転生されたら淑女になった 第6話
第6話:現場の予感、あるいは不具合
15歳になり、俺は冒険者ギルドへと足を運んだ。
目的は腕試しではない。この世界の「困りごと」……つまり、不具合が起きている現場を、この手で是正するためだ。
「おい、あのお嬢様を見ろよ。場違いにもほどがあるぜ」
周囲の冒険者たちの視線は冷ややかだ。中には下品な笑みを浮かべる者もいる。
だが、俺は気にも留めない。彼らもまた、この世界を構成する大切な「一部」だ。
(……フ、若さゆえの威勢か。それもまた良し。だが、道具を磨く時間があるなら、自分の言葉も少しは磨いた方がいいぞ、諸君)
俺は内面でダンディに微笑みながら、掲示板の依頼書を一枚、静かに手に取った。
そこには、ある建物での「立てこもり事件」の概要が記されていた。
(……250名の命。建物の構造的な不具合。……放っておくわけにはいかないな)
俺の淑女としての瞳が、一瞬だけ鋭い「職人」のそれに変わる。
隣に立つアンタッチャブル氏が、俺の殺気を敏感に察知して囁く。
『ルイ、やるのね? 解析は終わっているわ。いつでもいける』
「……ええ。お母様、お父様。少しばかり、『現場』の点検に行ってまいりますわ」
優雅に一礼し、俺は静かに歩き出す。
背後で冒険者たちが
「あんな小娘に何ができる」
と嘲笑っていたが、俺は振り返らない。
彼らはまだ知らないのだ。
この淑女の仮面の下に、どんな熱い魂と、圧倒的な「力」が秘められているのかを。




