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転生されたら淑女になった  第7話

第7話:歪んだ構造体



現場に到着した俺の目に飛び込んできたのは、重苦しい空気に包まれた商業ギルドの巨大な石造建築だった。魔獣が内部に居座り、二百五十名もの命が閉じ込められているという。


「……酷いものね」


俺はそっと建物の外壁に触れた。指先から伝わってくるのは、不均一な石の積み方と、無理な拡張を繰り返したゆえの「悲鳴」だ。

前世で多くの現場を見てきた俺にはわかる。この建物は、設計の段階から基礎が泣いている。魔獣の存在以前に、構造そのものが限界なのだ。


「ルイ様、お下がりください! 騎士団でも手が出せない状況なのです!」


血相を変えて駆け寄る騎士を、俺は片手で静かに制した。その所作一つにも、無駄な力みは

ない。


「……ご心配なく。少しだけ、中の様子を『点検』してくるだけですわ」


俺は優雅に歩みを進める。


周囲の制止する声が遠ざかる。背後では、俺が触れた壁の微かな振動が収まり、まるで建物が安堵したかのように静まった。道具や場所への慈しみは、時に言葉以上の説得力を持つ。

俺は淑女としての歩みを止めず、暗い入り口へと足を踏み入れた。




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