ポチとモン吉のかくれんぼ
ここはふわまるずが暮らす、ふわまるタウン。
今日は、広場がやけに静かです。
おやおや、どこかに隠れている子がいるようですよ?
「かくれんぼしよう!」
モン吉が言いだしました。
「やる!」
ポチが即答しました。
「ぼくが鬼ね!」
「じゃあぼくが隠れる!」
こうして、ふたりのかくれんぼがはじまりました。
ポチが目をつむって数えます。
「いち、に、さん……」
モン吉はするするっと木に登りました。
葉っぱのあいだから、広場を見下ろします。
「えへへ、ここならバレないぞ」
「……じゅう!もういいかい?」
「もういいよ!」
ポチが目を開けました。
広場を見回します。
誰もいません。
「モン吉、どこだろう」
ポチはきょろきょろしながら歩きはじめました。
花屋のうしろを覗きました。
いませんでした。
ひーくんのお店のかげを覗きました。
「あ、ポチ。スープできてるよ!」
「ありがとう、あとで!」
いませんでした。
カフェのベンチのしたを覗きました。
「あら、ポチ。何してるの?」
「かくれんぼ!」
「そう、がんばって」
いませんでした。
モン吉は木の上から見ています。
「ぜんぜん気づかないな~」
でも、少し経ってから、モン吉は気づきました。
「……ここ、たかい」
木のてっぺんのほうまで登りすぎていたのです。
下を見ると、ずいぶん遠い。
「……おりられるかな」
ポチはまだ探しています。
橋のうえを確認して、
「いないな」
路地の奥を確認して、
「いないな」
坂道のわきの茂
みを確認して、
「いないな」
モン吉はゆっくりと、木をおりようとしました。
でも、足がすべりました。
「わあっ!」
ドサッ。
葉っぱが、ばさばさっと落ちてきました。
ポチが振り返りました。
木のしたに、モン吉が座っています。
「モン吉!!そこにいたの!?」
「……落ちた」
「木に登ってたの?」
「……登りすぎた」
ポチはしばらく笑いました。
「みつけた!」
「……みつけてない、落ちてきた」
「でもみつかったからぼくの勝ちだよ」
モン吉はぷりぷりしました。
「もう一回!」
「いいよ!今度はぼくが隠れる!」
ポチが隠れる番になりました。
モン吉が目をつむって数えます。
「いち、に、さん……」
ポチはひーくんのお店に走り込みました。
「ひーくん、かくれていい!?」
「いいよ~!カウンターのうしろどうぞ!」
「ありがとう!」
「……じゅう!もういいかい?」
「もういいよ!」
モン吉が目を開けました。
するする木に登って、上から見渡します。
「あれ、どこだろう」
広場を見回します。
誰もいません。
モン吉は木からおりて、探しはじめました。
花屋のうしろ、カフェのベンチのした、橋のうえ。
「いないな~」
ひーくんのお店のまえを通りかかったとき、カウンターのなかからくすくす笑い声が聞こえました。
「……」
モン吉はそっとのぞきました。
ポチがカウンターのうしろで、口を押さえて笑っています。
「みつけた!」
「あ~!!」
「やっぱりポチ、笑い声でバレてたよ」
「だってモン吉の顔がおかしくて!」
「どんな顔だった!?」
「きょろきょろしてた!」
「えへへ」
ふたりはそのまま、ひーくんのスープを飲んでいきました。
かくれんぼの結果は、一対一でした。
「もう一回やる?」
「うん、やる!」
ふわまるタウンでは、かくれんぼのつもりが、いつの間にかただの散歩になることがあります。
—おしまい—




