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引きこもりの僕が男の娘ヴァーチャルライバーになった話 ~スカウトされた大手事務所には〇〇しかいませんでした~  作者: 狐のボタン


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ろくじゅーはち



こよみはそのままこの週末は僕の部屋に泊まるといい、荷解きしてる。

一泊や二泊の荷物の量じゃないんだけど…。

「こよみ、荷物多くない?わざわざ廊下にトランクおいてたの?」

「お兄ちゃんに泊まる許可がもらえなかったらそのまま持ち帰るつもりだったからね」

あ…うん。いきなり大荷物で来たら何事!?ってなるもんね。最悪、家出を疑ってたかもしれない。

「お母さん達や社長ちゃんからはお兄ちゃんの返事次第って言われてたんだよ」

「前もって手を回してるのは流石だよ…」

「言い方ひどくない?ちゃんと筋を通しただけだよ」

敵わないなぁ。うちの妹はしっかりしすぎてる。


泊まるのはいいんだ、でもね?

「こよみ、部屋は和室を使いなよ。空いてるんだから」

「えー…。慣れないところだからお兄ちゃんと一緒の部屋がいいんだけど」

それならどうして泊まるのか…。自宅のが落ち着くだろうに。

渋るこよみをなんとか説得して和室の方へ荷物を運ぶ。


「お兄ちゃんのケチ!」

「こよみももう高校生なんだから」

「…チッ」

今舌打ちした!?怖…。


「それにしてもかなりの荷物だね」

「週末だけとはいえ、女の子には必要なものが多いの!」

「はいはい…」

恐らく化粧品だろう小瓶やらの小物に、服もたくさんあるから備え付けのタンスへとしまう。

「見てみて! 凄くないこれ?」

「ちょっとこよみ…そういうのを兄の僕に見せびらかすのはどうなの?」

「…これもだめか」

何がしたいの。あんな下着みたいな服を身体に当てて見せてくるとか。


妹の行動にため息をつきながら手伝えるものは手伝い、なんとか早い段階で整理整頓はできた。

「僕はこの後打ち合わせがあるからもういくね」

「わかったよ。私もやりたいことあるから大丈夫。部屋で大人しくしてるよ」

「ならいいけど。冷蔵庫に飲み物とかもあるから好きに飲んでいいからね」

「はーい!」


部屋を出て、紲さんへと連絡。もうすぐメーカーさんの方も到着するそうだから急がないと。

3D配信部屋に隣接されている会議室に集まる予定だからそちらへ移動。

途中で先輩方とすれ違ったから挨拶。

「アルジェ、今日の夜ご飯は何なのだ?」

「まだ決めてないんです。ソフィリナ先輩は何か食べたいものありますか?」

「リクエストしていいのだ?それならオムライスがいいのだ!」

「我は肉がいい! オムライスなど軟弱!」

「なにおー!」

マリー先輩に聞くと必ず肉って返事が返ってくるんだよね…。

「わかました、なんとかしてみますね」

お二人の希望に添えるものか…。


どうしようかと悩みながら会議室へ行き、シラチャソースのメーカーからみえてる広報の方と最終打ち合わせ。

「ではこのまま撮影に入りますね、アルジェさん大丈夫ですか?」

「はい!」

手慣れたスタッフの方が準備してくれてるから僕は指示どおりに撮られるだけだしなぁ。

CM用の映像を撮ったら、そのままコラボパッケージ用の写真も撮影するから、終わるのは夕方だな。


今回は新衣装の方での撮影だから、部屋の大画面に映る自分の姿にまだ慣れないのもあってちょっと新鮮。

数パターンのセリフ違いで録画して、直ぐに本社へ送られる。便利な世の中だよなぁ。

おかげで僕は会社から出る必要も一切ないんだから。



「ありがとうございました! 本社からもおっけーの返事が出ましたよ」

「良かったです。お疲れ様でした」

「お疲れ様です。 あの…それでですね、会社の何人からお願いされてて…サインを頂く事はできますか?」

「勿論大丈夫ですよ」

最近は慣れてきたよなぁ。だいたいコラボしたメーカーさんの人にはサインを頼まれる。

「くれぐれも販売等されないようお願いしますね。契約内容にも記載されているので大丈夫だとは思いますが、渡す相手にも徹底してください」

「は、はい!」

紲さんがぴしっと釘を指す。この辺は社長ちゃんが厳しいからだね。

前にどこかの会社の人が先輩のサインをオークションに出したらしく、その会社には契約違反で高額の違反金の請求と、コラボも途中で中止になるという大事件があったそうだから。

最近はニューホープがそういうのに厳しいというのは周知されているから大丈夫だろうけどね。


何枚かのサインをして手渡し、今日のお仕事はおしまい。

メーカーの方を玄関まで見送り、部屋に戻る間に紲さんから明日の予定を聞く。

「明日はいよいよお料理配信ですね」

「はい。準備から片付けまで本当にお任せでいいんですか?」

「ええ。そのためにスタッフがいますから。アルジェさん達は配信にだけ集中してください」

助かるけどいいんだろうか…。洗い物とかでさえお任せらしいから。


「予想外に参加者が多くなりましたし、無理なさらないでくださいね」

「料理にはそこそこ慣れてるので大丈夫ですよ?」

「いえ…慣れない人たちの面倒を見る労力は普段の何倍にもなりますから」

何やら実感がこもってますが、何かあったのだろうか。お疲れの様子ですし…。

「大丈夫ですか…?」

”ピリリリ…”

「すみません、電話です…。はぁ、またあの子ですか!?今度は何をやらかしたんです!?」

紲さんは少し呆れながら電話に出る。

会話の内容からおそらくマネージャーさん仲間だろうとは思う。スケジュールの管理がーとか言ってるから。


「すみません、アルジェさん。この後、少しお時間いいですか?」

「大丈夫ですよ、今日のお仕事は終わりましたし。明日は予定もあるので今夜は配信もお休みですから」

「ありがとうございます。今、私が教育している新人を紹介しておきたいんです。これからアルジェさんとも顔を合わす機会も増えるかと思いますから」

「新人さんですか…」

さっきの電話のやり取りにも納得。


キッチンで料理もしたいから、そちらで待ち合わせ。

「ちょっと抜けているところがある子なのでご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、私が全力でサポートしますから大目に見ていただけると…」

「僕もまだ新人ですし、同じようなものなので…」

紲さんや先輩方に頼ってばかりだからね。





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