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転生されたら淑女になった  第22話

第22話:サイレント・フラクチャー



俺たちは、呆然とする者たちを背に、悠然と謁見の間を後にした。

俺の口調はすでに淑女のそれに戻っていたが、一歩、歩を進めるごとに、俺の足元から見えない「波紋」が王城全体へと広がっていく。


(……悪いな。あまりに基礎がガタガタだったんで、少しだけ『補正』を入れておいたぜ)


城門を抜け、馬車に乗り込んだその瞬間だった。

音は、しなかった。

だが、巨大な王城の壁、重厚な柱、そして美しい装飾の至るところに、蜘蛛の巣のような「ヒビ」が静かに走った。

崩落はしない。ただ、建物としての「魂」が抜けたのだ。


(……形だけは保っているが、その権威はもう、指先一つで崩れる砂の城だ)


父ガルロが、馬車の中で小さく鼻を鳴らす。


「首尾よく万全だ。…」


母エシスは、穏やかに俺とガルロの手を握り、その魔力を労うように包み込んだ。

去り際は、潔く、そしてスマートであるべきだ。

背後で音もなくひびが入っていく王権の象徴を、俺は一度も振り返ることなく、次なる「現場」へと意識を向けた。





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