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ラスボス様は破壊したい!  作者: 悠戯
第二章『いろんな世界のラスボス様』

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84/93

84.魔法学校のラスボス様①


 新しい服を着るというのは何度経験しても良いものです。

 シミ一つない白シャツにプリーツスカート、薄手ながらも温かいカーディガン。首元のリボンをキュッと締め直すと、それだけで気合が入って背筋が伸びる心地です。



「どうでしょう? サイズはピッタリなんですけど、わたしに似合ってるのかどうか……」


『くくく、着慣れておらぬゆえ逆に服に着られている感があるのは否めぬが……まっ、及第点といったところであろう』



 着慣れていないのは事実なので仕方ありません。この世界にいつまでいるのか分かりませんが、滞在中に馴染んでくれれば良いのですけれど。



「よし、っと」



 最後に丈の長いローブに袖を通せば準備完了。この衣装部屋に案内してくれた職員の方が用意して下さったモノは、これで一式身に着けることができました。着替え用の予備として、これと同じモノを後で寮の部屋に届けてくれるとも仰ってましたっけ。



『ようやく着替え終わったか。では、早速向かうとするぞ』


「なんだか緊張しますねぇ……一応、わたしの実家でも似たようなことはやってたんですけど、こんな制服とか専用の設備なんて全然なかったですし。いや、それよりも歳の近い子が大勢いる環境っていうのが実は生まれて初めてかもです」



 さっき初めて訪れたばかりの建物内を、我が物顔でノシノシ歩む悪の神様。一介の巫女見習いとしては、知らない場所で迷子にならないよう必死で追いかけることしかできません。


 建物の印象としては、これまで何度か見てきた石造りのお城に近そうです。

 とはいえ軍事施設としての性質を有する本物のお城に比べたら、全体的に開放的で明るい雰囲気が感じられます。陽光が差し込む窓が多いのと、年若い少年少女のものらしい声がそこかしこから聞こえてくる影響でしょうか。


 廊下をズンズン突き進むラメンティア様の後を追いかけるのに必死で、前を通り過ぎた部屋の中をじっくり覗き見る余裕はなかったのですが、建物の規模感から推測するに何百人もの子供がいても不思議はありません。



『おっと、どうやらここのようだな?』


「たしか一階の一番奥側のはずだから……ええ、そうみたいですね。どうします? そもそも衣装部屋に迎えにくるはずの案内の人を待たずに勝手に来ちゃいましたけど」


『そんなもん放っておけ。悪を待たせる奴がノロマなのだ。それよりも、サヤ。こういうのは出鼻でどれだけインパクトを残せるかが肝心なのだ。くかかっ、平和ボケしたガキ共を一丁ビビらせてやろうではないか!』



 わたしとしては、一緒に過ごすことになる皆さんとはなるべく仲良くしたいのですけれど。まあ流石のラメンティア様も犯罪者でもない子供達をいきなり半殺しにしたりはしないでしょう、多分。



『たのもう!』



 別にカギがかかっていたわけではない教室のドアを無意味に蹴破って、授業中の教室に乱入した我が上司。教壇で授業をしていたであろう先生や、わたしの同級生となるであろう生徒の皆さんは突然の事態に大層驚いていたようですが、



『くかかかかっ、泣いて喜ぶがよいボンクラ共! これより悪が飽きるまでの間、この神が教師として直々に教えを授けてやろうではないか! ああ、あとコイツ転入生な』


「どうもどうも、只今ご紹介に与りました転入生のサヤといいます。多分、短い付き合いになると思いますけど仲良くしていただければと……」



 ええ、つまりはそういうことだったワケでして。いつも以上にぶっ飛んだ状況への疑問は多々あるかと思いますが、詳細についてはいずれまた近いうちに。


 ともあれ、こうしてわたしはこの全寮制魔法学校に一生徒として通うことになったのです。



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