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第86話 初のCランク!

 入口の外から近づいていた足音の主が、次々と姿を現した。


 オークとウルフが狭い入口へ押し寄せ、前衛とぶつかる。進化したばかりのスケルトンたちも混ざり、レイザーホーンラビットが低く走り抜け、コボルトストライカーがその横から飛び込んだ。


 最後の一体が倒れると、陸はすぐに管理画面を開いた。


 古参のオークチャンピオンは、すでにDランクLv.30まで上がっている。


「やっとこいつだ!」


 オークチャンピオンを選ぶと、三つの進化先が表示された。


━━━━━━━━━━━━━━

【進化先を選択してください】


オークウォーロード

高い身体能力をバランスよく伸ばした正統進化。


オークデストロイヤー

筋力と攻撃能力に特化した進化。


オークジャガーノート

HPと耐久、防御能力に特化した進化。

━━━━━━━━━━━━━━


「おお……!」


 Dランクへの進化は何度も見てきた。けれど、その先は初めてだ。


 陸はまずオークウォーロードを開いた。


━━━━━━━━━━━━━━

【進化後予測】


オークウォーロード

ランク:C

Lv.30


HP 455

MP 78

筋力 154

耐久 148

敏捷 61

賢さ 43


【進化後スキル】

ウォークライ

ヘヴィブレイク

━━━━━━━━━━━━━━


「え、全部高っ!」


 そのまま次の候補へ移る。


━━━━━━━━━━━━━━

【進化後予測】


オークデストロイヤー

ランク:C

Lv.30


HP 405

MP 62

筋力 181

耐久 121

敏捷 69

賢さ 34


【進化後スキル】

デストロイクラッシュ

バーサーク

━━━━━━━━━━━━━━


「筋力181!?」


 思わず画面へ顔を近づける。攻撃へ大きく寄った数値だが、他も十分高い。


 最後にオークジャガーノートを開く。


━━━━━━━━━━━━━━

【進化後予測】


オークジャガーノート

ランク:C

Lv.30


HP 525

MP 68

筋力 143

耐久 188

敏捷 43

賢さ 36


【進化後スキル】

アイアンボディ

グランドガード

━━━━━━━━━━━━━━


「HP500超え!? 耐久188!?」


 デストロイヤーは攻撃、ジャガーノートは防御。どちらも分かりやすく尖っている。


 陸は三つの表示を何度か切り替えた。


「うわ、これ迷う……」


 初めてのCランクだ。いきなり一つに尖らせるより、まずは穴のない一体が欲しい。


「最初はウォーロード!」


 陸はオークウォーロードを選び、進化を実行した。


━━━━━━━━━━━━━━

【進化が完了しました】


オークチャンピオン

  ↓

オークウォーロード


ランク:C

Lv.30

━━━━━━━━━━━━━━


 青白い光がオークチャンピオンの全身を包む。もともと大きかった骨格がさらに一回り広がり、肩と胸、腕や脚の骨まで目に見えて太くなっていく。


 光が消れると、手にした大斧まで少し小さく見えた。


「でかっ!」


 ちょうど入口へ新しい群れが飛び込んでくる。先頭にはオークチャンピオンが二体、その後ろにはガーゴイルもいた。


 陸はスキルを指示しかけて、止める。


「ちょっとスキルなしで見たい!」


 オークウォーロードが前へ出た。


 敵のオークチャンピオンが大斧を振り下ろす。ウォーロードは自分の大斧を横からぶつけ、その一撃を正面から弾き返した。重い音と同時に敵の腕ごと斧が外へ流れ、巨体まで横へよろめく。


「えっ!?」


 そのまま一歩踏み込み、大斧を横薙ぎに振るう。刃を受けたオークチャンピオンの身体が地面から浮き、入口の横まで吹き飛んで岩へぶつかった。


「うおおっ!」


 もう一体が横から斧を叩きつける。ウォーロードは左腕で受けたが、身体はほとんど傾かない。


「硬っ!」


 上からガーゴイルが飛び込んでくると、ウォーロードが一気に前へ出た。巨体とは思えない踏み込みで着地点へ入り、大斧の柄を腹へ叩き込む。ガーゴイルはそのまま後ろへ弾かれ、地面を何度も転がった。


「はやっ!?」


 陸は思わずウォーロードを見上げる。


「Cランク、こんな違うの!?」


 残った敵へ前衛が殺到し、ほどなく群れは片付いた。


 陸は倒れた魔物をスケルトン化しながら、さっきの戦いを思い返す。


 この第11階層では、通常の敵としてDランクが出ている。今までと同じ流れなら、この先のボスはCランクになるかもしれない。


「だったら、Cランク一体だけより二体いた方がいいよな」


 管理画面を開く。次にLv.30へ届きそうなのは、Lv.27のオーガだった。


「よし。オーガがCランクになるまでやろう!」


 陸は誘魔の香炉を止めず、そのまま育成を続けた。


 群れが来るたびに倒し、スケルトン化してストックへ入れていく。何度か水分を取り、家で待っているエリナのことを思い出すたびに時間も確認した。


 誘魔の香炉を使い始めてから、七時間ほど。


 入口へ押し寄せた群れを倒したところで、待っていた表示が出た。


━━━━━━━━━━━━━━

【レベルが上がりました】


オーガ

D Lv.29 → Lv.30


【進化可能】

━━━━━━━━━━━━━━


「来た!」


 陸はすぐにオーガを選ぶ。


━━━━━━━━━━━━━━

【進化先を選択してください】


ハイオーガ

巨体と身体能力を全体的に大きく伸ばした正統進化。


オーガバーサーカー

筋力と攻撃能力に特化した進化。


オーガフォートレス

HPと耐久、防御能力に特化した進化。

━━━━━━━━━━━━━━


 陸は三つを一通り確認してから、ハイオーガを開いた。


━━━━━━━━━━━━━━

【進化後予測】


ハイオーガ

ランク:C

Lv.30


HP 520

MP 48

筋力 172

耐久 158

敏捷 49

賢さ 24


【進化後スキル】

ヘヴィスマッシュ

ジャイアントパワー

━━━━━━━━━━━━━━


「筋力172! よし、これ!」


 進化を実行すると、青白い光がオーガの巨体を包んだ。太い腕と脚はさらに分厚くなり、胸郭も大きく広がっていく。


 光が消れると、両手で握った棍棒さえ小さく見えた。


「でっか!」


 外からまた足音が重なり、オークとガーゴイルの群れが入口へ飛び込んでくる。


 陸はすぐに新しいスキルへ目を向けた。


「ジャイアントパワー!」


 ハイオーガの全身を青白い光が走り、太い腕や肩の骨を覆っていく。


 そのまま先頭のオークへ踏み込み、棍棒を振り下ろした。


 ドガンッ!


 受けようとした大斧ごとオークの身体が地面へ叩きつけられ、周囲の土が大きく弾け飛ぶ。


「うおっ!?」


 すぐ横から別のオークが迫る。


「ヘヴィスマッシュ!」


 ハイオーガが棍棒を大きく引き、青白い光をまとった一撃を横から叩き込んだ。


 直撃したオークの巨体がそのまま後方へ吹き飛び、後ろにいたガーゴイルまで巻き込んで岩壁へ激突する。


「飛びすぎだろ!」


 残った敵へ前衛が一気に押し寄せる。強化されたハイオーガもそのまま棍棒を振るい、群れはほどなく崩れた。


 陸は岩壁の近くまで飛ばされた敵を見てから、ハイオーガへ視線を戻した。


「スキル使うともっとやばいじゃん!」


 時間を確認すると、かなり長くここにいる。


「そろそろ帰らないと」


 家で待っているエリナを思い浮かべ、陸は誘魔の香炉へ手を伸ばした。

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