ふわまるタウンのハロウィン
ここはふわまるずが暮らす、ふわまるタウン。
今日は、町がいつもと少しちがう色をしています。
おやおや、みんなが何か準備をしているようですよ?
朝、広場にポスターが貼ってありました。
「ふわまるタウンのハロウィン きょうのゆうがた ひろばにあつまれ!」
「ハロウィンだ!」
ポチが飛び上がりました。
「かざりつけ、てつだう!」
広場では、みんながてんでばらばらに準備をしていました。
ルナがかぼちゃのランタンを並べながら踊っていました。
ころんがどんぐりとオレンジ色の葉っぱを集めて飾り付けていました。
ひーくんがかぼちゃスープをどっさり作っていました。
レオくんがコウモリのかざりをたてがみにつけようとして、からまっていました。
「レオくん、大丈夫?」
「……大丈夫じゃない」
夕方になると、みんながそれぞれの格好でやってきました。
ポチは魔法使いの帽子をかぶっていました。
ジロウはまるいままおばけのシーツをかぶっていました。
ユキはお姫様のドレスを着て、マイクを持っていました。
ギンタはいつものヘッドフォンに、コウモリの羽をつけていました。
ミーちゃんは黒猫のカチューシャをつけて、うとうとしていました。
フクさんは魔法使いのローブを着て、本を持っていました。
サクラは魔女の帽子をかぶっていましたが、どこかから毛糸玉が転がってきて、目が離せなくなっていました。
ラムちゃんはふわふわのままで来ました。
「ラムちゃん、仮装は?」
「……もふもふのおばけ」
「そのまま?」
「……そのまま」
トータス村長がのんびり言いました。
「では、はじめましょうか」
「「「やったーーー!」」」
まず、かぼちゃのランタンに火をともしました。
広場がオレンジ色に染まりました。
「きれいだね」
「うん」
ライくんがしずかに言いました。
ルカがそのきれいさを歌にしようとしましたが、言葉が見つからなくて、ハミングになりました。
それがまた、きれいでした。
次に、お菓子を配りました。
ひーくんがかぼちゃクッキーを焼いていました。
「何枚焼いたの?」
「……多めに」
「やっぱり!」
でも、みんなで食べたらちょうどよくなりました。
ジロウがおばけのシーツをかぶったまま転がりはじめました。
「いっくよーーー!」
「ジロウ、シーツがずれてる!」
「みえなーーい!」
コロコロコロ――。
ジロウはそのまま、広場をひとまわりしました。
モン吉がこっそり、フクさんのローブのうしろにくっついて、脅かそうとしました。
「うらめしや~!」
「ほう」
フクさんは振り返らずに言いました。
「この本によると、うらめしやというのは……」
「もういいよ!」
ユキがマイクを持って歌いはじめました。
ハロウィンの歌でしたが、音がだいぶはずれていました。
でも、みんな慣れているのでそのまま聞きました。
ギンタだけはヘッドフォンをしていたので、聞こえていませんでした。
すっかり暗くなったころ、広場はランタンのあかりだけになりました。
みんなの顔が、オレンジ色にぼんやり照らされています。
「こわい話、する?」
ポチが言いました。
「するする!」
「ぼくから!」
「じゃあわたしも!」
こわい話は、ぜんぜんこわくありませんでした。
フクさんの話は途中で意味がわからなくなりました。
モン吉の話は自分で笑ってしまいました。
ミーちゃんは話の途中で眠りました。
「ミーちゃんが、いつものように寝てる」
「ミーちゃんが一番こわくないね」
「……ぐっすり」
帰り道、ポチがライくんに言いました。
「楽しかったね」
「うん」
「来年もやろうね」
「うん」
ランタンのあかりが、遠くでまだゆらゆらしていました。
ふわまるタウンのハロウィンは、こわくなくて、あたたかくて、オレンジ色でした。
—おしまい—




