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第75話 高速攻略!

 それから一日ほど。


 陸は家でサモンマップを開いた。


「どれくらい広がったかな」


 青白い地図が視界の前に広がる。第7階層の探索済みの通路は、前に見た時よりさらに伸びていた。


 陸は地図を動かしていき、ふと表示された文字で手を止めた。


━━━━━━━━━━━━━━

ボス部屋

━━━━━━━━━━━━━━


「……おっ! 見つかってるじゃん!」


「ぼす?」


 隣にいたエリナが画面を覗き込む。


「うん。第7階層のボス部屋!」


 表示を拡大すると、その近くには高速探索部隊一組の印がある。ほかの九組は、まだ第7階層の各所に散らばっていた。


 入口からボス部屋まで探索済みの道を追っていく。第6階層の時はかなり奥まで進まなければならなかったが、今回はそれよりずっと近い。


「今回は結構近いじゃん! しかも、送り出してからまだ二日くらいだろ。やっぱ速いな、こいつら!」


 前はボス部屋を見つけるだけでもかなり時間がかかった。高速探索部隊を作った効果は、はっきり出ている。


 陸はいつものように玄関から第1階層へ出て、探索中の全員へ帰還命令を出そうとした。


「……待てよ」


 全員を入口まで戻さなくても、直接ボス部屋へ向かわせられるかもしれない。


「ボス部屋って言えば、場所まで分かるのかな?」


 試しに一組へ意識を向ける。


 ボス部屋まで行ってみろ。


 そのままサモンマップを開いてしばらく見ていると、三体の印が向きを変えた。進んでいるのは、ボス部屋へ続く探索済みの道だった。


「おお、分かるんだ!」


 これなら全員を入口まで戻す必要はない。


 陸は続けて、入口に比較的近い三組だけを戻し、残りにはボス部屋前へ向かうよう命令した。


 命令を出し終えると家へ戻り、しばらくしてからサモンマップを確認する。やがて九体の印が第7階層入口付近へまとまった。


「そろったな。じゃあ行くか」


「バイクでいく?」


「もちろん」


 陸はエリナと一緒に第7階層入口へ移動した。


 階層転移の光が消れる。その先には、六体のスピードウルフスケルトンと三体のジャイアントバットスケルトンが待っていた。


 陸は所持アイテムからホバーバイクを取り出した。黒と銀の車体が青白い光の中から現れる。


「きょうは、ずっとこれでいく?」


「走れるところはな。どこまで時間縮められるか試してみようぜ」


 陸が座席へ跨がり、エリナを自分の前、脚の間へ乗せる。ハンドルを握って起動すると、四つの円形装置が青白く光り、車体が岩場からふわりと浮いた。


「しっかりつかまってろよ」


「うん!」


 ホバーバイクが一気に走り出した。


 一組が少し先を走り、もう一組が陸たちの近くにつく。残った一組は後ろから追い、三体のジャイアントバットスケルトンは高い位置を飛びながら前後を見ていた。


 第1階層とは違い、第7階層の道は平らではない。ごつごつした岩場が続き、細かな段差もある。通路が狭くなったり、大きく曲がったりする場所もあった。


 それでも、低く浮いた車体は細かな凹凸をほとんど拾わない。狭い場所や急な曲がりでは速度を落とす必要があったが、道が広がればすぐにまた加速できた。


「この道でも全然いけるな!」


「がたがたしない!」


 前に乗ったエリナが、楽しそうに足元の岩場を見下ろしている。


 陸はサモンマップで探索済みの道を確認しながら進んでいく。歩いていた時なら何度も休みながら進んでいたはずだが、今回は座ったままハンドルを操作しているだけでいい。


「しかも楽だな。第6階層の時とは全然違う!」


 途中、前方に魔物が現れても陸まで届かなかった。先を走るスピードウルフスケルトンが飛び込み、少し遅れて上からジャイアントバットスケルトンが襲いかかる。陸たちが追いつく頃には戦闘は終わっており、そのまま速度をほとんど落とさず通り抜けられる。


「リクのところまでこないね!」


「護衛つけといて正解だったな。このまま走れるのはでかい」


 さらに進むうち、横へ伸びた通路から別の高速探索部隊が駆けてきた。


「お、合流した!」


「またふえた!」


 その三体もすぐに陸たちの集団へ加わり、スピードウルフは前方へ、ジャイアントバットは上空へ回る。


 その後も進むにつれて別の組が合流し、周囲を走るスケルトンは少しずつ増えていった。


「やっぱりいいな。探すだけじゃなくて、移動中もそのまま使えるじゃん」


 そして、出発してから数時間。


 通路の先に、大きな両開きの扉が見えてきた。


「……マジか。もうボス部屋だ」


「もう? きょう、はやいね!」


 陸は速度を落としながら、大扉を見上げた。


 ボス部屋を見つけるまでの時間も、見つけてからここまで来る時間も、前の階層とはまるで違う。


 高速探索部隊とホバーバイク。その二つを組み合わせた攻略は、しっかり形になっていた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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