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第80話 高速探索部隊、進化!

 陸は誘魔の香炉を止めると、その場にしゃがみ込むようにして管理画面へ顔を近づけた。


「じゃあ、進化見るぞ!」


 まずはスピードウルフスケルトンを一体選ぶ。


━━━━━━━━━━━━━━

【進化先を選択してください】


ナイトウルフ

速度と奇襲能力に優れた進化。


ダイアウルフ

筋力と耐久を中心に、

身体能力を大きく伸ばす進化。


シャドウウルフ

速度と魔力、特殊能力に優れた進化。

━━━━━━━━━━━━━━


「あ、これ前に見たやつだ!」


 ブラックウルフを進化させた時と同じ三つだ。あの時はシャドウクローンが面白くて、最後はシャドウウルフを選んだ。


 今回も詳細を開いていくと、ダイアウルフは筋力と耐久が高い。シャドウウルフも相変わらず特殊能力が魅力的だった。


 最後にナイトウルフの詳細を開く。


━━━━━━━━━━━━━━

【進化後予測】


ナイトウルフ

ランク:D

Lv.20


HP 102

MP  38

筋力 61

耐久 43

敏捷 98

賢さ 31


【獲得予定スキル】

アクセル

サイレントラン


【サイレントラン】

一定時間、

移動時に生じる音を大きく抑える。

━━━━━━━━━━━━━━


「敏捷98!?」


 陸の視線が数字に張りつく。


「もうすぐ100じゃん! しかもアクセルも残ってる!」


 その下に増えた新しいスキルへ指を動かす。


「サイレントラン……これも試したい!」


 陸はそのままナイトウルフを選択した。


━━━━━━━━━━━━━━

【進化が完了しました】


スピードウルフ

  ↓

ナイトウルフ


ランク:D

Lv.20

━━━━━━━━━━━━━━


「Dランク!」


 目の前にいたスピードウルフスケルトンを青白い光が包む。


 光が消えても、大きさはほとんど変わっていなかった。ただ、骨格は以前より少し細く引き締まり、四肢もすっきりと長く見える。


 陸はナイトウルフへ目を向けた。


「ちょっと走ってみて!」


 骨の狼が地面を蹴る。カッ、と最初の一歩だけ岩を踏む音がして、その直後、骨の身体を薄い青白い光が包んだ。


 四本の脚は激しく動いているのに、岩場へ触れる音がほとんど聞こえない。


「おお……!」


 あっという間に通路の先まで駆けていき、ナイトウルフが向きを変えて戻ってくる。


「速いのに静か! いいじゃんこれ!」


 陸は笑いながら管理画面へ戻った。


「よし、残りも全部ナイトウルフ!」


 同じ進化を残り十九体にも繰り返していく。一体、また一体と青白い光に包まれ、二十体すべてのスピードウルフスケルトンがナイトウルフへ変わった。


「次はバット!」


 Lv.20のジャイアントバットスケルトンを開く。


━━━━━━━━━━━━━━

【進化先を選択してください】


ソニックバット

速度と音による攻撃能力に優れた進化。


エコーバット

敏捷と感知能力に優れた進化。


グレートバット

筋力と耐久を中心に、

身体能力を大きく伸ばす進化。

━━━━━━━━━━━━━━


「ソニックバットある!」


 第7階層のボスだった姿を思い出し、陸の指が一度止まる。


「これも欲しいけど……ソニックバットはもう一体いるんだよな」


 グレートバットも開いてみる。正面から戦わせるなら悪くない。


 最後にエコーバットの詳細へ進む。


━━━━━━━━━━━━━━

【進化後予測】


エコーバット

ランク:D

Lv.20


HP 94

MP 52

筋力 43

耐久 36

敏捷 92

賢さ 55


【獲得予定スキル】

ダイブアタック

ワイドソナー


【ワイドソナー】

広範囲へ特殊な音波を放ち、

周囲の地形や生物の位置を感知する。

━━━━━━━━━━━━━━


「これだ!」


 陸は説明を読み終えるより早く声を上げた。


「飛べて速くて、周りまで探せるのか! 探索部隊にぴったりじゃん!」


 そのままエコーバットを選択する。


━━━━━━━━━━━━━━

【進化が完了しました】


ジャイアントバット

  ↓

エコーバット


ランク:D

Lv.20

━━━━━━━━━━━━━━


 青白い光が翼を包む。


 光が消れると、大きさは以前とほとんど変わっていない。翼は少し細長くなり、頭部の左右には音を拾うためのような骨の張り出しができていた。


「見た目もそんな変わらないな」


 陸はそのまま新しいスキルを使わせてみる。


「ワイドソナー!」


 エコーバットが翼を広げ、大きく口を開いた。音はほとんど聞こえない。


 けれど、少し離れた場所にいたナイトウルフたちが一斉に顔を上げた。エコーバットも頭をゆっくり左右へ動かしたあと、枝分かれした通路の一つへ身体を向ける。


「そっちに何かいるのか?」


 少し待つと、その通路の奥から岩を踏む音が近づき、トライデントを持ったリザードマンが姿を現した。


「おお! 先に分かるのか!」


 リザードマンがこちらへ走り出した瞬間、近くにいたナイトウルフ二体が飛び出した。今度はさっきまでよりさらに速い。


 リザードマンがトライデントを構えるより先に一体が横へ抜け、もう一体が反対側から脚へ食らいついた。


「速っ!」


 体勢を崩したところへ、エコーバットが上空から急降下する。


 ダイブアタック。


 骨の身体がリザードマンの背中へ直撃し、そのまま岩場へ叩き倒した。


「いい! めっちゃいい!」


 陸は思わず拳を握った。


 残る九体のジャイアントバットスケルトンも、すべてエコーバットへ進化させる。


 しばらくして、陸の前には二十体のナイトウルフと十体のエコーバットが並んでいた。


「揃った!」


 二体のナイトウルフに、一体のエコーバット。三体一組を十組。


 今までと同じ形なのに、並んでいる全員がDランクへ変わっている。


 陸は十組をそれぞれ別の通路へ向けた。


「第10階層、ボス部屋探してきてくれ!」


 二十体のナイトウルフが一斉に岩場を蹴り、その上を十体のエコーバットが飛び上がる。それぞれの組は枝分かれした通路へ散っていった。


 足音はすぐに小さくなり、翼の骨が青白い鉱石の光を横切っていく。陸は次々と見えなくなっていく新しい高速探索部隊を、その場で見送った。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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