お前!絶対、離さないと兄貴に言われても。
「まずい!」
派手な車のクラクションに気付いた梨杏の目がそちらに向いた。
梨杏がどんな奴か知らないだろう。
僕が拾った暴走するアンドロイド。
最初は、僕に従順な護衛みたいな存在だった。
兄貴のせいで、散々な目に遭わされる。
守ってくれる存在。
美里が、不死薬に目が眩んで、兄貴を襲った辺りから、
様子が変わってきた。
「偽薬を持たせた」
あの二人組は、そう言った。
偽薬に気が付き、追い掛けて来たのか、線路上に塞ぐように立っていたのは、梨杏だった。
「美里。僕が惹きつけるから、爺さんとやらと逃げて」
自信は、ない。笑。
美里の前で、格好つける。
「降りて・・」
とにかく、美里を実家に、帰すのが、僕の役割だから。
「だから、言ったろう?」
いつもの兄貴だったら、真っ先に逃げる筈なのに、
僕の側に居た。
「嫌な予感がするんだよ」
「なら、逃げろよ」
「大事な、お前を置いて、逃げれる訳ないだろう」
僕の肩先で、鼻を鳴らす。
「どんな事があっても、お前を置いて逃げないよ」
「嘘つけ」
梨杏が、僕を見て叫んでいる。
「どこに、やった?」
「どこに?」
それを、僕に聞くか?
兄貴の顔を見た。
「兄貴。本当の覚えてないの?」
「クスリ?別なのは、だいたい、覚えているが・・・」
「そうじゃなくて・・・」
「ムキになるなんて、やっぱり、何か、あるんだよな」
事故にあった兄貴。
破壊された病院。
梨杏が、豹変した途端に、何も起きていない。
「兄貴・・・やっぱり、まずい人達に睨まれているんじゃ・・・」
「そういう事は、頻回だった気がする」
怯える他の乗客達から、引き離すために、梨杏にそこで、待つ様に伝え、
僕らは、線路に降りた。
美里は、逃げる事ができただろうか。
「梨杏・・・どうして、そんな怖い顔をしてるんだい?」
何度か、梨杏は、パワーダウンしている。
それは、どんなタイミングだったか?
たしか、タブレット・・・が、あった筈。
タブレット・・・。
あぁ!
龍さん達の隠れ家に置いてきた・・・。
天と天が、結びついた。
龍さん?
いい人ではなかったのか?
「味方ではない。手に入れたい物がある」
・・・・と言っていた。
「梨杏。君は、僕の味方では、なかったのかい?」
僕は、梨杏に語りかけた。
瞬間。
梨杏が、僕に飛びかかってきた。




