ななじゅーに
先週の分間違ったものを投稿していたので差し替えました。
部屋に戻る途中で、ちょうどメルティ先輩とピノ先輩に遭遇。
「話は聞いた…。他人事じゃないからちゃんと話し合うよ…」
「ですね! シェアするのか取り合うのか、この際はっきりしましょう!」
「ピノ! ほんとにアンタは…」
先輩達が賑やかに話してる後ろをついていく。
こよみ…。本当にどうしちゃったんだろう。大丈夫かな…。
僕の部屋の前で仁王立ちみたいなスタイルで待ち構えていたこよみ。
「アルジェちゃんはちょっと席を外しててもらえる?先輩方もそのほうがいいですよね?」
「え…でも…」
「そうだね、申し訳ないけど少し私達だけで話させてもらえる?」
パルム先輩まで…。
こよみが心配だから同席したかったのに、メルティ先輩にまで”ちょっと時間つぶしてて…”って言われては諦めるしかない。
ピノ先輩だけは”それはソレでハァハァ…”とか言っててよくわからなかったけど…。
行くあてもなくて、僕も誰か相談できる人を…と考えて思い浮かんだのは医務室の先生。
前にも話を聞いてもらって落ち着いたから。
エレベーターで移動して、医務室にお邪魔したらまさかの人が。
「アルジェさんじゃないですか。体調不良ですか?もしも過酷な労働を強要されているのならすぐに言ってくださいね。改善させますから。ひろみとも約束していますし…」
「体調は大丈夫です。少し先生に相談したいことがあって…」
「先生ってどっちの〜?」
そう言って笑う医務室の先生。
「ここに来ているのに私ではないでしょう。 では話も終わりましたし、私はこれで…」
「ええ。また困ったら相談するわ」
「いつでもどうぞ」
あっ…そっか。弁護士の彩乃さんも先生になるのか。一瞬なんのことかわからなくて固まってしまってた。
医務室から出ていく彩乃さんに頭を下げ見送る。前の事件では本当にお世話になったし…。
「それで?体調不良でもなく、私に相談ってどうしたの?」
「えーっと…ものすごく個人的な話なんですが…」
「え…私に告白!? ってそんなキョトンとしないで。冗談だから。 どんな話でも聞くから大丈夫。人に話さないでほしいと言うのなら社長ちゃんにだって話さないわ」
「ありがとうございます。 実は…」
ーーー
ーー
先生に事情の説明。真剣に聞いてくれるからものすごく安心する。
「なるほどねー。これはパルム達には強力なライバル出現か…」
「……?」
「妹ちゃんの気持ちはわかったわ。 アルジェちゃんは?妹ちゃんの事をそういう目で見たことはないの?」
「恋愛対象としてって話なら無いです。 だって妹ですよ?」
「そうよね…。 でも、本当に血のつながりがないのなら法律的な問題はないし、妹ちゃんの言い分も通るのよねぇ」
「と言われましても…ずっと妹として接してきた相手ですし…」
「問題はそこよ。 妹だからっていう理由だけで対象から外されたら、こよみちゃんは納得しないと思うわよ〜?」
でも実際に妹なのに…。今から意識を変えられるか?と言われたら…。無理だと思う。
「いきなり言われても難しいかもしれないけど、妹だからと話を終わらせてしまわずに、先ずは女の子として見てあげるというのから始めてみたら?」
「はぁ…」
こよみが女の子なのは間違いないけれど、だからってどうしろというのだろう。
「戸惑う気持ちもわかるわ。 でもこよみちゃんを傷つけなくないからとそんなに悩んで、わざわざ私に相談してきたくらいなのだから、よく考えてみるといいわ。その上で断るのならこよみちゃんも納得するかもしれないし。考える間もなく断られても納得できないでしょう?」
「そう…ですね」
相談してはみたものの、心は晴れず…。むしろ悩みが膨らんだまである。
先生は”また悩むようならいつでもおいで“と言ってくれたから、また来よう…。
先生にお礼を言い、医務室を後にした。
そろそろ部屋に戻らないと。紲さんが迎えに来てくれる時間までもう少ししか余裕がない。
部屋に戻り、扉に手をかけたタイミングで、そういえば追い出されてたんだった…と思いだし、部屋の外で待つことにした。
出かける準備はできているから、このまま現地へ移動になっても問題はないし。
部屋の中で何を話してるのか気になるけれど、防音と遮音対策が完璧なビルの中。声が漏れ聞こえるはずもなく。
スマホで時間を見ると待ち合わせの15分前。
紲さんは必ず十分前迄には来てくれるから、もうこのまま廊下で待つか〜とか思ってたらちょうど紲さんが…。
「すみません、お待たせしてしまいましたか!?」
「いえいえ! ちょっと部屋に入れないだけでして…」
「えっと、ここアルジェさんのお部屋ですよね?」
その筈なんだけどね。今は追い出されてるわけで…。
「紲、パルム見てない?」
廊下を足早に向かってこられたのはパルム先輩のマネージャーちゃん。
「見てないですね、連絡は…」
「返事がないのよ。ピノとメルティさんのマネージャーも連絡がつかないって探し回ってるわ!」
「ピノさんはわかりますけど、メルティさんもですか!?」
「こんな事は初めてで…会社に来てるのは確認しているから、一番可能性の高いアルジェさんのお部屋に居るのでは…と思ってきたのだけど、空振りだったみたいね」
「アルジェさんならここにみえますからね」
「あ、あの! パルム先輩もピノ先輩もメルティ先輩も部屋の中にみえますよ」
「「はい!?」」
驚かれる気持ちは少しわかる。だって部屋の主が外に追い出されてるんだから。
「え、修羅場ですか!?」
「アルジェさん、三人は部屋の中で何を…」
「妹の相談に乗ってくださってます。僕には聞かせたくない内容なのか、部屋を出てるように言われてしまって」
「「ああ…」」
お二人は何故か納得した様子。僕は何もわからないのにどういう事だろう。
「ピノとメルティさんのマネージャーには連絡しておきます。 紲、皆さんを車へと連れてきて! 私は他にもやることあるから」
「任されました」
パルム先輩のマネージャーちゃんは、スマホを操作しながらまた走っていかれた。
「アルジェさんはここでお待ちくださいね。直ぐに三人をお連れします」
「は、はい」
僕の部屋…。
紲さんは合鍵を使い扉を開けると、室内へと入っていってしまった。
ま、いいか。移動するのにいるものは持ってるし。
少し待っていたら全員そろって部屋を出てきた。
しかもこう…なんていうか、例えるならカフェから揃って出てきた仲の良いお友達、って雰囲気で。
こよみが怒ってたから、てっきりふてくされてるなりしてると思っていたのに。こんなことなら僕を追い出さなくてもよかったのでは?と思うんだけど…。
それとも悩み相談して吹っ切れたのだろうか?
「こよみ…?」
「アルジェちゃん、忘れ物はない?」
「え? う、うん。スマホとかは持ってるし、特にこれといって持っていくものも無いからね」
撮影場所にすべて用意されてるって話だから、本当に身一つで行くだけだもの。
因みに、今日何を作るかってのは僕と紲さんやスタッフの人たちしか知らない。
先輩方にもリスナーのみんなにもサプライズという形になってる。
「皆さんには時間に余裕を持って集まってはもらってますが、現地で着替え等の準備もありますので直ぐに移動していただきますね」
「ん…。一番心配なピノが来てるから安心…」
「そうですね、遅刻の常習犯ですし」
「否定できないけど、後輩の前で言わなくても!」
そういえばピノ先輩って時々盛大に遅刻するので有名だった。
それもあるから会社に住んでるって…。それでも遅刻する時があるらしく、会社にいるのにどうやって?と、そこが謎なんだよね。
でも実家にいた頃、一緒に買い物に行くとき僕が待ちくたびれていたら、こよみも言ってたっけ。”女の子は準備に時間がかかるものなの!”って。
紲さんに案内されて、エレベーターにのり地下二階へ。
初めて地下駐車場に降りるかも…。
「駐車場に車を待たせています。他の方も順に乗り込んで居られますから、皆さんで移動していただきます」
「うちのマネちゃんはどうするんだろ…ってスマホに鬼電きてる!」
「…ピノは当然…」
「うわっ、私もだ!」
「私もだった……」
皆さん探してたみたいですし…。
あれ、そういえばこよみもついてくるんだ?
「見学として同行するよ!」
「なんで思ってることを読んだように答えるの」
「何となくそんな気がしたから?」
さすが兄妹…。
「む…」
なんで不機嫌になるん……。




