待っていたのは、別人となった兄貴
病院。
そこは、赤い非常灯を点滅させた救急車で、埋め尽くされていた。
後から、駆けつけたであろうパトカー。
行き交う野次馬。
聞きつけた報道機関。
中継が入るのか、玄関面は、人だかりだ。
「まずいな」
龍さんが舌打ちをした。
「裏に回るか」
ドライバーに指示して裏に回る。
慣れている様子だった。
「降りませんか?」
梨杏が、どうして正門で、降りないのかと聞いた。
「面倒な事が起きたみたいだ」
「爆発があったみたいです」
「爆発?」
携帯も見ていない梨杏が、どうして知る事が出来たのだろう。
「聞こえます」
「聞こえるって?」
もう少し、梨杏に聞きたいのに、すぐ、裏門に着いたので、僕らは、職員用の出入り口から、入っていった。
「入らない方がいい」
職員が、そう言ったが、僕らは、構わず、中に入った。
「そっちは!」
爆発があったのは、急急外来の方だ。
当たりが、メチャクチャに吹き飛び、うずくまる人や、救急隊員、看護師が行き来していた。
「兄貴・・・」
どこにいる?
爆発って。
何があった?
「何があったかって、当然です」
「当然?」
「彼は、妨害者だから」
「妨害者?」
カーテン一つ一つを、開けて、中を確認していく。
どこかに兄貴がいるはず。
もしかしたら、もう、別の病院に運び込まれたかも。
諦めようとした、その時、
見慣れた顔を見つけた。
「美里!」
僕の仲間で、頼れる友人。
梨杏をお願いする予定だった美里だった。
「どうして、ここに?」
「聞いたじゃない?朔が、事故にあったって」
思いの外、美里が駆けつけるのが、早かったようだ。
「それで・・・これは、一体?」
「麻薬中毒者が、火器を振り回したみたい。何人か、怪我をした人も出たみたいだけど・・・」
美里が、肩をすくめる。
「先生が怪我しちゃって、治療できなくなったみたいなの。で、救急車がたくさん」
他の病院に、搬送される人が出たらしい。
「・・・で、兄貴は?」
「それが・・」
美里は、言葉に詰まった。
「まさか?」
生きていない?
複雑だ。
「生きているのよ・・・だけど」
待てなくて、カーテンを開ける。
「兄貴?」
思い切りカーテンを開ける。
レールから、外れそうになる。
「・・・・」
え?
僕は、目を疑った。
そこには、頭から、布団を被り目だを出した兄貴の姿があった。
「誰?」
「誰って?」
「こんな感じなの」
美里の声が沈んだ。
彼女が、駆けつけた時には、すでに、記憶を失いガタガタ震える兄貴が、そこにいたという訳だ。
「怪我は?」
頭を打ったらしく包帯が、巻かれていた。
そのせいか、
兄貴は、全く、別人になっていた。




