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ラスボス様は破壊したい!  作者: 悠戯
第二章『いろんな世界のラスボス様』

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56/61

56.世紀末世界のラスボス様⑤


 その後も善良な村人達による侵略は着々と進んでいきました。

 「善良」という言葉の意味については議論の余地があるかもですが。



「神よ、また我々の傘下に加わりたいという村からの使者が!」


『そうかそうか。ま、いつも通りで構わん。よきに計らえ』


「へへーっ!」



 凶悪な武装集団を次々に撃破しては自勢力に加えている我々を見て、何かしら思うところがあったのでしょう。最近は労働力や収穫物の提供を自ら申し出て、それらと引き換えにこちらの庇護下に入りたいと願い出てくる村や個人が列を成すほどです。


 勢力下の全員が常に一緒に行動しているわけではないですが、人が増えてくれば統制にも気を遣わねばなりません。最初の村の皆さんはなし崩し的に幹部待遇となり、暴力で屈服させた荒くれ者達を相手に様々な指導をすることも。



「ケヒヒーッ、畑を耕す時は手じゃなくて足腰で鍬を振るんだよ! ほら、こうだ!」


「ギャハハハ、重い物を運ぶ時は無理せず周りの仲間に声をかけて力を合わせるんだぜーっ!」



 内容自体は真っ当な農業指導なのに、言い方が妙なことになっているような?


 いくつもの野盗集団を襲って物資や人的資源を奪う過程で、善良な村人達の精神に何かしらの異変が発生してしまったようです。まあ如何にも気弱そうな態度では支配下に置いた連中にナメられて反抗心を刺激してしまいかねませんし、これくらい強気に出るのが上手い塩梅なのかもしれませんねぇ。



「ほう……? 畑仕事も馬鹿にならんな、案外よい修行になるかもしれん」


「うむ、これで我が拳を更なる高みに押し上げてくれよう」



 この数日でラメンティア様がバッタバッタと倒しまくってきた連中の性格は様々ですが、特に武道家気質が強い方達は実力勝負で負けた相手には素直に従ってくれるので、こちらとしては大変に助かりました。


 どこからともなく呼び出した大水で溺れさせたり、出会い頭に相手の頭上にカミナリを落としたりといった倒し方が実力勝負の範疇に含まれるのかは正直ちょっと怪しい気もしますが、本人達が納得しているのならあえて藪を突くこともないでしょう。



「サヤ様、A班の連中が巡回より戻りました。特に異常はないとのことです」


「サヤ様、C班の者が旅人を襲っていた野盗を捕縛したと。旅人は手当てをして解放、野盗は連行してきて地下牢に入れてありやす」


「あら、ご苦労さまです。それじゃあパトロールが終わった皆さんは、食事を摂ったら次の指示があるまで待機。捕まえてきた野盗は、そうですねぇ……こっちの仲間に入るか身ぐるみ剥いでから荒野に捨てられるか好きに選んでもらいましょうか?」



 かつての賊も、今では頼もしい仲間達というわけで。

 拳法の使い手や武器持ちの皆さんが勢力圏内の村々をパトロールしてくれているおかげか、近隣の治安は急速に落ち着きを取り戻しつつあるようです。というか、一番治安を悪化させている我々に恐れを為して、他の悪党達が大っぴらに暴れられないというのが真相でしょうか。



『最初にスミスのジジイが言っておった連中は、昨日の足王とやらで最後だったか? それより規模の小さい小物はまだそれなりにいるのだろうが、その程度であれば悪が自ら出向くまでもあるまいしなぁ……』



 食料も物資も人手も十分。

 そろそろ襲う相手を探すのにも苦労するようになりました。

 それゆえラメンティア様が言い出すより早くから予想はできていましたが。



『飽きた。この世界もそろそろ潮時か』



 今の世界(オモチャ)にも飽きが来た頃合いのようです。

 ならば、あとはもう後始末を付けて立ち去るばかりでしょうか。


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