その手、ストップ。僕らの主従関係。
まじか。
梨杏は、アンドロイド。
そのパワーは、測りすぎない。
何度か、僕を軽々と抱え上げた。
「奏!」
兄貴の声が響いた。
庇うなよ。
飛び出そうとする兄貴を交わす。
梨杏に頭をぶち抜かれる。
そう思った。
驚いて振り向く美里。
美里を迎えようとする祖父。
その細部が、頭の中で、オーバーラップした。
「ストップ!」
誰かの声が、木霊した。
「え?」
あたった。
きっと、意識が、飛ぶくらい、痛い。
死んでしまう。
恐る恐る閉じていた、目を開けた。
「あれ?」
梨杏が、手を挙げたまま、止まっていた。
また、パワーダウンか?
いや・・違う。
梨杏は、必死に動こうとしていた。
だが、震えながら、動けなくている。
「梨杏?」
「お前を、潰さなくてはならない・・・」
「だから・・・何言ってんの?」
僕に迫りながら、手を触れずにいる。
「止めないと、同じ事を繰り返す」
「梨杏。何言っているのか、わからない。けど、僕には、知らなくてはいけない事があるのかい?」
「忘れては、いけない事がある」
「僕は、梨杏と逢ったのは、最近だよ。どこかで、何かあったのかい?」
梨杏が、金縛りに合った様に、動けなくなっている。
「バカものが」
突然、美里の祖父が立ちはだかった。
「何を迷っている。さっさと、逃げるんだ」
「え?」
状況を知っているのか、杖を持っていながら、僕より、達者な足取りで、現れた。
「こいつは、お前さんには、手を出せない」
「はぁ?」
僕の腕をぐいぐい引く。
「遅いんじゃよ。来るのが」
「来るのがって・・・・。美里とは、絶縁って・・・聞いていて」
僕が、ここに来る約束は、少しもない。
「待っていたんだよ」
梨杏が固まっているうちに、僕らは、美里の祖父の車に滑り込んだ。
「とんだ・・・事になったな」
美里の祖父は、慣れた手つきで、派手な車を走らせた。
「やっぱり。こんな事になるかと思っていたんだ。いいタイミングで、東京を出たな」
「いいタイミング?」
美里の祖父は、携帯を差し出した。
いつもとは、変わらない行き交う人達が見えた。
「変わらないように、見えるだろう?」
「はい・・・」
いつもと変わらない日常に見える。
「・・・探しているんだよ」
行き交う人達。
「何を?」
美里の祖父は、後部シートに座る兄貴を見て言った。
「懸賞金・・・かけられたな」
「懸賞金?」
兄貴と見つめ合う。
「誰に?」
「お前達、兄弟に」
僕は、生唾を飲んだ。
「まさか・・・お爺さんも、僕らを?」
美里の為に、捕まえる?




