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引きこもりの僕が男の娘ヴァーチャルライバーになった話 ~スカウトされた大手事務所には〇〇しかいませんでした~  作者: 狐のボタン


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ごじゅーろく



三人揃って部屋を出て、マンションの前で行く方向の違うひろみ姉さんとは別れた。


僕は彩乃さんと一緒に会社へ向かう。

「アーちゃんは今日も仕事なの? 昨日まで忙しくしてなかった?」

外ではスッと呼び方を切り替えるのは流石ニューホープの顧問弁護士。

僕も気をつけないと…。

「はい。会社でまた別のお仕事があるので」

「大変だね。無理はしないように。無茶な仕事を振られるようなら私のところに来てね、ちゃんとお休みを取れるようにするから」

「ありがとうございます。僕はまだそんなに忙しくもないので…」

「…ちょっとごめんね」

彩乃さんはいきなり僕の手を掴むと早足で歩き始めた。どうしたんだろう?


会社とは違う方向へと曲がり、今度は狭い路地へ入る。

「あの…?」

口の前で指を立てて”静かに“っていうジェスチャー。


しばらくそのまま路地で彩乃さんに庇われるようにしていたけど…

「…気のせい…? でも万が一がありますし、少し遠回りしましょう」 

「…?」

「大丈夫です。ちゃんと会社へは送りますから」

そうではなくて説明を…と言いたかったのだけど、それ以降は雑談とか会話をする雰囲気ではなく。

ときどき立ち止まったり、歩く速度を変えたり…。また別の道へ入ったりと、もうどこにいるのかもわからなくなった。

ここで置いて行かれたら確実に迷子になるなぁ…とか考えてた。


手を繋がれたまま会社とは違うビルへと入り、中にいた人にも一切咎められることもなく当たり前のように建物内を通過。

裏口みたいな別の扉から外へ出て、すぐまた隣の違うビルへと入る。

こっちの入り口には人がいて、彩乃さんの顔を見ただけで鍵付きの扉を開けて中へと入れてくれた。



「もう大丈夫ですよ、アルジェちゃん」

「ここは…?」

「ニューホープのビルです」

え?じゃあ別の入り口から入って来たってこと?

確かに床はしっかりとした絨毯が敷かれていて、音が響かないのはいつもの会社と同じ雰囲気。


また手を繋がれたまま、別の扉を抜けたら今度こそ見慣れた一階の廊下だった。

「お?アルジェなのだ! なんでこんなところに二人でいるのだ?」

「おはようございます、ソフィリナ先輩」

えーっと僕にも何がなんだかで…説明のしようがないんです。 

「コレは事件のによいなのだ!」

嬉しそうに走り去ったけどどうしたのだろう。

「厄介な子に見られてしまいましたね。 すみませんアルジェちゃん、社長ちゃんへ報告に行きたいので同行してもらえますか?」

「はい。僕もご挨拶したいので」

僕はいつも会社にくると先ずは社長ちゃんに挨拶をしに行くのが恒例になってるし。


社長室へ向かう間も手を離してもらえないまま、途中何人かの先輩とすれ違ったのだけど、皆さん頭を押さえてフラフラとしてて…。もしかしてみんな二日酔い?

昨日の打ち上げって何時までやってたのだろう。


「社長ちゃん、彩乃です」

彩乃さんが社長室の扉をノック。

「うん?入っていいよー」

手を繋がれている僕も当然一緒に入室。


「朝から彩乃が来るなんて珍し…ってどうしたの?」

「それが…」


彩乃さんが社長ちゃんに説明している内容を聞いていたんだけど…。

「つけられてた…ね」

「はい。気のせいかもとは思ったのですが…念の為、別ルートで会社へ来ました」

「アルジェちゃんは気がついてた?」

「いえ! 今聞いてびっくりしたくらいですし…」

僕がそんな事されるなんて夢にも思わないから気にしたこともないし。



「こちらでも手を打っておくけど、今日アルジェちゃんを一人で帰らせるのも心配だし…。護衛つけるか…?」

「それでしたら私が」

「…彩乃が!? 珍しい、自分から仕事しようとするなんて。弁護士の仕事を逸脱するけどいいの?」

「はい。 一宿一飯の恩もありますし、何よりアルジェちゃんは…」

「…ん? ちょっと待て。アルジェちゃんと一晩過ごしたの!?」

「あ、いえ! そうではなくて。昨日は大学時代の友人と飲んでいたんですが、その友人が…」

「社長ちゃん! アルジェちゃんいますか!?」

彩乃さんと社長ちゃんの会話をぶった切るようにドンドンと叩かれる社長室の扉。

この声…。


「ソフィリナ、あの子は本当に…!」

「はいはい、入っていいからあんまり乱暴に扉を叩かない!」

部屋に入ってきたのはソフィリナ先輩とピノ先輩。

「ほら! 一緒にいるのだ! 緊急通路から二人で手をつないで同伴出勤してたのだ!」

「弁護士が未成年に手を出すなんて!!」

「はぁ……」

彩乃さんすっごいため息。

「彩乃、社長の私が納得する説明できるんだよね?」

「できますから、あなた達も落ち着きなさい。きちんと説明しますから」


彩乃さんは昨日、友人のひろみ姉さんの家でたまたま会った事や、今朝、家を出てしばらくしてから後をつけられていた可能性があったから、緊急通路から会社へ入って来たとか説明して…。

「アルジェちゃん、本当?」

「姉と彩乃さんが友人だったのは本当です。僕も昨日初めて知りましたけど…。つけられていたかは僕にはわからなくて…ごめんなさい」

「そんなストーカーみたいな事するのピノ先輩じゃねーのだ?」

「違うわ! アンタも朝まで私達みんなと飲んでたでしょう」

「そういえばそうなのだ」

朝まで打ち上げ続いてたんだ…。お二人は徹夜明けのテンションってやつですね。


「彩乃の話はわかったけど、アルジェちゃんがつけられていたかもっていうのは無視できないし、こちらで対策しておくよ。心配しないでね、アルジェちゃん」

「はい…ご迷惑おかけしてすみません」

「こういう時にちゃんと守ってあげるのも私や会社の仕事だからね、気にしなくていいよ」

「私が護衛する!」

「ピノは無し! 理由は言わなくてもわかるでしょう!」

「えー! 心配なのに…」

「ピノに任せるほうが心配なの!」

今日は仕事が終わり次第自宅へ帰るつもりしてたけど、どうしようかなぁ…。








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