お前は、何者だっつーの
「まじか?」
僕は、線路上に佇む梨杏と目が合った。
「なんなんだ。あいつ」
「そうだよ。怖いよな」
耳元で、兄貴が呟く。
「誰?のせいだよ」
「あんなの、拾ってくるから」
「いやいや・・・兄貴。それは、ないよ」
「来る」
急停車した電車の脇をつかつかと、あるいてくる梨杏。
目が怖い。
「降りろ!」
僕らの乗っている車両の近くに来ると、片手を電車にかける。
「待てよ!」
言う間もなく電車を揺らす。
「偽物を渡したな。とんでもない奴!」
「違う違う!」
僕は叫んだ。
「美里を助ける為だ。梨杏、わかっている?」
「梨杏?そんな名前ではない」
「それは、僕が付けた名前で」
マズイ。
揺れで、気分悪くなってきた。
「降りるから、待って!」
「降りない方が・・・何されるか」
美里がしがみつく。
「大丈夫!」
僕は、ドアの非常ロックを解除した。
「一緒に来い」
「はいはい」
いつから、こんな乱暴なアンドロイドになったのか。
ため息をつきながら、電車を降りる。
美里が、一緒に降りると言うので、手を貸す。
「言っただろう?京都は、まずいって」
ブツクサ文句、言いながら、降りる兄貴。
「探している人がいる。一緒に行く」
梨杏が、僕の腕をとった。
「僕?」
「そうだ。お前を探していた」
「今まで、一緒に居たのに?急に?」
「この子、アンドロイドなんでしょう?」
美里が、耳打ちした。
「あまりにも、変わりすぎ。何か、あったんじゃ・・」
「確かに・・・急に、変わりすぎ」
「何か、あったのか?」
「不死薬。これが全てよ。私だって、その為に、朔を手にかけようとしたんだもの」
僕らは、梨杏を見た。
瞳の色が、いつもと違う。
「病院で、起きた事も、覚えている?龍さん達が、言っていた事も」
裏で、手を引いている人達。
「朔が何か、知っているのかと思っていた。だけど、今回は、朔じゃない・・・どうして、奏なの?」
「わからない。でも、もしかして、一緒に行ったら、何か、わかるかも」
僕は、梨杏に手を差し出した。
「わかった・・・。一緒に行くよ。それで、いいね」
梨杏の無表情な顔が、一瞬、緩んだ。
「このバカもの!」
線路脇の路上から、罵声が飛んだ。
激しくクラクションを鳴らしながら、突っ込んでくる車が合った。
派手な外車。
そのまま、線路に飛び出し梨杏を轢きそうになって、ようやく止まった。
「危ねぇ!なんだ、あのジジイ!」
口汚く兄貴が、罵る。
「あ!」
美里が、顔色を変えた。
「クソジジイ!」
「クソジジイ?」
僕らは、振り向いた。
「うちの爺様・・・」
美里と、仲が悪いと言った、祖父で合った。




