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ふわまるずのおはなし2  作者: 空野 翔


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ルカのはじめてのうた

ここはふわまるずが暮らす、ふわまるタウン。


今日は、川のそばから歌声が聞こえてきます。


でも、いつもとすこし違う歌声のようですよ?




ルカは、いつも歌っていました。


歩きながら、食べながら、川を見ながら。

でも、それはいつも「誰かの歌」でした。


知っている歌、聞いたことのある歌、覚えている歌。


自分で作った歌は、まだ一度もありませんでした。



その日の朝、ユキが言いました。


「ねえルカ、自分の歌って作ったことある?」

「ない」

「作ってみたら?」

「……むずかしそう」

「わたし、作ってみたいんだけど、ひとりじゃ不安で」


ユキはマイクをぎゅっと握りました。


「一緒に作らない?」


ルカはしばらく考えました。


「……やってみる」




ふたりは川のそばに座りました。


「まず、何について歌う?」


ユキが聞きました。


「……ふわまるタウンのこと、かな」

「いいね!じゃあ、ふわまるタウンのどんなところ?」


ルカは川を見ながら言いました。


「川の音とか、ひーくんのスープのにおいとか、ジロウが転がってくるとことか」

「それ、全部うたにしよう!」



ふたりは考えました。


「川の音はね~、ちょろちょろって感じ?」

「ちょろちょろ……ちょろちょろ……」


ルカが口ずさみます。


「そこに、スープのにおいがふわっとして……」

「ふわっとふわっと……」


ユキが続けます。


「ジロウがコロコロコロってきて……」

「コロコロコロ……あ、これなんかいいかも!」




しばらくして、短い歌ができました。


ちょろちょろ川がながれてて、


ふわっといいにおいがして、


コロコロ誰かが転がってくる、


ふわまるタウンのいつもの朝。


「歌ってみる?」

「うん」




ルカが歌いました。ユキが途中から一緒に歌いました。


音はところどころはずれました。


言葉もところどころつっかえました。


でも、ふたりはとても楽しそうでした。


歌い終わって、ルカはしばらく黙っていました。


「どうだった?」


ユキが聞きました。


「……なんか、ふしぎな感じ」

「ふしぎ?」

「誰かの歌を歌うのと、ぜんぜん違う感じがした」

「どう違う?」


ルカは少し考えてから、言いました。


「……自分の声がする感じ」



そこへ、通りかかったライくんが立ち止まりました。


「なんか、聞こえた気がして」

「ルカが歌作ったんだよ!」

「え、ほんとに?」

「聴いてもいい?」


ルカは少し照れてから、うなずきました。




もう一度、歌いました。今度はユキも一緒に、最初から。


ライくんが静かに聴いていました。


歌い終わると、ライくんは言いました。


「……ふわまるタウンのこと、ちゃんとわかる歌だね」

「ほんとに?」

「うん。聴いてたら、川の音が聞こえた気がした」


ルカはそれを聞いて、なんだかじんわりした気持ちになりました。




夕方、川のそばでルカはひとりで口ずさみました。


ちょろちょろ川がながれてて、


ふわっといいにおいがして、


コロコロ誰かが転がってくる、


ふわまるタウンのいつもの朝。



自分の声で歌う自分の歌は、やっぱり、ふしぎな感じがしました。

いい意味で。


「「まだふしぎな感じだけど、まっいいか」」



—おしまい—


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