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ラスボス様は破壊したい!  作者: 悠戯
第二章『いろんな世界のラスボス様』

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71.ゲームの世界のラスボス様④


 さて、当然といえば当然ですが。



『なっ、何者だ貴様ら!? どうやって此処へ入り込んだ!』



 あちらにしてみれば、玉座でふんぞり返っていたら突然わたし達が部屋の中に出現したわけです。故ギガなんちゃらさん改めただのギガなんちゃらさんは、しばし驚いた後に侵入者を排除すべく両手に邪悪っぽいエネルギー光を集中させていたのですが、



『やかましい! 大人しく死んでおれ!』


『ぎゃああああっ!?』



 何らかの攻撃を放つよりも先に、今度は大扉による事故ではなくラメンティア様に直接殴られて再び名前の頭に『故』が付く状態になってしまいました。ちょっと可哀想ですが、あの方がいても今後の流れの邪魔にしかならなさそうですし致し方ありません。そういうことにしておきましょう。



【ラメンティアは大魔王ギガダークをやっつけた!】



【50000ポイントの経験値を手に入れた!】



【10ギョールドを手に入れた!】



 これ、毎回律儀に流れるんですねぇ。

 それと前回は声そのものに驚いて肝心の内容の把握が疎かになっていましたが、ギガなんちゃらさんの本名はギガダークさんと仰るんでした。死んで早々に思うことではないかもですが、もしまたお会いする機会があったら、せめてわたしくらいは本名で呼んで差し上げましょうか。



『一回目の時も思ったが、アイツ推定ラスボスのくせに全然カネ持っとらんな。いや、この世界の金額の相場をまだ見ておらぬから正確なところは分からんが。まあギガなんちゃらはどうでもいいとして、前の時と違って城の中に結構な数の気配を感じるな?』


『前回はギガなんちゃら君と戦ってた正義の味方っぽい人達の迎撃に出た上で、残らず返り討ちに遭ったんじゃないかな? 死んでそれっきりなのか、時間を置けば再出現(リポップ)するのかは分からないけど』



 何気なく玉座の間の窓から外を見てみれば、たしかに城の各所や空中に恐ろしげな姿をした怪物がいるわいるわ。比較的人間に近い姿をした個体でもツノや羽根が生えていたり腕が六本もあったりしますし、わたしの地元では物語の中にしかいなかったようなドラゴンだとか燃え盛る火の鳥やらも選り取り見取り。


 まさに万全の警備体制というわけですね。彼らが守るべき大魔王が既にお亡くなりになってしまった点にさえ目を瞑れば、大変に優秀な警備員なのでしょう。


 付け加えるなら、これだけの怪物に守られた包囲網を突破してきたということは、前回ギガダークさんと戦っていた正義っぽい人達も実は結構強かったのかもしれませんね。それでも結局は飛んできた金属扉によって志半ばで倒れてしまったわけですが。



「それで、ええと……さっきのこの世界の神様は、たしか後で説明するとか言ってましたよね? このまま大人しく待ってればいいのかな?」


『ふむ、いつまで待てばいいのか伝え忘れるとはマヌケな奴だ。気配を辿ってこちらから出向いてやることもできるのだが、ここは一丁もう一度メッセージウィンドウをブン殴って呼び出して……』


『わあ、待って待って!? 来たから! もう来たからさっきの焼き直しは勘弁して下さいっす!』



 神様特有の不思議な力で我々の会話内容を聞いていたのか、物騒な話になりかけたところで先程の少女神が先程と全く同じように窓ガラスをガシャンと突き破って玉座の間に飛び込んできました。


 これまで玉座の間の異変に気付いていなかった怪物達も、そんな派手な突入をしたら流石に気付いて襲ってきそうなものですが。



『ああ、それは大丈夫っす。この部屋の周辺を侵入不可エリアに指定しておいたんで。強い弱いに関係なく、ボクの世界由来の存在は一定以上ここに近寄れないっす』



 失礼ながら神様にしては威厳不足の感が否めませんが、それでも大した能力をお持ちのようです。その力をもっと早く使えばギガダークさんが再度お亡くなりになることもなかったかもしれませんが、まあそれは別にどうでもいいとして。



「それじゃあ……まずは自己紹介からですかね?」




 ◆◆◆




『ははぁ、ラメンティアさんにツルギさんにサヤさんっすね。ボクはゲーミリアといいまして、一応この世界の創造神……ってことになるっす。いや、全然そんな大した神じゃないんすけど……』


 眼鏡の少女神のお名前はゲーミリア様と仰るそうで。

 それ自体は大変結構なのですけど、創造神などという大層な肩書きの割には自信なさげというか、ハッキリ言ってしまうと全く神様らしくありません。



『いやぁ、ボクは元々他の世界の出身でして。ただ、たまたま神として生まれたまでは良いものの、特に力が強いとか便利な能力を持ってるとかでもなかったもんで、ずっとお偉いさんの使い走りとか雑用みたいなことばっかりやらされてたんす。この口調もその時の下っ端生活の癖が抜けないせいというか、ははは……』



 神様にも色々なご苦労があるのですねぇ。

 それにしても、時間を巻き戻したり怪物を近寄らせないようにするのは結構すごいと思うのですが、神様基準だとそうでもないのでしょうか?



『まあまあ、そのあたりは後で説明しますんで。それで当時暮らしてた世界の天界で下っ端暮らしを三百年くらい続けてるうちにですね、下界の人間社会が結構イイ感じに発展してきまして。たまの休みに下界の娯楽を取り寄せて楽しむとかは、もっと昔からやってたんすけど……』


『あ、私分かったかも! 察するに、それをキッカケに電源式のテレビゲームの類にハマって影響を受けた感じかな?』


『ええ、そうっすそうっす! ツルギさん大正解! 性に合ってたって言うんすかねぇ、最初のうちはジャンルを問わずに出たソフトを片っ端からやってたんすけど、次第にRPG中心に落ち着いてきまして』


『で、趣味が高じて作る側に回ったと。ただし神様スケールで。ちなみに独立に当たって他の神様達と揉めたりしなかったの?』


『いやぁ、元々あんまり存在感がなかったせいかあっさりしたもんでしたねぇ。いてもいなくても全然困らないというか、こっちは決死の覚悟で話を切り出してみたのに「あっそ、頑張ってね」くらいの感じで……深く考えると悲しくなってくるっすけど……で、なけなしの神力を使って最初は今よりずっと小さい世界を創りまして。自分の世界の運営に慣れて出来ることが増えてきたり、使えるリソースが多くなるにつれて少しずつ大きくして今の規模に、って感じっす』



 創造神って、職人さんが親方の下から独り立ちするくらいの感覚でなれるものなんですか。いえ、このあたりの常識は世界ごとで色々違ってくるのかもしれませんけど。


 ともあれ、この世界の成り立ちについての概要は大まかにでも理解できました。苦労人ならぬ苦労神のゲーミリア様には、なんだか親近感を覚えてしまいますねぇ。


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