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引きこもりの僕が男の娘ヴァーチャルライバーになった話 ~スカウトされた大手事務所には〇〇しかいませんでした~  作者: 狐のボタン


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ななじゅーご



「はいはい、みんな静かに! ここの説明をするからちゃんと聞きなさいよ〜」

副社長ちゃん?いや、アトラ先輩?もうどっちかわかんない…。だって服はアトラ先輩姿で黒のカッコいい衣装なのに、サングラスはしてないんだもの。


「アトラなの?副社長ちゃんなの?どっち!?対応に困るからハッキリしてほしい…」

ピノ先輩も判断に困ったみたいだ。

「料理するのにサングラスしてると困るから仕方ないのよ。撮影中はアトラとして扱って。貴女達も頭の装飾は邪魔になるようなら外してもいいから」

当たり前だけど首から上は映さないもんね。


パルム先輩はすぐにケモミミを外してしまったし、ソフィリナ先輩も顔の包帯を取って投げ捨ててる…。

頑なに外さないのはマリー先輩。角とか羽とかが邪魔だってまたソフィリナ先輩と揉めてる。


「マリー、ソフィリナ。少し静かに。 説明するって言ったでしょう?」

「アトラも言ってやってほしいのだ! 絶対に料理の邪魔なのだ!」

「難しいところね。たしかに邪魔になるけど、取ってしまうとマリーじゃなくなるし…」

「ほらみろ!」

「そのまま撮影するしかないわね。邪魔そうならマリーごと撤去するわ」

「なんだと!?」

「ザマァなのだ!」

あのお二人は見てると面白いなぁ。リアルにソフィリナ先輩とマリー先輩がケンカしてる姿なんてリスナーさんが見たらすごく喜びそうなのに、見せられないのが残念なくらい。



「説明続けるわよ? ここは公式に住所が公表されている、ニューホープの本社扱いの事務所なのよ。で、このキッチンスタジオは元々社員用のカフェのキッチンを撮影のため一時的にスタジオへと仕立て上げたものだから、多少不便かもだけど安全は保証するわ」

「住所が公開されてるのに?」

「それだけセキュリティが厳重なビルなの。だから機密性の高い商品開発とかもここでしてるのよ」

ここまで上がってくるのに大変だったもんね…いくつも鍵のついた扉を抜けたし、こちらにあるエレベーターも簡単には使えないくらいだし。



その後はこれからの撮影に関して副社長ちゃんが直々に説明して下さり、スタッフの方達が忙しくなった。

機材の他に食材とか調理器具も並べられて、アッという間に配信環境が整えられたのはもうすごいの一言。


「さてと、ここからは私もアトラとして配信に出演するから貴女達もそのつもりでお願いね」

「はいはーい。じゃあ私が先輩だからなー?」

「わかっている…」

ピノ先輩の発言に、副社長ちゃんの顔が引きつってるのは気のせいじゃなさそう…。



最終打ち合わせをして、配信の開始は16時から。

「食材を見ても何を作るのか全くわからない私なんかが本当に料理をして大丈夫なのかな」

「大丈夫だよパルム。私もなんにもわからないから」

「同レベルのピノに保証されてもなぁ」

「パルムよりはマシ! カップ麺くらいは作れるし!」

不安そうな先輩もみえるけど、あまり難しくないものをスタッフの方達と相談して決めたから大丈夫だと思う…。



用意されたものの中で僕が一番驚いたのは調理器具。

すべてのものが映り込みを防ぐために艶のないもので統一されてる。それこそ包丁も表面に顔が映らない凸凹した槌の跡があるタイプだし、鍋とかも全部そういった処理がされてる物が集められてて、徹底ぶりに恐ろしくなった…。

だってこれだけ揃えるのにいくらかかったんだろう?ってね…。


「”配信開始までカウントダウンしまーす。 みなさん準備をお願いしますね”」

スタッフの方から声がかかり、未だ揉めていたマリー先輩とソフィリナ先輩もパッと切り替える。みんなすごい…。僕も頑張らなきゃ…。



「皆さんお待たせしました。 司会進行、解説は私、マネちゃんKが行います。 それでは先ずは参加者の自己紹介から〜。衣装でリスナーさんの方々もすぐにお解りだとは思いますが、初見さんの為にも一期生から順にお願いします」

この声、紲さん!?まさかだった…。でも聞き慣れてる声だから安心するかも。



「待たせたな…?今日は武器を調理器具に持ち替えて食材を倒していくよ…」

「メルティさんはお料理の経験はありますか?」

「ひみつ…」

「なるほど…。お料理教室の第一回になる今回、一期生からは唯一の参加ですから頑張ってくださいね。 お次は…」

「パパパルム〜! って事で二期生からは私パルムと〜…」 

「こんピノ〜! ピノっ子みてるかー! あっ、誰だ?実物はひんそーって書き込んだやつ! 今日はちょっと調子悪いだけだから」

「今日はおやすみぃ〜じゃないよぉエセルと遊ぼぉ〜でもなくってぇお料理するよぉ」

「はい、二期生からはパルムさんとピノさん、エセルさんが参加です。料理ができないと公言されている方もみえますが、今回の意気込みを聞かせてください」

「アルジェちゃんに教わって一品くらい作れるようになれたらなーと…」

「だね。いつも作ってもらってばかりだから頑張ります!」

「二人よりはましかなぁ?頑張るよぉ〜」

「気迫だけは伝わってきました。きちんと説明を聞いて、焦らないよう頑張ってくださいね。 お次は…」

「ふははは! ドラゴン娘のマリーとは我のこと! 喰ろうてやろうかニンゲンども!」

「うっせーのだ! さっきから羽が邪魔くせーのだ!」

「マミーは墓に帰って寝てろ!」

「やんのかこらーなのだ!!」

「というわけで、三期生からはマリーさんとソフィリナさんです。…揉めてるので次行きますね〜」

「「えっ」」


「相変わらずやかましい奴らだ…」

「「なにおー!!」」

「…四期生アトラだ。バカ二人を足止めしてろと言われてな…。勇者達は別の依頼で不在だ」

「アトラさんお一人で大丈夫ですか?」

「この程度の奴ら勇者達が出張るまでもないだろう…」

「先輩に対して生意気なのだ!」

「ブレスで焼き尽くしてくれるわ!」

リアルに暴れるお二人を軽くあしらってるアトラ先輩がカッコよすぎる。さすが勇者パーティーの一人。


「…えーでは、お次は今回実写配信が初めてになるお二人です」

「今夜は銀じゃなく料理でテーブルを彩ります! アルジェですー! そしてー」

「紫雲の夜にヴィオラを奏で幸福を運ぶヴィオラです。 僕も料理は何もできないからよろしく…」

「という訳で今回の主役、アルジェさんと同期からはヴィオラさんの参加です。ヴィオラさんもお料理は苦手ですか?」

「もう本当になーんにもできない。今日は少しでもマシになるよう頑張るつもりで参加しました!」


「お料理できない人ばかり大集合って感じですが、アルジェさん、大丈夫そうですか?」

「はい! 僕も初めは何もできなかったので、一つ一つ覚えていけば皆さんなら絶対に大丈夫だと思います。 それにアトラ先輩とは何度か会社でお料理したのでとっても頼りにしています!」

「任せてくれ。邪魔になるようならコイツらの排除も任せてくれ」

「それは我のことか!?」

「自覚してるのだ? ぷぷー」

「…包帯めくるぞ?」

「洒落になんねーのだ! みんなも期待するななのだ!」


こんな感じににぎやかに始まった実写配信。

今回は個人のチャンネルではなく、ニューホープ公式チャンネルでの配信になるから、本当にぜーんぶスタッフの方にお任せ。

リアルタイムで色々と配信に手を加えたりとかもしてるそうだから…。もし写り込んだりしてもすぐに対応される安心仕様。



「アルジェちゃん…今日は何を作るの…? まだ教えてもらってない…」

「あ、そうでしたねメルティ先輩。 以前会社でも作りましたが、僕の得意料理でもあり、和食といえばこれって名前が出てくるものを選びました!」

「和食…」

「食材はジャガイモと玉ねぎ、あとは人参もあるのだ」

「肉もあるぞ!」

「これなんなのだ?」

「糸こんにゃくだよぉ」

「なるほど…私はわかりましたが皆さんはどうでしょう? おーコメントにはお料理名が沢山流れてますね。一番多いのは肉じゃがですが、アルジェさん、合ってますか?」

「はい! 大正解です」

僕が作るのはお母さんの味になるけれど…。

……お母さんでいいんだよね?こんなタイミングでこよみに言われた、僕だけ血のつながりがないと言うのを思い出してしまい、チクリと胸が痛くなった…。


僕の母の味でいいんだよね?

「アルジェちゃん…?」

「え、あ、ごめんなさい。 少し手順を思い出してました。まずは下ごしらえからしていきましょう」


そんな感じに実写配信は始まった。







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