転生されたら淑女になった 第8話
第8話:暴発する「乙女」
建物内は凄惨だった。魔獣の咆哮と、逃げ惑う人々の絶望。
俺の脳内には、アンタッチャブル氏による精密な解析結果がリアルタイムで流れ込んでくる。
(……救出可能ルート、ゼロ。魔獣の配置、最悪。……さて、どう料理するかな)
俺は懐から、一振りの小さなナイフを取り出した。それは父から贈られた、手入れの行き届いた逸品だ。俺は愛おしむようにその刃を指でなぞる。
その時、俺の中で何かが弾けた。
「職人」としての理性が、目の前の理不尽な破壊を許さないと叫び、溜まりに溜まった圧力が安全弁を吹き飛ばしたのだ。
「あーのさぁ……マジで空気読めてなくね? この建物のライン、アンタたちのせいで台無
しなんだけど!ってか、何で人間食ってるわけぇ、意味わかんなーい ばっかじゃないの」
口から出たのは、前世の記憶の片隅にあった、場違いなほど軽い言葉。
だが、その瞳には絶対零度の殺気が宿っていた。
魔獣達が、狂ったように威嚇を増した
「ウケる。自分たちが最強だと思ってんでしょ? ……まとめて『解体』してあげるわよ!アデュー‼」
瞬間、世界が歪んだ。
『ダーク・アルキメット・アンタッチャブル、全出力同期解放』
俺の影から伸びた闇が、物理法則を無視した速度で魔獣たちを捉える。
それは戦いというより、狂いが生じた部品を一つずつ、確実に、そして残酷なまでに精密に排除していく「作業」だった。




