生きてきた。そしてオスキュリートの一族は、その村の中でも違う存在だった。その血族は、体のどこかに「眼」が描かれている。そしてその眼からは微量の「力」が流れており、その力を解放することにより、巨大な力を使うことが出来た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。