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引きこもりの僕が男の娘ヴァーチャルライバーになった話 ~スカウトされた大手事務所には〇〇しかいませんでした~  作者: 狐のボタン


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ろくじゅーに



ふと目が覚め、部屋を見渡しても何処にいるのか全然わからなくて…。

徐々にしっかりと意識が覚醒してきてやっとここが配信部屋のベッドだったと思い出す。

少し離れたところでパルム先輩も寝息を立てているから、起こさないようにそっとベッドから降りる。


部屋の時計を確認するともう朝の五時を過ぎている。仮眠のつもりががっつり寝てしまったっぽい。

どちらにしても僕の部屋にはこよみとひろみ姉さんが泊まってたからベッドは使えなかったし、良かったのかも。

この部屋のベッドが馬鹿みたいに大きいおかげでパルム先輩が同じベッドの上にいても、距離が離れてて一緒に寝たって感じがないのも良かった。相手は女の人だし、本当に気をつけなきゃ…。


今から自分の部屋へ戻ってもこよみ達を起こしてしまいそうだなと思い、ゲームとかの配信をする機材がある方へ行き、そこのソファーに座る。

こっちもふわふわのソファーで、僕一人くらいなら普通に寝れそうなくらいおおきい。


三人くらいなら並んで座っても余裕があるし、そのまま配信もできそう。ここでゲーム配信をするのならパーティーゲームとかみたいな和気あいあいとやれるものが良いな。

僕はFPSとかアクションゲームみたいなのは本当に苦手な上にすぐ酔ってしまうから…。


先日もメルティ先輩にFPSゲームのコラボをしないかって誘ってもらったのだけど、酔ってしまうからって説明をして、コラボ前に一度お試しプレイした。

でも、案の定5分と保たずに吐き気に襲われてしまい、FPSゲームのコラボの話は中止になってしまった。

メルティ先輩が得意のゲームだから一緒にやりたいって言ってもらってたのに…。

無理しなくていいとは言ってくれたんだけど、“得意のゲームで活躍するところを見せたかったのに”って残念そうにしてて申し訳なかったんだよね…。

なんとか克服できないかと個人的に頑張ってはみたんだけど、どうにもならなくて結局医務室のお世話になった。

先生には“ゲームなんだから無理してやる必要はないのよ〜”って言われたんだけど、ヴーチャルライバーとしてそれでいいのか?と…。

先輩から誘ってもらったのに、そのゲームは出来ないのでごめんなさいなんて…。でもこればかりはどうにもならなくて本当に申し訳なくなる。


メルティ先輩は違うゲームでコラボしようって言ってくれて、そちらでの予定は改めて組まれている。

スケジュールの確認をしようと仕事用のスマホを見たら、通知がとんでもない数。

え、なに…?どういう事…。


確認すると、相手は紲さんを始め先輩方からのメッセージが多数。

「アルジェちゃん、それ…返事しなくていいからね」

「ひゃっ…! パルム先輩…起きられたんですね」

「そんな驚かなくても。何もとって食ったりしないよ?」

音もなく背後に立たれていたら普通は驚きますって…。


「それより、メッセージへの返信はしなくていいから。わかった?」

そう言ってスマホを取り上げられてしまい、何やら操作をされてから返してもらった。

「でも先輩方からのメッセージなのに…」

「私が説明しておいたから大丈夫。配信終わりの暫くしかメッセージ来てなかったし」

メッセージの届いてる時間を確認しようにもすでにメッセージが消えてる…?あれ?


多分僕が寝落ちしてしまったくらいに連絡が来てたって意味なんだろうけど、パルム先輩…メッセージを消しました?

配信中は通知とかの音を消してるし、そのまま寝てしまったから気がつけなかったんだろう。

「あの、メッセージは…」

「返信は要らないと言っても残ってると気になるでしょ?」

「そうですけど…」

何も消さなくても…。確認くらいしなくては失礼になるだろうに。寝てしまった僕が一番悪いんだろうけど…。


「寝落ちしてしまってすみません」

「いいよ、いいよ。配信はもう終わってたからね。あれは眠くなっても仕方がないって。私も寝てたくらいだから」

ふかふかだもんなぁあのベッド。



部屋を片付けて廊下に出ようとしたら先輩に呼び止められた。

「待って! 私が先に出るから。いいって言うまで部屋の中で待ってて」

パルム先輩はドアをそっと開けて廊下を覗き込んだ後、ホッとしたように廊下へ出る許可をくれた。


「アルジェちゃんは自室に戻るんだよね?」

「いえ、まだ少し早いのでキッチンエリアにでも行こうかと…。また作り置きしておきたいですし」

「いつも本当にありがとね。普段食べる事に無頓着な子も最近はちゃんと食べてくれてるのはアルジェちゃんのお陰だよ」

「できることをしているだけなので…」

喜んで食べてもらえてるのなら嬉しいし、ここにいて役に立てていると思えるのは僕自身にとっても励みになるから。


大浴場へ行くというパルム先輩とは別れてキッチンエリアへ。紲さんがいつも食材は補充してくれているから、それでまた何か作ろう。

こよみとひろみ姉さんはいつ起きるんだろう?起きたら連絡くるかな?とプライベートのスマホを見ようとして、部屋に置いてきたことを思い出す。

しまったなぁ…。配信する時にはプライベートの方は必要ないからって持ってこなかったんだった。

ま、いっか。遅くても8時すぎれば起きるだろうし、それまではキッチンエリアで色々と作ったりして時間を潰そう。


冷蔵庫を開けるとたくさんの食材が詰まってて、これなら色々と作れそう。

ここ数日、毎日の様に使っているキッチンだから使い慣れてきたし、こうやって作ってると誰かが来て味見してくれたりするのもいつもどおり。

今日来てくれたのは2期生で、パルム先輩と同期のハーティ先輩。社長ちゃんから配信を見ないようにと言われている先輩の一人でもある…。

「今日も作ってくれてるの?」

「はい。まだしばらくは会社のお世話になりそうですし…」

「いつもありがとね。アルジェちゃんが料理してくれるおかげであーしもきちんと食べれてるよ」

「また作り置きしておきますから」

ハーティ先輩は配信してると食事や睡眠をしない人達の中の代表みたいな人で、案件で出かけなくてはいけないことも多いからこそ、それ以外はリスナーの人たちを大切にしようと頑張ってる結果そうなってしまうと。

だったら尚の事しっかりと食事くらいはしてほしいって思うから…。


「昨夜はパルムとお楽しみだったの?」

お楽しみ…?配信のことかな?

「コラボしていただいて、すごく楽しかったですよ。新しい部屋も初めて使わせて貰いましたし」

「…そっか。良かったね」

「はい。朝食になにか食べられます?よろしければ作りますよ」

「嬉しいけどいいの?」

「勿論です」

せっかく来てくれたのだから何か食べてってほしいし。


「あー! アルジェさん、やっと見つけましたよ!」

「おはようございます、紲さん」

「おはようございます。…ではなくてですね、大丈夫でしたか!?」

「えーっと…?」

「紲ちゃん、落ち着きなって。大丈夫だったみたいだし」

「しかしハーティさん!」

「アルジェちゃん、紲ちゃんにもコーヒー貰える?」

「はーい。すぐ淹れますね」

紲さんすごく慌ててたけどどうしたんだろう…。

やっぱりなにか重要な連絡事項があったとか…?でもパルム先輩がそんなメッセージを消してしまうとも思えない。…んー。直接聞くしかないか。


コーヒーを手渡し、昨夜のメッセージについて聞いてみたら、ようやく色々と話がつながった。

「みなさんアルジェさんをパルムさんに汚されたとか寝取られたとか大騒ぎでしたよ…。本当に寝ていただけだったのですね」

「あまりにも心地よくて…。配信が終わってホッとした瞬間に眠気に負けてしまって。ご心配おかけしました。 でも、汚されたとか寝取られたってどういう意味ですか?」

「アルジェちゃんは気にしなくていいから。紲ちゃんももう少し言葉選ばないと」

「すみません…。昨夜はパルムさんに何もされませんでしたか?」

…?

「本人がキョトンとしてるくらいだし大丈夫だって。パルムはそーゆーことする子じゃないし」

「そうですね…。きちんと連絡も頂いてましたし。周りのみなさんがあまりにも騒がれるので不安になってしまって」

「ピノじゃないんだから。まぁ、あーしも二人きりでそんなシチュだったら耐えられないと思うから、パルムは相当意思が強いか、本当に大切に思ってるか…どっちかだね」

「ハーティさんだって口では過激な事言われますけど実際は…」

「それ以上はいけない! あーしのキャラが崩壊するから!」

「すみません…」

朝食の用意をしている後ろでお二人がそんな会話をしていたけど、半分くらい意味がわからなかった。




















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