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転生されたら淑女になった 第9話
第9話:廃材の山と、小さな手
作業が終わった時、俺は静まり返った広間の中心に立っていた。
周囲には、もはや魔獣とは呼べない「肉の廃材」が積み上がっている。
返り血一つ浴びていない銀髪の淑女。その足元に、一人の子供が這い寄ってきた。
「……あ、りがとう……おねえちゃん……」
震える小さな手が、俺のスカートの裾を掴む。
俺は無言で膝をつき、その汚れなき手を、壊れ物を扱うような優しさで包み込んだ。
「……怖かったわね。もう大丈夫よ」
だが、俺の視界の端には、動かなくなった多くの人々の姿があった。
二百五十名のうち、救えたのは半分に満たない。
職人として、これほどまでに後味の悪い「納品」はない。俺は自分の無力さを、ダンディな沈黙の中に押し込めた。
救出された人々が外へと運ばれていく中、俺はただ一人、血の匂いが充満する建物の中で立ち尽くしていた。
アンタッチャブル氏が、俺の心に寄り添うように静かに囁く。
『……ルイ、あなたのせいじゃないわ。あなたは最善を尽くした』
俺は答えず、ただ静かに、折れた柱を慈しむように撫でた。




