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ラスボス様は破壊したい!  作者: 悠戯
第二章『いろんな世界のラスボス様』

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55.世紀末世界のラスボス様④


 そして、翌朝。

 ここまで何となくその場のノリで動いてきたわけですが、これから能動的に……まあ、なんというか色々とヤルのであれば、この世界の事情というか情勢について多少なりとも知っておくべきでしょう。

 そんなワケで、わたし達が最初に出会ったスミスお爺さんに知っていることを色々教えていただくことになりました。



「世はまさに暴力が全てを支配する暗黒時代……! 強力な武器を持つ武装集団や、謎めいた拳法の使い手が覇を競う戦乱の時代なのですじゃ……!」



 満足に食べていくだけでも大変そうなのに、わざわざ危険を冒して覇権争いなどするとは奇特な人が多いのですねぇ。ヨソの文化圏の考え方にケチを付けるのはお行儀が悪いので、あえて口に出して非難する気まではないですが。



「数々の武装集団の中でも特に勢力を伸ばしているのが、まず近隣一帯を支配する恐るべき拳法の使い手(ワン)!! それから元軍人ゆえの秩序だった作戦行動を得意とするブラックベレー……! 様々な勢力の裏で暗躍する謎の仮面の男、邪鬼……! 強烈なカリスマで多くの兵を従える天帝カイザー……! そして数多の拳法家の中でも最強との呼び声高い、強力無比な足技を得意とする足王……! このあたりが有名どころの武装勢力の長ですじゃ」



 途中から余計な情報が増えすぎて半ば聞き流していましたが、スミスお爺さん途中からちょっと楽しくなってきてなかったですかね? 語り口にも妙な力がこもってましたし。



「いやぁ、実は世界がこうなる前は格闘技観戦が趣味でして。一子相伝のレアな武術とか、忘れ去ったはずの少年心がくすぐられますじゃよ」



 そのあたりの感性は正直さっぱり分かりませんが、思ったより事情通だったお爺さんのおかげで混沌とした近隣情勢への理解が多少なりとも進んだのは悪いことではないはずです。これからの予定もスムーズに進むことでしょう。



『うむ、それではジジイが挙げていった連中を片っ端から攻め落としてやるとするか。者共、バイクの数はこれで十分だな? くかかかっ、悪に続け!』



 昨日に引き続きバイクで疾走するラメンティア様に続くのは、同じく厳ついバイクに跨ったスミスお爺さんや村の皆さん。武器と呼べるのは木材を加工した粗末な棍棒や包丁くらいですが、それでも一応は武装もしています。


 これから先程聞いたような各武装勢力を襲いに行こうというわけですね。

 村の方々としても現状に疑問や恐れは多々あるものと思われますが、なにしろ従わなければ昨日の食料や建物を残らず焼き払うと神様に脅されたのでは仕方ありません。


 ああ、世はまさに暴力が全てを支配する暗黒時代……!



 ◆◆◆



「敵襲ーっ! 敵が攻め……ぐわぁ!?」


 案の定、一夜にして復活した巨大都市は近隣勢力の注目の的となっていた模様。

 すでに外縁部の偵察をしたり水や食料の一部を掠め取ったりという段階を経て、これから本格的に侵攻を考えよう……というタイミングで、逆にこちらからお邪魔した形になったようです。



『くかかかっ、ノロマ共め! 自分が攻める側とばかり思い込んでおるマヌケは、こうして攻められると脆いものよ。者共ッ、さあ声を上げろ! 気迫で敵を圧倒するのだ!』


「ひ……ヒャッハーッ!」


「どけどけ! どかないと轢いちまうぞ!」



 善良な村人達に襲われた野盗集団は早くも半壊状態です。

 半分以上はラメンティア様が撥ね飛ばすか蹴り倒すかしていますが、意外にも村の皆さんの戦いぶりも侮れません。

 ほとんどヤケっぱちの結果なのでしょうけど、逃げ惑う敵集団をバイクで追いかけ回したり棍棒で小突いたりする姿は、今まさに獲物と化している本職の方々にも劣らぬ見事な手際。それを誇るべきなのかは都合よく忘れておきましょう。



『くっくっく、なるべく殺すでないぞ? 畑や家畜の世話をさせる奴隷はどれだけいても困らんからな。だがまあ後で反乱など考えぬよう、今のうちにもっと恐怖を刷り込んでおいてやるか』



 襲われるのを防ぐのみならず、労働力の確保もできて一石二鳥。

 倫理面にさえ目を瞑れば実に合理的な作戦です。

 

 一応、このあたりでは有名な武装集団の一角だけあってか、親分格はもうちょっとだけ頑張って抵抗しようとしていたのですけれど……、



「お前ら、女や老人相手になんてザマだ! 仕方ない、ここは我が東斗爆裂拳を披露する……ぐぎゃあっ!?」


『ん、今の奴何か言っていたか?』


「よく分かりませんけど、走ってるバイクの前に自分から飛び出してくるとか危ないですねぇ」



 どうも拳法の実力に自信を持っていたようですが、自慢の技を披露する機会すら与えられずにバイクに轢かれて気絶していました。

 目の前に人がいても減速する気が一切ないラメンティア様もラメンティア様ですけれど……なんなら思いっ切り加速までしてましたけど、今のは向こうも半分くらい悪いんじゃないですかね?


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