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引きこもりの僕が男の娘ヴァーチャルライバーになった話 ~スカウトされた大手事務所には〇〇しかいませんでした~  作者: 狐のボタン


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ななじゅーろく



食材の下ごしらえ方法を順に説明して、手分けして作業してもらう。

僕とアトラ先輩は質問をされたりした場合に対応するため、一旦はフリーの状態。


「涙がとまんねーのだぁ…」

「ドラゴンの我が玉ねぎに泣かされるなど…あってはならんのに…」

マリー先輩とソフィリナ先輩のお二人はたまねぎを担当してくれたんだけど、個人差はあるとはいえ慣れないと結構キツイんだっけ…忘れてた。

「お二人とも鼻にティッシュを詰めたら楽になりますけど、どうしましょう?」

「話しにくくなるからダメなのだぁ…」

「これくらい問題ない!」

さすがプロ…。

「でもゴーグルとかじゃないのだ?目が痛いのに」

「たまねぎって目からより鼻からの刺激のが強いらしいんです」

「我もう無理…」

ポロポロと泣いておられるような姿は見ててちょっと切なくなる。

「マリー先輩、失礼しますね…」

手持ちのタオルで顔を拭いてあげたらちょっとマシになったみたい。

「アルジェずるいのだ! こっちも!」

「はーい!」


「泣いてるマリーさんとソフィリナさんに対応しているアルジェさんの姿が尊いと盛り上がってますよ。さすがニューホープで一番嫁にしたい子に選ばれただけの事はありますね!」

紲さん、ナレーションするの手慣れてませんか!?


「アルジェちゃん、糸こんにゃく洗ったよ!」

「あ、はーい! 水を切ったら食べやすい長さに切ってください」

「水を切るの?」

「えーっと…? あ、いえいえ! そうではなくて…」

なんて説明したらいいのだろう!?パルム先輩が洗ったこんにゃくを放置して水に向けて包丁を構えるとは思わなかった。


「パルム、これを使え。 水を切るというのは文字通り包丁で切るわけではないからな?」

「そうなの?」

アトラ先輩がパルム先輩に渡したのはザル。確かに水を切るには楽。

でもまさか水道から出てる水に包丁を向けるとは思わず、咄嗟に言葉が出てこなかった。アトラ先輩がいてくれて良かったぁ…。


ザルの使い方を説明したら、パルム先輩は問題なく出来た。知らなかっただけなんだろうね。

「なるほど、こういう事ね? コメント見えてるからな?初めてなんだから仕方ないでしょう!?」

「まさかだったけどな。 みんなも初めての事を頑張ってる相手をバカにするのは違うと思うぞ?」

アトラ先輩のセリフに、コメント欄も”ごめん”っていうものや”それはそう、がんばれ”っていうものに変わっていった。

さすが副社長ちゃんだ…。


「アルジェちゃん、ジャガイモの皮剥けたよぉ〜」

「はーい。 エセル先輩、すごくきれいに剥けてます。あとは芽を取ってください」

「毒があるんだよねぇ〜」

「はい、お腹壊したりもする可能性があるので…」

「アルジェちゃん…こんな感じ…?」

「メルティ先輩完璧です。後は食べやすいサイズに切るだけですね」

ピーラーを使ったとはいえ、お二人とも問題なくジャガイモの処理を終えられた。


「アルジェちゃん! 肉切ったけど、こんなサイズでいい?」

「大丈夫です。そのまま炒めてもらえますか?」

「任せて!」

ピノ先輩は用意されてる鍋にきちんと油を入れて温めたあと、肉を入れて炒め始める。

「手順完璧ですね。実はお料理できるのでは?」

「ふっふっふっ。ちょっとだけ予習してきた! 後輩にいいとこみせようかと思ってね」

ドヤ顔のピノ先輩は背後から来たパルム先輩に締められてる。”それは卑怯だ”って…。


「アルジェちゃん…ごめん」

「ヴィオラさん?」

どうしたんだろう?と思ったら、ピーラーで皮を剥いていたはずの人参が無残な姿に…。それで凹んでおられるんですね。

「大丈夫ですよ。 こうやって…同じくらいのサイズになるよう切ってしまえば食べやすくなりますし」

「まだ使える?」

「はい。全然問題なしです!」

「よかった…」

ヴィオラさんは気を取り直したのか、その後はゆっくりだけど同じような一口サイズに人参が切られていった。


「ヴィオラさんは包丁の持ち方も危なくないですし、慣れれば大丈夫そうですね! アルジェさんのフォローも流石です。ここでゲストの方にもコメント頂きましょう」

「はいはーい! アルジェママの夜未だよー」

こよみ!?

「うちのアルジェちゃんは料理本当に上手いですから!」

「それはもううちのスタッフも全員知ってますよ。いつも作ってくださってますし…」

「うんうん。私が育てたからな!」

こよみに育てられた覚えはないのだけど!?

ちゃんと両親がいるのだか…ら…。 



「アルジェ、みんなの下準備が終わったぞ」

「え、あ…はい!」

いけないいけない。ぼーっとしてたら迷惑かけてしまう。



ピノ先輩が炒めていた肉に火が通ったのを確認して、みなさんが切ってくれた野菜も入れて更に炒める。

「焦げ付いてしまうので気をつけて混ぜてくださいね」

「任せて!」

「ピノ、かわって」

「パルムに任せるの不安なんだけど!」

「いいから!」

「はいはい、わかったって。 そんなムキにならなくてもいいじゃん」

ピノ先輩からヘラを奪い取るパルム先輩。ちょっと不機嫌そうに見えるからフォローしないと…。


「パルム先輩、炒めるのは軽くなのでゆっくり落ち着いて混ぜていただければ大丈夫です」

「わかったよ」

大丈夫そうかな…。


「今のうちに煮汁を作りますね」

手の空いてる先輩方にそれぞれ醤油、みりん、砂糖、料理酒の分量を図ってもらい、予め用意しておいた出汁入りの水に混ぜてもらう。

「これって…?」

「僕の家特性の出汁です。これだけは秘密で…ごめんなさい」

「アルジェちゃんを嫁にもらった人だけが知れる…?」

「そう…なりますかね?」

メルティ先輩の中で、僕はもう嫁に行くと確定してるのだろうか。


「夜未さん、あの出汁の詳細は教えていただけないんですか?」

「ダメです。アルジェちゃんも口伝で教わったのを再現しようと試行錯誤してたので、今教わったからと再現は不可能ですし。 ただ…各家庭で簡単に肉じゃがを作りたいというのなら、めんつゆとかでも代用はできますから、それぞれ好みの味を探してみるのも楽しいと思います」

「なるほど…。 本当にアルジェさんのレシピを知りたいのなら嫁にしなくてはいけないと…」

「そういう事ですね! やらんけどな?」

こよみ…。フォローは助かるけど、ママムーブが強すぎる。

コメント欄も“嫁にくれー”ってすごい数。”男の娘でも構わないから!” なんてのも…。

その設定、まだちゃんと覚えててくれる人がいて嬉しい。最近はもう忘れられてそうだったし。



そろそろいいかな?とパルム先輩が炒めてくれている具材を見るといい感じ。

「じゃあさっき作った煮汁を入れて…」

「僕がやる…」

「ヴィオラさん、おまかせしますね。沸騰するまで中火でゆっくり見ててください」

「見てるだけでいいの?」

「はい。沸騰したら灰汁とりをしますけど」

「悪鳥なのだ! マリーが取られるのだー!」

「我は鳥ではないぞ!?ドラゴンだ!」

「似たようなもんなのだ」


「灰汁とりというのは、煮汁が沸騰した時に浮いてくる余分なものですね」

「はい。Kさんの言われるとおりです。マリー先輩のことでは無いので落ち着いて…うっ…」

痛ったぁ…。マリー先輩の翼、結構硬い。

「アルジェ!? 悪かった…ちょっと最小半径がな?」

「撤去! 撤去! なのだ!」

「大丈夫ですから…。 マリー先輩の翼かっこいいですね」

「だろう? さすがアルジェ。わかってるではないか!」

「それはいいけど、本当に邪魔だから。 アトラ、撤去!」

「ふむ。アルジェが負傷してはみんな困るしな。任された」

「なん…だど…」

結局マリー先輩はコンロのそばから撤去されて、離れた場所で一人しょぼんとしてて見てられない。


「味見してもらうときにはお願いしますね」

「そうか! うむ…我はそれまでいい子に待ってるとするか!」

「扱い上手いねぇ…。あの傍若無人のマリーがおとなしく座ってるよぉ」

「マリーが可愛く見える日が来るとは思わなかった」

「それな!」

2期生の先輩方のコメントが辛辣すぎませんか。

マリー先輩は椅子に座り、嬉しそうに足をプラプラさせててすごく可愛らしいのに。ちっちゃなドラゴンの姫と言われてもみんな信じると思う。

コメント欄にも僕と同じような意見が多数流れてるし…。









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