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呼ばれた者

こんにちはー!ピーナッツです。ぜひ楽しんで読んでいってください!行ってらっしゃい!

その日は、どこにでもある平凡な金曜日の夜だった。

街並みは、湿った空気を纏って静まり返っている。僕は部活帰りのコンビニで買った炭酸飲料を片手に、ぼんやりと横断歩道の信号が青になるのを待っていた。

いつもの帰り道。いつもの風景。

人生が突然ひっくり返るなんて、そんなお伽話みたいなことが自分に起こるはずがないと、誰だってそう思うだろう。

信号が青に変わった。

足を踏み出したその瞬間、世界が音を立てて消失した。

眩い光に全身が包まれ、重力が消失する。肺から空気がすべて絞り出され、僕は声すら上げられずに闇の中へと引きずり込まれた。

次に目を開けた時、僕は冷たい石畳の上にいた。

「……ッ、ここ、は」

鼻をつくのは、カビ臭い古びた地下の匂い。

見上げれば、魔法陣が刻まれた巨大な広間。周囲には、異様な装束に身を包んだ老人たちが、冷たい瞳で僕を見下ろしていた。

「……召喚、成功か」

一人の老人が、ゴミを見るような視線を僕に投げた。状況が飲み込めない。僕は必死に立ち上がろうとするが、激しい吐き気に襲われ、その場に膝をつく。

「あの、ここは……? 僕はどうやって帰れば……」

「帰る? 滑稽だな」

老人は僕に薄い板のようなものを突きつけた。この世界における『ステータスボード』だ。震える指でそれに触れると、文字が浮かび上がる。

『スキル:因果の先出し(ランク不明)』

「なんだ、これは」

「ゴミだ。この世界における法則から外れた、欠陥品。――だが、捨て駒にはなる」

彼らは僕を、戦場へと突き放した。

理由も教えられず、ただ「魔族を食い止めろ」という命令だけを課して。

僕が手渡されたのは、粗末な剣と、ボロボロの鎧だけ。防衛線と呼ばれるその場所は、一日で何百人もの兵士が死ぬ、文字通りの肉挽き機だった。

それからの日々は、死の連続だった。

剣の持ち方も分からない僕は、最前線で魔族の軍勢と対峙する。

初めて魔物を倒した時だった。

襲い来る異形の魔族。僕は恐怖で頭が真っ白になり、ただ「あいつが死ねばいいのに」と願った。

「――あいつの首が飛んだ」

口から零れた言葉は、呪文でも魔法でもなかった。

だが、その瞬間。

魔族の首は、物理的な接触もないまま、鮮やかな軌跡を描いて宙を舞った。

同時に、僕の右腕に凄まじい衝撃が走る。

骨が砕け、肉が弾け、神経が焼き切れるような激痛。僕の腕が、「剣で首を斬る」という動作を強制的に再現させられ、自分自身を破壊したのだ。

僕は叫び声を上げ、血の海に倒れ伏した。

痛い。死ぬほど痛い。でも、魔族は死んでいる。

この地獄で、僕だけが、どんな理不尽な状況でも「勝利」という結果を先行できる。

それから、どれほどの時間が経っただろうか。

仲間は次々と死に、僕はただ一人、使い潰される消耗品として戦い続けた。

勝つたびに腕は折れ、足は動かなくなり、僕という人間としての感覚は、痛みとともに麻痺していく。

そして、今。

僕は魔族の将軍を前にして、一人で膝をついている。

右腕は使い物にならず、視界は真っ赤に染まり、全身の感覚が遠のいていく。

「見苦しいな、人間。それがお前の全てか?」

将軍の巨剣が、僕の頭上へ振り下ろされる。

もはや回避の手段はない。

僕は薄れゆく意識の中で、最後の一撃を虚空に向けて放つ。

「――この群れを、僕が全て片付けた」

確定された未来が、大地を覆い尽くす。

僕はその代償として、自分の中の何かが壊れるのを感じながら、深い闇の中へと沈んでいった。

読んでいただきありがとうございました♪また帰ってきてください。それじゃあまた次の物語で!see you again!


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