23/30
転生されたら淑女になった 第23話
第23話:天使か悪魔か、あるいは掃除
王都を離れる道中、あの下劣な貴族アルベルトのその後が、母エシスの思念を通じて伝えら
れた。
『ルイ。あのアルベルトという男……残念ながら、人としての尊厳を完全に見失っていたようですわ。ですので、少しだけ「お掃除」をしておきました』
エシスの「掃除」。それはこの世界からの、存在そのものの消去。
アルベルトは、俺を天使と見紛うほどの狂気の中に置き去りにされ、影も形も残さず霧散した。
そして国王シェルズの記憶からも、俺たち一家の「脅威」としての情報は、エシスの魔力によって丁寧に書き換えられた。
(……いい判断だ、母さん。不具合のある部品は、再利用できないなら廃棄するのが現場の鉄則だ)
俺は目を閉じ、揺れる馬車の揺れに身を委ねる。
道具を、人を慈しむ。それは、守るべきものを守るために、腐敗したノイズを断ち切る覚悟と同義だ。
俺の内に棲むアンタッチャブル氏が、満足そうに喉を鳴らしたような気がした。




