笑う笑う。あんた一体、何者?
皆に、追われる?
僕は、ゾッとした。
いつの間にか、追われる身になっていた。
確かに、
ある意味。
ファンに追われる事はあったよ。
だけど、目の前の爺様にまで?
「ばか、言うな!」
美里の爺様は、鼻の穴を広げて笑った。
「長生きしたいなんて、思わん。くだらない世の中になった」
「あの・・・僕は、そろそろここで・・」
美里を、巻き添いにしない為にも、ここで別れよう・・・。
そう思った。
「待ってい」
爺様は、僕らを制した。
「こんな状況で、何処へ、行くつもりだ?」
「状況が、状況なんで、僕らは、そろそろ・・・」
美里を実家に返せば、僕らの役目は、終わり。
兄貴と一緒に、追われているとなれば、余計に。
「行く所はあるのか?」
「なんとか、なりますよ。元々、2人きりだったし」
「奏。この状況では、どこ行っても、大変じゃ・・・」
美里が、口を挟む。
「そうだよな。クスリ欲しさに、俺の事、殺そうとしたし」
「そうなのか?」
爺様は、美里の病状を知らない。
知ったら、きっと、他の人達と同じになる。
「追い詰められていたから・・・あたし」
「誰だって、あのクスリの事を知れば、欲しくなる」
・・・でも。
僕らは、何も知らない。
兄貴が、関わった事も、本当かどうか。
「わからないんです。兄貴が、持ち出したと言われて、いるんだけど」
「記憶にない」
平然と答える兄貴。
「不死の薬ね・・・」
爺様が、呟く。
魅力を感じない人なんて、いるのか。
「やっぱり、知ってますよね」
「ここ、京都に来たのも、何かの縁じゃ・・・」
「縁じゃない。来てはいけない土地だ」
口を挟む兄貴。
しきりに、京都は、忌み地と言う。
「ここは、来てはいけない土地なんだ」
「不死の薬と、皇室か・・・」
行き交う人々の映像を見て爺様は、言う。
「皇室の警備隊も出たらしいな・・・。不死の薬と皇室。いや・・・朝廷。そんな話を竹の宮で、聞いたな」
「竹の宮?」
美里は、初めて聞くようなそぶりだった。
「何ですか?それ?」
聞いたことのあるような名前だった。
「う・・・む。話すから、車に乗らないか?」
周りは、次第に僕らの存在に気づき始めていた。
そして、動きを取り戻そうとする梨杏。
「は・・い」
竹の宮。
朝廷。
僕らは、車に飛び乗った。




