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転生されたら淑女になった 第5話
第5話:魔力という名の流転
「ルイ、魔法とは力でねじ伏せるものではありません。それは、世界を流れる清らかな川のようなものなのですよ」
母エシスが、細い指先で空間に紋章を描く。
「……はい、お母様。流れるままに、逆らわず。その理、大切にいたしますわ」
500年という果てしない時を歩んできた母。彼女が教える魔術の深淵は、俺の目には繊細な「回路」 のように映った。
俺は、エシスが紡ぐ魔力の美しさに、心からの敬意を抱いている。
道具を大切にするように、俺は自分の内に流れる魔力を愛おしむように練り上げた。
(……この世界のエネルギーは、実に気まぐれだ。だが、優しく語りければ、それに応じた『表情』を見せてくれる。母さんの教えは、魂の調律だな)
俺は淑女としての穏やかな佇まいを崩さず、内なる魔力を静かに循環させる。
ナイスシニアとしての余裕は、焦りからは生まれない。
すべては準備と、慈しみ。
俺の中に住まうアンタッチャブル氏も、その穏やかな魔力の波に心地よさそうに身を委ねていた。




