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引きこもりの僕が男の娘ヴァーチャルライバーになった話 ~スカウトされた大手事務所には〇〇しかいませんでした~  作者: 狐のボタン


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ろくじゅー



こよみと夕食の仕度を終えたくらいに、ちょうどひろみ姉さんと紲さん、それに彩乃さんも部屋へと来てくれた。

「しばらくはアルジェの手作り料理が食べられなくなるからな。今日は食べさせてくれ。彩乃もついでに頼む」

「多めに用意してあるからいいよ。 そっか、しばらくひろみ姉さんのマンションにも行けないもんね」

「仕方ないだろう。お前の安全の確保が最優先だ。なに、彩乃は優秀だからな! 必ず突き止めてくれるだろうさ」

「だといいのですが…。今のところ大した手がかりもなくって。ひろみも気をつけてね。もしかしたらひろみも狙われている可能性があるんだから」

「わかっている。お前から散々言われたからな。今日も気をつけて来たくらいだ」

そっか、朝にひろみ姉さんのマンション近くからつけられたってなると、僕だけがターゲットとも言い切れないのか。


“うーん…”っと悩むようにしながらこよみも言葉を挟む。

「何日もたってて、監視カメラとかを確認しても見つからないってなると…相手が監視カメラの場所を詳細に把握してるって事ですよね?」

「ニューホープの会社と周辺のいくつかの関連ビルの監視カメラ全ての位置を把握しているなど、うちのスタッフや一部のタレントくらいかと…」

会社の人たちは当然把握しているだろうし、先輩方の中にも長く所属しておられるのなら把握してたりするのかな。


「その人たちは調べたんですか?」

「身内を疑えと?」

「除外するのもどうかと思うんですよね。だって、私もアルジェちゃんが心配だからできるならこっそり見守りたいって思いますし…」

こよみ!?妹にそこまで心配かけてるって…兄としていたたまれないんだけどな。


「つまりなにか?こよみは悪意があるのではなく心配だったりとかそういう理由で見守っているやつがいる可能性も考えろと?」

「そう! ひろ姉の言う通り。まぁ悪意が無かったにしても、見つけたら一言くらいは言いたいけどね」

「…わかりました。可能性の一つとして考えてみます。現状、他に当てもありませんし…」

「スタッフやタレントのスケジュール、用意いたしますね」

「お願いしていいですか?私が社内で嗅ぎまわるといらぬ誤解を与えてしまいそうですし」

「マネージャー仲間にも声をかけて集めておきます。後は社長ちゃんか副社長ちゃんにも尋ねてみるとよろしいかと。確実に把握されておられますし」

「ですね、連絡入れておきます」

何だか大事になってきたな。会社の人を疑うなんて…。

あまり気分のいいものではないし、本当に早く解決してほしい。



夕食の後、紲さんと彩乃さんは直ぐにまたお仕事に取り掛かるからと部屋を出ていかれた。

「今夜は彩乃の部屋に泊めてもらうつもりだったんだが、仕方がない。ここに泊めてもらうぞ」

「いいけど、ベッドが一つしかないからこよみとつかってね。僕は床に寝るから」

「えー、そこはお兄ちゃんがベッド使うべきでしょ、部屋の主なんだから」

「気にしなくていいよ。それに、この後配信があるから遅くなると思うし…。先に二人は寝てていいからね」

「見るに決まってるでしょ、ね、ひろ姉」

「ああ。酒のツマミにでもするから気にするな」

夕食の時にも飲んでたのにまだ飲むんだね。程々にしてよ?

飲みすぎないように見てて欲しいとこよみに言ってから配信部屋へ行くために部屋を出た。



今夜はパルム先輩とのコラボだけど、先輩は自宅から配信するって言ってたし、個人の配信部屋へ行こう。

階層の移動のため、エレベーターに乗ろうと待っていたら”チーン“という到着の音と共に扉が開き、中にはまさかのパルム先輩が。

「あら、迎えに来たんだけどちょうどよかったね。入れ違いにならなくて済んだよ」

「パルム先輩、こんばんわ。会社へ来られてたんですね」

「まぁね。 …元気そうでよかった。直接顔を見たかったんだよ」

「すみません、パルム先輩にもご心配おかけしてしまって…」

「気にしなくていいから。大切な後輩で仲間だからね。心配するのは当然!」


せっかくパルム先輩も会社に来たんだからとグループ配信部屋を使う事になり、そちらへ移動。

「部屋が空いててよかったよ」

「ですね。追加の部屋も完成したんでしたっけ」

「うんうん。元々防音やらの設備は整ってたんだけど機材の設置がされてなかったからね。その工事も昨日終わったし。今日はその新しい部屋の一つを使うよ」

「楽しみです。どの部屋も雰囲気が違ったりとかしてて楽しいですし」

「新しい部屋も色々こだわったって話だから楽しみにしていいと思うよ」

パルム先輩もまだ見てなくて、今日が初めての利用らしい。



話しながら移動して、確保した部屋に入ると…。

「……いやいや。これ、どういう趣旨!? まるでラブ○じゃない! 社長ちゃんの趣味なの?」

「…?」

パルム先輩は呆れてるけど、室内はネオンのような照明でピンクや紫に照らされ、寝転がって配信するの?って感じに大きな丸いベッドが部屋の中央に置かれてる。

あっ…これあれだ!

「エセル先輩なら有効活用されそうですよね」

「え、アルジェちゃんエセルと寝たの!?」

「何の話ですか? ほら、エセル先輩って聞きながら眠れるおやすみ配信が人気じゃないですか。だからにあいそうだなぁーって」

「ああ! そーゆーね? びっくりしたぁ…。あいつ、ほわほわしてるくせに手が早いのかと思ったわ」

パルム先輩は本当になんの話をしてるのです?


「せっかくだし、私達も有効活用しようか」

「はい。今日は雑談配信ですし、のんびりお話できそうですね」

「ゲームだったらこの部屋は使いにくいからね」

一応そちらにも対応出来るようにデスクの方にもパソコンはあるけど、メインは大きなベッドっぽい。

3D配信用の部屋みたいに天井や壁にも機材が設置されてるし、多分ごろごろしながらでもちゃんとキャラが動くような配信が可能なんだと思う。

僕も多少なり機材の種類がわかるようになってきたからね。


後ろから聞こえたガチャリ…っと鍵をかけた音にびっくりしてしまった。

普段、配信部屋のドアに鍵がついててもかけたりしないパルム先輩が…?

「配信中に誰か来たら困るからね」

「はい…?」

基本、誰かが配信している部屋に無断で入るような人はいないはずだけど…。声が入ってしまったりとかしたら困るから。

ま、いいか。パルム先輩がかけたほうがいいと判断したのなら別にそれでも。


大きなベッドに乗るとふわふわで、天井を見上げるとそちらも全面がモニター。

ベッドの枕元にあるスイッチ類は配信用のものなのだろうか?見てもよくわからない。

試しに触れたダイヤルは、部屋を照らすネオンのような照明の明度の調整用だった。

「こんなものまであるなんて…。本当に社長ちゃんはなんのつもりでこの部屋を用意したのやら」

「配信用ではないんですか…?」

もしかして使われてない時にはお昼寝に利用するのかも?でもなぁ社長ちゃんも社内に自室があるのにわざわざここで寝る必要もないだろうし…。

「配信用なんだけどね、何て言えばいいのか…。とりあえずアルジェちゃんはあまり気にしなくていいよ」

「はーい。 あれ…?」

「どうしたの!?」

「いえ、ベッドの側に小型の冷蔵庫があるんです。開けてもいいんでしょうか」

「大丈夫だと思うよ。別料金とかはないだろうし…」

会社内に置かれている飲み物やお菓子は基本無料だものね。一応ロビーには自販機もあるけど、お金を入れる必要もない。


ただ、キッチンエリアの大きな冷蔵庫だけは気をつけなくてはいけない。

なんせ先輩方が個人的に買ってきたアイスやデザートが入っている時もあって、名前の書かれているものは取ってはいけないってルールがある。

僕は食材を入れる方の冷蔵庫しか取り出さないけどね。大きい方はもっぱら入れる専門。

できた作りおきの料理とかを入れるから。








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