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ふわまるずのおはなし2  作者: 空野 翔


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9/13

ラムちゃんのふわふわデー

ここはふわまるずが暮らす、ふわまるタウン。


今日は、なんだかぽかぽかした空気が漂っています。


おやおや、あの子はいったい何をしているのかな?




ラムちゃんは、今日も特に予定がありませんでした。


でもそれで、ぜんぜんかまいませんでした。


「ふわ~……」


広場のまんなかで、ラムちゃんはのんびり空を見上げました。

雲がゆっくり流れています。


「あの雲、ふわふわだな~……」



しばらくして、ポチが走ってきました。


「ラムちゃん、何してるの?」

「……くもをみてた」

「雲?」

「……あの雲、綿あめみたい」


ポチは空を見上げました。


「……ほんとだ」

「おなかすいてきた」

「雲見てておなかすくの!?」

「……うん、すく」




ふたりは、ひーくんのお店へ行きました。


「ひーくん、綿あめある?」

「綿あめはないけど、ふわふわのパンケーキならあるよ!」

「「それにする」」


ふたりの声が重なりました。



パンケーキは、ふわふわでした。

ラムちゃんはひとくち食べて、目を細めました。


「……ふわふわ」

「おいしい?」

「……ふわふわ」

「それしか言わないの?」

「……ふわふわにしか言えない」


ひーくんが嬉しそうに笑いました。




パンケーキを食べ終わって、ラムちゃんはまたふわふわ歩きはじめました。


ポチがついてきます。


「ラムちゃん、次どこ行くの?」

「……さんぽ」

「どこまで?」

「……きもちいいところまで」

「それ、どこ?」

「……あるいてたらわかる」




ラムちゃんのさんぽは、ゆっくりでした。


花屋のまえで立ち止まって、お花のにおいをかいで。


「……いいにおい」


橋のうえで立ち止まって、川の音を聞いて。


「……いい音」


坂道のとちゅうで立ち止まって、風に吹かれて。


「……きもちいい」


ポチはそのたびに立ち止まって、一緒に感じました。

言われてみると、たしかに全部よかったのです。



やがてふたりは、ライくんの畑のそばまで来ていました。

ライくんが水やりをしながら、顔を上げました。


「あれ、ラムちゃんとポチ。どこ行ってたの?」

「……さんぽ」

「どこまで?」

「……ここまで」


ライくんは笑いました。


「じゃあ、少し休んでいく?」

「……うん」




三人は畑のそばに並んで座りました。


風がふわっと吹いて、葉っぱがゆれます。


日差しがぽかぽかして、あたたかい。


ラムちゃんはしばらくして、ぽつりと言いました。


「……ここが、きもちいいところだった」

「ここに来るつもりだったの?」

「……きてみたらわかった」


ポチはなんとなく笑いました。


「ラムちゃんって、なんかすごいね」

「……ふわっとしてれば、ふわっとたどりつく」

「それ、どういう意味?」

「……わからない」




三人はそのまま、しばらく何も言わずにそこにいました。


風の音と、水の音と、遠くの鳥の声だけが聞こえていました。


それで、じゅうぶんでした。



ふわまるタウンには、ふわっとしている子がいます。


ふわっとしていると、ふわっといい場所にたどりつくことがあります。



—おしまい—


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