疑問が確信に変わる時、兄貴は。
「こんなので、どうにかなるの?」
兄貴が、顔を顰めた。
僕も、そう思う。
矢を引いたら、しなった弓が、割れそうな位、頼りない。
幾つもの火の玉は、向かってくる。
「おかしくないか?」
向かってくる。
確かに。
誰を狙うのか。
初めは、兄貴だと思っていた。
あの不死薬を盗んだから。
狙われるのは、兄貴だと。
僕は、梨杏に狙われているだけだと。
「犯罪者!」
梨杏にそう、言われ、執拗に追いかけられる。
「京都には、行くな」
兄貴は、言った。
この火の玉達は、明らかに、僕を狙っていた。
僕が、逃げると追いかけてくる。
外れたら、地に落ちる。
そんな事は、なかった。
引き返し、戻る。
まるで、意思があるように。
「何で?」
矢を放つが、そう簡単に命中しない。
逃げ惑うと、追いかけてくる。
「おい!マジか?」
「そう簡単に、できる訳ないでしょう?」
「そんな筈は・・・」
爺様は、笑う。
「本当に、お前なんだろうな?」
「どう言う事ですか?」
「アンドロイドが、間違える訳がない」
「梨杏が、何ですって?」
その時、大きな火の玉が、目の前に来た。
「今だ!」
矢を放った瞬間、心許なかったボロボロの弓が、銀色に輝くのを見た。
矢は、月の光を帯び、火の玉の、ど真ん中を射抜いて行った。
「ギャー」
叫び声を聞いて、僕は、見た。
見ては、いけない物。
火の玉だと、思ったのは、
人の頭だった。
燃え盛る人の頭。
「!」
思わず、吐きそうになった。
込み上げる吐き気を抑える暇もなく、次の火の玉が来る。
「ダメだ!できない」
これは、人の頭だと言うのか。
「無理!」
僕は、弓矢を掘り投げようとした。
「だめだ!」
爺様が、叫ぶ。
「お前にしか、できない」
「何で、人の首なんですか?」
「怨念だからだ」
「怨念?」
「誰への?」
「すべて、お前が作った怨念だ!」
梨杏が言った犯罪者。
記憶を失ったのは、兄貴ではなく、僕って事なのか?
考える暇もなく、次の火の玉が、飛んできた。




