捨てられ姫。そして僕
「犯罪者!」
梨杏の顔が変わっていた。
「犯罪者?」
と言われて、いい気は、しない。
真っ向に、飛びかかってくる。
僕は、動いた。
走ったのは台所。
僕らを監視していたのであろう龍さんの仲間が駆け込んでくる。
「この!」
腹が立った。
路地裏に倒れていて、助けたつもりの女の子。
そのまま、放っておけば良かったか?
親父どもの餌食になっても、良かったし。
僕に懐いて、助けてくれる腕の立つ用心棒。
と思ったけど。
そうでもなかった。
「何なん?」
僕は、フライパンを手にした。
時は、満月。
煌々と夜空に輝く。
負ける気がしなかった。
フライパンを手に、向かってくる梨杏を向かい撃つ。
この子が来てから、おかしな事ばかり。
アンドロイドだ。
タブレットで、動く。
そのタブレットは、龍さん達の隠れ家に、置いてきた。
「よくある話だと・・・」
動きが止まるって、事は。
何処かに、電源がある筈。もしくは、信号を受ける受容体。
どこだ。
梨杏の動きは、早い。
僕をノックアウトしようと、
パンチを繰り出す。
「おぉ!すげぇ!」
兄貴が、本の隙間から、顔を出す。
金属音が、響き、フライパンが、歪む。
「くそ!」
僕は、ベランダに飛び出す。
手すりの上。
「奏!危ない!」
「落ちる?」
つま先が、手すりの上にあった。
「お前が、始めた事だ!」
梨杏が、僕の足に飛びかかった。
その時だった。
満月が、少し、膨張した気がした。
体が、軽くなった。
「え?」
誰もが、そう思った。
つま先が、手すりから、離れた。
確かに、
両足とも。
僕の足を掴み損ねた梨杏が、すり抜け、ベランダから、下へと転がり落ちていった。
「?」
兄貴も、美里も、龍さんの仲間も、一瞬、何が起きたのか、わからなかった。
勿論、僕も、
足の下に、手すりはなく、
宙の中を歩くように、下へと降り立っていた。
「何が?」
「起きた?」
ベランダに、降りると兄貴が、ようやく、本から目を離し、駆け寄って来た。
「飛んだ?」
「まさか・・・」
何が起きたか、理解できない。
ただ、その時、ベランダから、中へ入ろうとした輩が、2人居たのは、覚えていた。
「あいつ・・・壊れちゃったんですかね?」
「間に合って良かった」
2人は、僕の顔を見て、深々と頭を下げていた。
「無事で、良かった」
「は?誰?」
見た事もない衣服を来た2人に、僕らは、顔を見合わせていた。




