フクさんとギンタのふしぎけんきゅう
ここはふわまるずが暮らす、ふわまるタウン。
今日は、広場のベンチに妙な組み合わせのふたりが座っています。
おやおや、何をしているのかな?
フクさんは、今日も本を読んでいました。
ギンタは、今日も音楽を聴いていました。
ふたりは同じベンチに座っていましたが、特に話しかけてもいませんでした。
それが、ふたりにとってちょうどいい距離感でした。
しばらくして、フクさんが本を閉じました。
「ねえ、ギンタ」
「……」
「ギンタってば!」
「……」
フクさんはギンタの前に立って、手を振りました。
ギンタがヘッドフォンを片耳だけ外しました。
「あ、フクさん。なに?」
「この本によると、音楽を聴くと頭がよくなるらしい」
「そうなの?」
「本に書いてあった」
「……ほんとかな」
「試してみよう」
こうして、ふたりのふしぎけんきゅうがはじまりました。
ギンタがヘッドフォンをフクさんに渡しました。
「つけてみて」
フクさんはヘッドフォンをつけました。
「……おお」
「どう?」
「音が、ちかい」
「そうでしょ」
フクさんはしばらく目をとじて、音楽を聴きました。
「……頭がよくなってる気がする」
「気がするだけじゃない?」
「でも、気がする」
次に、ギンタがフクさんの本を手に取りました。
「ぼくも読んでみる」
「いいよ」
ギンタはページを開きました。
じっくり読みます。
「……これ、どういう意味?」
「この部分はつまり、音の波長が脳に作用して……」
「むずかしい」
「そうかな?」
「むずかしい」
ギンタは本を閉じました。
「……音楽の方がわかりやすい」
そこへ、ポチが通りかかりました。
「フクさんとギンタ、何してるの?」
「けんきゅう」
「何の?」
フクさんが答えました。
「音楽で頭がよくなるか、本で音楽がわかるようになるか」
「……結果は?」
ふたりは顔を見合わせました。
「頭がよくなった気がする」
「本はむずかしかった」
「……そっか」
ポチはよくわかりませんでしたが、うなずきました。
昼過ぎ、ふたりはまた並んでベンチに座っていました。
フクさんが本を読みながら、ギンタのヘッドフォンから流れる音楽を少し聴いていました。
ギンタが音楽を聴きながら、フクさんの本のページをちらっと見ていました。
特に何かがわかったわけではありません。
でも、なんとなく、悪くない午後でした。
「フクさん」
ギンタがヘッドフォンを片耳外して言いました。
「なに?」
「また一緒に、けんきゅうしよう」
「うん、いいよ!」
「今度は何をけんきゅうする?」
フクさんはしばらく考えてから、本を一冊取り出しました。
「この本によると、昼寝をすると記憶力がよくなるらしい」
「……それ、けんきゅうしやすそう」
「そうだろう?」
ふたりはそのまま、ベンチでうとうとしはじめました。
これがけんきゅうなのかどうかは、よくわかりません。
ふたりが満足しているのなら、まっいいか。
—おしまい—




