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ふわまるずのおはなし2  作者: 空野 翔


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10/13

おみせのこの、ひみつのじかん

ここはふわまるずが暮らす、ふわまるタウン。


今日は、お店がみんなお休みの日です。


おやおや、あの子たちはどこへ行くのかな?




月に一度、ふわまるタウンのお店が全部お休みになる日がありました。

その日だけ、ぽかりもミエルもココナもルミエも、お店を閉めます。


「今日なに食べる?」


ぽかりがのんびり聞きました。


「ひーくんのお店、今日もやってるんじゃない?」


ミエルが言いました。


「今日は、どこのお店もお休みじゃなかった?」

「でも、行こうよ!」


ルミエがにこにこしました。


「ついでに、ちょっとお散歩も」


ココナが元気よく言いました。




四人でひーくんのお店に向かいながら、ぽかりが言いました。


「みんなで外に出るの、久しぶりだね」

「ほんとにそうだね」


ミエルが空を見上げました。


「いつもお店にいるから、町をゆっくり歩くことってあんまりないよね」

「そうね」


ルミエがうなずきました。


「お客さんが見てる景色と、同じ景色を歩いてる感じ」




ひーくんのお店に着くと、ひーくんが驚いた顔をしました。


「四人で来るの、はじめてじゃない?」

「みんなでお休みだから」

「ひーくんも今日、お休みだよね?」

「うん、でもみんなが来たから作るね!」

「えっ、いいの?」


四人が、きょとんとしてます。


「じゃあ、いっぱい作るね!」

「「「また多めに作るんだ!」」」


ひーくんはきょとんとしました。


「なんでわかったの?」



スープとパンが、どっさり運ばれてきました。


「ひーくん、これ何人分?」

「えっとね……」

「もういいよ」


四人は笑いながら食べはじめました。


食べながら、ミエルが言いました。


「ねえぽかり、カフェのジュース、どうやって作ってるの?」

「花の蜜を少し足してるの。ミエルがやってる、みたいな」

「それ、うちのジュースと同じ素材だ」

「そうなの?」

「うん。でも全然ちがう味になるんだよね、不思議」


ルミエが首をかしげました。


「作る人が違うから?」

「そうかも」




ルミエがつぶやきました。


「ねえ、みんなさ、どうしてお店やろうと思ったの?」


しばらく静かになりました。


ぽかりが最初に言いました。


「……なんとなく、かな。ゆっくりした場所があったらいいなって」

「カフェっぽいね」


ミエルが言いました。


「わたしは、花の蜜が好きすぎて。みんなにも飲んでほしくて」

「ミエルっぽい」


ルミエが言いました。


「わたしはね、かわいいものを並べてるとしあわせだから」

「ルミエっぽい!」


ココナが言いました。


「わたしは……お花が好きで、育てるのも好きで。お店にしたら毎日できるから!」

「ぜんぜんちがうのに、みんなお店やってるんだね」




帰り道、四人でふわまるタウンをぶらぶら歩きました。


ぽかりがのんびり空を見て、


ミエルが道ばたの花に気づいて、


ルミエがショーウィンドウを覗いて、


ココナがどこからか種を拾いました。


「やっぱりみんな、自分のお店みたいだね」


ルミエが笑いました。


「それがいいんじゃない?」


ぽかりがのんびり言いました。




夕方、それぞれのお店の前で別れました。


「またお休みの日にね」

「今度は、どこに行く?」

「またひーくんのお店行こう」

「多めに作ってもらおう」

「ひーくん、喜んで作るよ絶対」


四人は笑いながら、それぞれの扉を開けました。




ふわまるタウンのお店には、それぞれのお店らしい理由があります。


明日もまた、扉が開きます。



—おしまい—


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