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引きこもりの僕が男の娘ヴァーチャルライバーになった話 ~スカウトされた大手事務所には〇〇しかいませんでした~  作者: 狐のボタン


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ろくじゅーさん



あとをつけられた事件の事態が突然動いたのは、僕が会社に住み始めて一月程たってからだった。

その間に同期のお二人と案件で一緒にお仕事をしたり、アルジェの新衣装お披露目もあった。

最近はもう会社にいるのが当たり前になってきてて、社長ちゃんとは毎日会ってお話してるからか、なんだかもうお姉さんみたいに身近な人に感じているし、キッチンエリアで副社長ちゃんと一緒に料理をしたりと、すっかりここにいる事に馴染んでしまった。



そんなある日の夕方、突然社長ちゃんに呼ばれて…。

紲さんと社長室へ行くと、部屋の中には社長ちゃんと副社長ちゃん、それに弁護士の彩乃さん。あとは何故かメルティ先輩とエセル先輩まで…。

ストーカー関係の話だと聞かされていたのだけど、まさかまた先輩にご迷惑をおかけしたのだろうか。


「アルジェちゃん、長い間不便させてごめんね。ようやく事件の真相がわかったよ」

「そうなのですか!?」

「うん。詳しい事は彩乃から話してもらおうかな」

「わかりました。では…、まず先日、私と一緒にひろみのマンションを出てから跡をつけていたのはエセルさんでした」

「エセル先輩がどうして…」

「それはですね…」

「その先は私に弁解させてもらえるかなぁ?」

「ではお任せします」

「あのねぇ…アルジェちゃんのお姉さんの住んでるマンション、実は私も住んでるのぉ」

「そうだったんですね、ここからも近くて便利ですもんね」

セキュリティもしっかりしてるから、女性の一人暮らしだと安心なのかもしれない。うちのめんどくさがりの姉でさえセキュリティを気にして選んだくらいだものね。


「それでねぇ、あの日たまたまアルジェちゃんを見かけて、声をかけようと思ったんだけどぉ…ちょっと怖そうな女の人がいて声かけられなくて」

ひろみ姉さんの事だよね、間違いなく…。雰囲気が怖そうに見えるのは弟の僕でもわかるし。



「その人と別れた後に声をかけるつもりで後ろをついていってたんだけどぉ…」

「私が危険人物と勘違いして逃げ回ったと言うわけです」

「じゃあ不審者とかは勘違いだったんですか?」

「…いえ、実はそういう訳でもなくてですね…。そちらはメルティさんから説明していただけますか?」

「…ん。わかった。 アルジェちゃんがストーカーにあってるかもって聞いてから、行き帰りの時に気をつけて見てたら、怪しい人をみつけて、あとをつけたら犯人がわかった…」

「メルティ先輩、お気持ちは嬉しいんですけど、先輩も危ないかもしれないんですから無茶しないでください!」

先輩に何かあったら…僕は…。

「…わかった。もうしないからそんな悲しそうな顔しないで…?」

顔に出てましたか…。


「監視カメラに映らない位置取りとかを徹底してて、メルティが見つけてくれなかったらわからなかったから許してあげてね」

「許すとかそんな…。もしメルティ先輩に何かあったら…って不安で怖くて…心配になっただけですから。 でも、外部の人でそんな事情に詳しい人がいたんですね」

「そこなんだよ。実はね、うちの契約しているセキュリティ会社の人間が犯人だったんだよ」

「ええ…」

セキュリティを入れたのに本末転倒というか、こういうのを獅子身中の虫とでも言うのだろうか。


「セキュリティ会社とはしっかりと話し合い、犯人も特定されました。ここからは私の専門なのでお任せを」

彩乃さんは弁護士だものね。頼もしい。


「その人の狙いは何だったんですか?」

「アルジェちゃんよ。 ガチ恋してしまって、会いたい一心で待ち伏せていたらしいわ」

怖い怖い…。もし捕まってたらどうなってたんだろう。

「美咲、もう少し言い方に気をつけて。怯えさせてどうするの!」

「そうは言うけどね、社長ちゃん。これからもガチ恋勢は絶対に現れるわ。今回みたいな行動に移る人もいるかもしれないっていうのは覚えておいて損はないのよ。今後も警戒するという意味でもね」

「…守るから大丈夫。アルジェちゃんは私が守る…」

「メルティ、貴女も他人事ではないのよ?」

そうだよね…。メルティ先輩は僕よりもずっと人気のある方なんだから。ましてや女の人なのに。


「怖い思いさせてしまってごめんねぇ…」

「いえいえ! エセル先輩は何も悪くないじゃないですか。しかも僕は何も気がついてなかったですし…」

「あれに関しては私の早とちりもありますから。エセルさんも気にやまれないでください」

「でもぉ…」 

「エセルの事だからみるからに怪しい格好してたんでしょ?」

「そんなつもりはないのにぃ…」

「…エセルは外だとフード被ってサングラスしてるから、怪しいといえば怪しい…」

「そんなぁ…」

エセル先輩は変装でもしておられるのだろうか。有名人ではあるものね。

でも、ヴァーチャルの姿しか知られていないから、声を出したりしなければバレないのでは?ううん、違うね。普段からそれくらい警戒して気をつけておいたほうがいいって事かも。



こうして一連の事件は無事に解決。あとはもう彩乃さんにおまかせしておくしかない。

問題は僕が家に帰るかどうかってところで…。

事件解決の一報は社内へ周知されて、先輩方から安心したって内容のメッセージと同時に、会社に住まなくなるの?って質問が…。

「あー…わかってはいたけど、みんながアルジェちゃんを会社に住まわせてあげてって私に直接言ってきてるね」

「社長ちゃんにですか!?」

「仕方ないわよ。アルジェちゃんがいてくれたこの一月、毎日美味しいものを食べられてたのよ?それがあるからって泊まり込んでる子も増えたくらいだもの」

「アルジェちゃんはどうしたい?うちとしてはこのまま住んでくれたほうが安心ではあるんだけど」

「いいんですか…?女の人しかいないのに…」

「むしろみんなが住んでほしいって言ってるんだよ。完全に胃袋掴んじゃったね?」

そう言って笑う社長ちゃん。


この一月、会社に住まわせてもらって毎日が楽しかった。

先輩方や会社の人達は温かいし、お仕事にも慣れてきて会社に居ると仕事上も色々と便利なのは間違いない。

唯一の心配事は女性しかいないという事だけど、今のところ特にトラブルも起きていないんだよね。

大浴場には近づかないようにしてるし、洗濯も会社内にコインランドリーみたいなのがあるから困らない。

あ、後もう一つ問題はあった…。

妹のこよみが絶対に反対する。前回会社に泊まりに来たときに夜配信の後、部屋に戻らなかった時にものすごく不機嫌になってて、ひろみ姉さんが間に入ってくれなかったらどうなってたか…。


「やっぱり帰りたい?」

「いえいえ。皆さんが大丈夫ならこのまま住まわせてください。家族との話し合いは必要かと思いますけど、僕としてはこちらにいたいので…」

「わかったよ。引っ越すっていうのならそちらの手配も紲ちゃんに頼んでね。今回のこともあるし、信頼できる業者に頼むから」

「わかりました」

そっか、会社内へ私物とか運び込むのに、普通の引っ越し業者さんだとマズいか。


社長室を出たあと、直ぐにこよみへとメッセージを送っておいた。








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