彼女を信じたいと思う僕は、甘い
「嘘だ!」
次からは、弓から放たれた矢は、火の玉を射抜く。
射抜かれた瞬間、火の玉は、炭となった首と化し、
思わず、嘔吐する。
「何の事よ」
僕は、毒気ずく。
人の生首が、飛んでくるなんて、ありえない。
この竹林に飛び込んでから、思わぬ事ばかり。
「おかしくないか?」
顔色悪く僕を見つめる美里。
1人、僕は、社外で、火の玉と応戦する。
「何のテスト?」
にしても、気持ち悪い。
心配した兄貴が、車から、飛び出してくる。
「なぁ、帰ろう」
「帰りたいよ」
「だから、言っただろう」
「京都に行くなって事?だよな!おかしいもん」
「逃げよう」
そう言いながら、僕の手を握る。
「逃げたいよ。どうやって?」
火の玉は、絶えない。
兄貴の手を振り払い、矢を放つ。
あと何本かと、思っていたが、次から次へと矢は、増え、耐える事はない。
「何で?」
悪い夢を見ている様だ。
僕らの様子を見ているのか。
爺様の様子がおかしい。
心配する訳でもなく、わざと、この状況に追い込んでいる気がする。
「おい!」
火の玉が、飛んでくるのも、構わず、矢先を向けたのは、爺様の後頭部だ。
「おかしいよな」
「何が、おかしい?」
爺様は、窓の中から、笑う。
「転がる頭か?それとも、その弓矢か?」
「こんな状況、おかしいだろう?どうして、僕が、犯罪者な訳?」
兄貴ならともかく。
「事実は、変わらないからな」
「事実?」
爺様に気を取られた。
矢に射抜かれて転がった首が、突然、目を剥いた。
「グググ!忘れた訳であるない」
肉の削げ落ちた口が動く。
「何の事?」
「我々にした仕打ちを忘れた訳であるない」
飛び上がり、大きく開いた口は、僕の持つ弓矢に向かってきた。
「!」
隙があった。
兄貴が、庇うように立ち塞がり、
肩に、大きな歯形がつく。
「噛みやがった!」
平気そうに素手で、払う。
「だから、嫌だったんだ。京都なんて」
「本当に、ここは、京都な訳?」
竹林の上を覆う、蒼空は、歪んでいる。
「この爺様。怪しい」
梨杏と同時に現れるなんて。
「逃げるぞ」
僕は、弓矢を投げ捨て、兄貴と逃げ出すことにした。




