お月見のよる
ここはふわまるずが暮らす、ふわまるタウン。
今夜は、空にまあるいお月さまが出ています。
なんだか、外に出たくなる夜ですね。
フクさんは、夜が一番はっきりする体質でした。
昼間はぼんやりしていても、夜になるとなんだか目が冴えてくるのです。
「今夜も、きれいだな」
広場のベンチに座って、フクさんは空を見上げました。
今夜のお月さまは、特別まあるくて、特別明るい。
本を読もうとしましたが、なんだか読む気になれませんでした。
月があまりにきれいだったので。
しばらくすると、足音が聞こえてきました。
「あれ、フクさん?」
ポチでした。
「ポチ、こんな時間に」
「なんか月が明るくて、眠れなくて」
「そっか。僕も、ここにいいよっと」
ポチはフクさんのとなりに座って、空を見上げました。
「……すごいね。こんなに明るいんだ」
「お月見日和だよ」
またしばらくして、足音が増えました。
ライくんでした。
「ふたりとも、ここにいたんだ」
「ライくんも眠れなかった?」
「うん。月が気になって」
ライくんはふたりのとなりに座りました。
それから、ひとり、またひとり。
ルナが踊りながらやってきました。
ころんが木の実をほっぺに詰めたままやってきました。
ミーちゃんがふわふわとやってきました。
「ミーちゃん、眠れなかったの?」
「……おそとが、ひかってたから」
「月のせいだね」
「……うん」
ミーちゃんはそのままベンチのはしに座って、空を見上げました。
五秒後には、うとうとしていました。
ひーくんが、お盆におだんごを乗せてやってきました。
「みんないるかなと思って、作ってきたよ」
「ひーくん!」
「何個作ったの?」
「……多めに」
「やっぱり!」
みんなでおだんごを食べながら、月を見ました。
甘くて、やわらかくて、口の中でとろけるようでした。
「おいしいね」
「うん」
「月って、なんでまるいんだろう」
ポチがつぶやきました。
フクさんが本をめくりました。
「この本によると……」
みんなが少し身構えました。
「……月はとても遠いところにあるらしい」
「それは合ってそう」
「今日は合ってた」
フクさんは、みんなの顔を見ました。
いつもは昼間にぎやかなみんなが、夜はなんだか少しだけ、静かでやさしい顔をしています。
「フクさん、毎晩こうやって起きてるの?」
ライくんが聞きました。
「うん。夜の方が、いろいろよく見えるから」
「本も?」
「本も。あと、空も」
ポチが笑いました。
「じゃあフクさん、夜の方が得意なんだ」
「昼より、たぶん」
月がゆっくり、空を渡っていきます。
おだんごはぜんぶなくなりました。
ひとりずつ、眠そうになってきました。
ルナが先に帰りました。
ころんが次に帰りました。
最後にポチが、大きなあくびをしながら言いました。
「フクさん、また月見しようね」
「うん」
「今度はもっとおだんご持ってくる」
「ひーくんがいれば大丈夫だよ」
ポチは笑いながら帰っていきました。
ひとりになったフクさんは、また空を見上げました。
月は変わらず、まあるくて明るい。
本を開きました。
月明かりで、今夜はよく読めそうでした。
「みんなと月見ができたから、まっいいか」
—おしまい—




