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第81話 第11階層!

 高速探索部隊を第10階層へ送り出してから、数日が過ぎた。


 その間、陸は家でエリナと過ごしながら、時々サモンマップを確認していた。


 そしてその日、ようやく新しい表示が現れる。


━━━━━━━━━━━━━━

ボス部屋

━━━━━━━━━━━━━━


「見つけた!」


 陸はすぐにエリナを連れて第10階層へ向かった。場所を確認し、高速探索部隊へボス部屋の前に集まるよう命令する。


 しばらくして十組すべてがそろう。陸は高速探索部隊をまとめてストックへ戻し、代わりに戦闘用のスケルトンたちを召喚した。


 大扉の先にいたのは、リザードマンエリートだった。


 通常のリザードマンより一回り大きく、濃い緑色の鱗に覆われている。胸と肩には金属製の防具をつけ、手にしたトライデントも太く大きい。


「お、強そう!」


 だが、やることはもう決まっていた。


「スケルトンフュージョン!」


 攻撃に向いたスケルトンたちが青白い光へ変わり、一体の剣士型スケルトンへ融合する。


 リザードマンエリートがトライデントを構えて踏み込んだ直後、青白い魔力の刃がボス部屋を走った。


 それで終わった。


「よし!」


 倒れた身体へ手を向ける。


「スケルトンラッシュ!」


 青白い光の中から、トライデントを持ったリザードマンエリートスケルトンが立ち上がる。陸はそのままストックへ戻し、報酬も回収した。


━━━━━━━━━━━━━━

第11階層が解放されました。

━━━━━━━━━━━━━━


「よっしゃ、第11階層!」


 ボス部屋の奥に現れた道へ入り、陸とエリナは次の階層へ向かった。


 少し進んだところで、陸は足を止める。


「……あれ? 上?」


 そこに続いていたのは、下りではなく上りの階段だった。


 今まで次の階層へ進む時は、さらに奥へ潜っていくような感覚だった。けれど今回は、石の階段がはっきりと上へ伸びている。


「なんで今回だけ上なんだ?」


 首を傾げながらも、エリナと一緒に階段を上っていく。


 しばらくすると、前方が妙に明るくなってきた。


「ん?」


 第6階層から続いていた青白い鉱石の光とは違う。白く、暖かい光だった。


 上るほど光は強くなる。やがて階段の先が大きく明るく開け、陸は最後の数段を上った。


 次の瞬間、頬を風が撫でた。


「……え?」


 陸はその場で立ち止まった。


 目の前に広がっていたのは、洞窟ではなかった。


 足元から一面の草が伸びている。緑の草原が前にも、後ろにも、左右にも続き、風が吹くたびに草の先が大きく揺れていた。


 頭上には青い空がある。


 雲が流れている。


 そして、そのさらに上から、まぶしい光が降り注いでいた。


「太陽あるんだけど!?」


 陸は思わず真上を見た。


 目を細めるほど明るい。肌に当たる光にも、洞窟の鉱石とはまるで違う暖かさがある。


「いや、ここダンジョンだよな!?」


 振り返ると、すぐ後ろで今上ってきた石の階段が草原の地面へ向かって口を開けている。それ以外には、岩壁も天井も見当たらない。


 どちらを向いても草原だった。


「リク、すごい!」


 エリナが翼を広げ、ふわりと浮かび上がる。そのまま陸の近くを嬉しそうに飛び回り、風を受けながら何度も向きを変えた。


 陸も思わず笑う。


「すげえ……!」


 陸は飛び回るエリナを見上げてから、そのまま歩き出す。


 靴の下で草が倒れ、その下の柔らかい土がわずかに沈んだ。


「土だ……」


 もう一歩進む。


 乾いた岩の感触はない。踏むたびに土と草が靴の裏へ返ってくる。風が服を揺らし、草の匂いまで運んできた。


 陸は少し歩いたところでしゃがみ込み、地面へ手を伸ばした。


 指先で草をかき分けると、その下には黒っぽい土がある。少しつまんでみれば、細かな粒が指の間から落ちていった。


「マジで土じゃん……」


 立ち上がり、改めて周囲を見回す。


 草原の向こうには低い丘がいくつも続き、さらに遠くには大きな山まで見えていた。別の方向には、森らしい濃い緑の塊もある。


 どこまでが第11階層なのか、見ただけではまったく分からない。


「え、これどんだけでかいの?」


 陸はしばらく遠くを眺めた。


 今までの階層なら、進む先は通路だった。曲がり角や分かれ道の向こうが見えないだけで、周囲には必ず岩壁があった。


 今は違う。


 見えているのに、その先が遠すぎる。


 戦闘用のスケルトンたちを連れたまま、陸は草原を少し進んでみた。エリナも遠くへは行かず、陸の近くを飛んだり草の上へ降りたりしながらついてくる。


 歩いても、歩いても、景色はほとんど近づいてこない。振り返れば階段の入口は少しずつ小さくなっているのに、正面にはまだ同じように草原が広がっている。


「やば……第11階層、全然別物じゃん!」


 風が吹き抜け、陸とエリナ、それに周りのスケルトンたちの間を通っていく。


 その先には、まだずっと草原が続いていた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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