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引きこもりの僕が男の娘ヴァーチャルライバーになった話 ~スカウトされた大手事務所には〇〇しかいませんでした~  作者: 狐のボタン


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ろくじゅーいち



配信を始める前に機材の確認と調整。

さすが手慣れているパルム先輩は、初めての部屋でも迷いがない。

「へぇ〜。こうやって横になってても天井や壁のモニターにしっかり映るからわかりやすいね」

「なんだかこうして部屋の四方八方にキャラが映ってると、鏡張りの部屋にいるみたいですね」

「確かに…。余計に………みたいじゃん」

「え?」

「なんでもないよ。配信にはどの角度からの映像をのせようか?やっぱり上?」

「ですかね?横からのだとどちらかが隠れてしまいますし」

「ま、いつでも切り替えられるし、臨機応変にいこうか」

「はいっ!」


最終調整をして配信開始。

「パパパルム〜! みんなお待たせ。今日のゲストはアルジェちゃんだよ」

「こんばんわ! みんなの夜を銀に彩るアルジェですっ」

この挨拶、こよみの提案の中から比較的僕でも恥ずかしくないものを選んだ結果。

他が癖強すぎるんだもの…。選択肢がほぼないようなものだった。



今日の配信はみんなからの質問に答えながらの雑談予定になってて、事前に募集した質問の中から、紲さんたちマネージャーさんやスタッフの人達がチョイスしてくれたものに答えていく。

「みんなには私とアルジェちゃんへの質問を事前に募集してあったんだけど、沢山ありがとね。すっごい数だったから厳選するのに大変だったみたいよ。時間的に極一部にしか答えられないけど許してね〜」

「本当にすごい数ですね、ありがとうございます」

総数も纏められているけれど、何万って数の質問が来ていたらしい。当然内容がかぶっているものも多かったみたいだけど、それでもすごい。


「じゃあ早速一つ目いこうか。アルジェちゃん、読み上げてくれる?」

「はーい。 えーっと…”イベントの時にアルジェさんが料理を色々と作っていたけど、お二人の得意料理はなんですか?“ですね」

「うっ…。パルマーは私が料理できないの知ってるでしょ! 代わりにアルジェちゃんに答えてもらおう。どれも美味しかったけど、アルジェちゃんが自分で得意だって思う料理はある?」

「えっと…そうですね、やっぱり母に教わった和食が一番でしょうか」

「肉じゃがとか?確かにすごく美味しかったなぁ」

「ありがとうございます。 煮物や魚の煮付けなんかも母の得意料理なので、僕もよく作ります。パルム先輩は全く作られないんですか?」

「無理無理。レンチンが限界。 あ、コラ! 誰だ?”パルムは女子力皆無“とかコメントしたやつ!」

「パルム先輩は女子力高いですよ。すごく優しいお姉さんですし」

「素直なフォローが沁みるわ…。お世辞でも嬉しいよ」

本当なのに。


「ふたつめは私が読み上げるね。えーっと”アルジェちゃんのフィギュアドールの予約が始まったので予約しました! 追加で服のバリエーションの発売予定はありますか?”だって。試作品でもすっごく可愛かったもんね。私も予約したよ」

「そうなんですか!?」

「うん。大変だったけど絶対に欲しかったし。 アルジェちゃんの方は服のバリエーションについてはなにか聞いてる?」

「えっとですね、それに関してはマネージャーちゃんから話せる範囲での情報をもらってます。新衣装のお披露目がされるタイミングで、その衣装の発売について公式から発表があるそうです」

「じゃあもうすぐだね。来週に新衣装のお披露目でしょ?」

「はい。なのでその時にフィギュアドールの衣装の発売についても告知があると思います」

「そっちも絶対に予約しなきゃ…」

「パルム先輩も新しい衣装が発売しますよね?」

「うん。私のはもう予約始まってるから、パルマーのみんなは忘れずに予約しておくんだよ!」

僕も先輩方のフィギュアドールって買えるのかな?って一度確認したんだけど、全部売り切れてた。

定期的に再販はあるそうなんだけど、毎回受付開始数分でなくなるとか…。

とても買える気がしないんだよね。それこそ再販の予約が始まる日に公式サイトにかじりついてないと…。

今は忙しくてそんな余裕もないから諦めざるを得ない。



他にもいくつかの質問に答えていたんだけど、ここでコメント欄から突発的に質問を受け付けることになり…。

凄まじい速さで質問のコメントが流れていく。

「すっごい速さだね。でも結構同じ質問があったからそれにしようか」

「”寝ながら配信してるんですか?“ってやつですね」

「そうそう。 実はやっと新しいグループ配信部屋が完成して、今日はその一つを早速利用してるんだよ」

「鏡張りみたいな部屋に大きなベッドがあって、寝心地良いですよね」

「お、おう。そうだな!?」

なんでパルム先輩は焦ってるの…?


「みんな余計なこと書き込まないのよ!?いい? これはフリじゃないから!」

「…? 実際にパルム先輩の隣に寝転んでるので、みんなが見てるままの状態なんですよ。すごいですよね、ここの部屋」

「アルジェちゃん、それ以上はやめようか!」

「え…。ごめんなさい、もしかして秘密でしたか?」

今まで機材について社長ちゃんからも紲さんからも口止めとかされた事もないんだけど…。

僕が機密に関するような細かいことまで知らされていないってのもあるんだろうけど、ここは駄目だったのかな?


「秘密ではないんだけどね…」

…?よくわかりません…。

「と、とにかく! 次の質問行くよー!」

「あ、コメント欄にピノ先輩とメルティ先輩が来てくださってるみたいですよ。みんなが教えてくれてますね」

「…うわぁ。やっば…」

「他にも先輩方が何人もコメントしてくださってるみたいです! 早すぎて見えなかったので、後で確認しますね」

「いや、見なくていいから。間違いなく私への呪詛だと思うし」

「じゅそ…?」

「気にしなくていいよ。 ほら、次の質問、読み上げてー」

「は、はい! 次は……」

その後も予定されていた質問を消化していき、最後に雑談。



「…いやー。質問いっぱいだったね。みんなありがとう。 さてと、配信を終わる前にアルガードの子達にも弁解させてもらえる? 私もこの部屋を意図的に取ったわけではないの。知らなかったんだよ。これだけは本当に信じて。だよね?アルジェちゃん」

「はい。完成したばかりの新しい部屋で、パルム先輩も僕も初めて入りましたから。他にも何部屋か新しい部屋が出来たそうなのでそちらも早く見てみたいです」

「私はもう嫌な予感しかしないけどね…。デザイン設計したの誰よ…」

「社長ちゃんじゃないんですか?」

「多分そうなんだろうけど、何を考えてこのチョイスなのか問い詰めたいよ」

「お仕事が忙しくてお疲れでゴロゴロしたかった…とかですかね」

「アルジェちゃんは純粋なままでいてね…。私達の癒やしだから」

「えーっと、はい、わかりました?」




そんな感じで二時間と少しの配信を終わり、全ての機材も停止。

「お疲れ様でした、パルム先輩」

「お疲れ〜。…部屋から出るの怖いわ」

「何かあったんですか?」

「あったというか現在進行形というか…。防音のおかげでなんとかなってるんだけどね。鍵かけといて正解だった」

「…ふわぁ……。ごめんなさい。 配信終わったって思ったら眠くなってきました…。こんなふわふわのベッドで寝転がってて寝落ちしなかったのが不思議なくらいです…」

「気持ちはわかるよ。一人だったら寝落ちしてた自信ある」

「ふわぁ…」

「…眠かったら寝ていいよ。この後、部屋を使う予定も組まれてないし。私も部屋を出る勇気無いから」

「…はい〜」

駄目だ…配信終わってホッとしたからかすごく眠い。

ちょっとだけ…仮眠したら部屋に帰ろう。










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