僕の感情が君を育てる。嫉妬と真心
連れて来てしまった。
小汚い部屋。
幸いにも、面倒な兄貴は、今晩は、帰って来ない。
明日には、友達に頼んで、引き取ってもらうか、運よく、ここで、帰り道の当てがつくか。
とにかく、1人の女の子を守る事は、できた。
・・・・てか。
無防備に眠る顔を見ていると、
ちょっとした悪戯心が沸きそうになるが、
僕は、そんな男ではなく、
目を覚ましたとて、
目の前に、男が居たら、
阿鼻叫喚になりそうなので、
僕は、ひとまず、
女装のままでいる事にした。
顔を見る。
まぁまぁの美人。
つんとした鼻と半開きの唇。
ロングのキャミみたいなワンピース葉、生地が何で、できているのか、
不思議な肌触りだった。
そして、
驚いた事に、
軽かった。
女の子に、そんな事、言えないけど、
いくらなんでも、軽すぎた。
「おっと・・・」
見惚れている場合ではない。
友達に、お願いしないと。
最悪、スタジオに置いてくれば良かったか。
身寄りがなければ、スタジオの雑用で使っても、いいかも
以前、家出した少女を助けた事を思い出した。
「携帯・・・携帯・・・」
自分の携帯を探していた筈が、僕の手が触れたのは、さっき、少女と一緒に、拾った携帯みたいな箱だった。
あの時。
携帯だと思ったのは、よく似た、
小さなタブレットだった。
「なんだ?これ?」
僕の手が触れた瞬間、
そのタブレット。TBと呼ぼうか。
幾つかの光を放ちながら、
見慣れない文字が、画面いっぱいに流れていった。
「え?何語?」
なんて言うんだろう。
絵文字にも見えるし、クサビ型にも、見える。
たくさんの文字が、浮いては、消え、
取り止めもなく、流れていく。
「なんだよ!これ?」
画面から、文字が飛び出しそうになり、僕は、慌てて、TBを放り投げた。
「気持ちわる!」
何かが、起動のスイッチだったんだろうか。
画面が、赤く点滅した瞬間、
何かが動いた。
「ん?」
そう思った瞬間、
僕は、何かと目があった。
「あれ?」
そこには、両目をしっかりと開けた少女が、僕をまっすぐに、見つめていた。
「#####」
口から、漏れた来たのは、聞きなれない単語だった。
「何人?」
日本人?じゃない?でも・・・。
どう見ても、日本人?
僕は、混乱した。
少女の口から、溢れる単語は、僕の理解を超えていた。
その時、
廊下から、聞きなれた足音が聞こえてきた。
「ヤバい・・・」
兄貴だ。
帰ってこないって言ったのに。
また、振られたのか。
僕は、少女をどこに、隠そうかと考えた。
狭くて、隠れようがない部屋。
早くしないと兄貴が現れる。
「ヤバい!」
少女を、カーテンの奥に、押し込んだ瞬間、
ドアが激しく開いて、兄貴が、転がり込んできた。
「奏ちゃん!」
転がり込みながら、兄貴は、背中から、抱きつく。
飲んで、振られた日は、始末が悪い。
「慰めて!奏ちゃん」
「やだ」
「そんな事、言わないで」
「殴っただろう。そのせいで、穴あける事になったんだそ」
「ごめん!奏ちゃん!愛しているから」
「やめろよ。気持ち悪い」
僕に、絡む兄貴は、いつもと違う部屋の様子に気づいていた。
「あれ・・・」
それはそうだ。
まっすぐに、こちらを見る、裸に近い少女と目が合ったからだ。




