第73話 高速探索部隊、出発!
第7階層での香炉狩りは、そのまま続いた。
ジャイアントバットが飛び込んでくるたびに、前へ出ているスケルトンたちが迎え撃つ。倒した個体はすぐにスケルトン化し、まだ育っていないウルフやジャイアントバットと入れ替えながら戦わせていった。
Lv.10になったウルフは、その都度スピードウルフへ進化させる。最初はオークチャンピオンやオーガスケルトンが多かった戦場も、時間が経つにつれて骨の狼と翼を広げたジャイアントバットスケルトンばかりになっていった。
「おお、だいぶ揃ってきたな!」
陸は管理画面を開き、育成中の個体を順番に確認する。
スピードウルフはすでに二十体。ジャイアントバットスケルトンも十体まで揃っている。あとはレベルが低い個体をもう少し上げればいい。
「十五、十六……こっちは十七か」
早くから戦っていた個体ほど少し高く、後から入れた個体はまだ十五前後だった。
「まあ、全員同じにする必要はないよな」
今回必要なのは、ボス部屋を探し回れる速さと、第7階層の通常の魔物に負けない程度の強さだ。
また羽音が聞こえ、陸は管理画面を閉じた。
「よし、もうちょい!」
香炉へ引き寄せられたジャイアントバットが急降下してくる。二体のスピードウルフが左右へ散り、一体がジャイアントバットの着地地点へ先回りする。その横を、別のジャイアントバットスケルトンが翼を広げて飛び抜けた。
何度も同じ戦闘を繰り返すうち、気づけばかなり時間が経っていた。
「……エリナ、大丈夫かな」
家で一人、陸の帰りを待っているはずだ。
「できるだけ早く終わらせないとな」
陸はもう一度、育成中のスケルトンたちへ目を向けた。
そこからも戦闘は続いた。Lv.10になったウルフを進化させ、育った個体を残して次の個体を出す。ジャイアントバットスケルトンも順番に戦闘へ加え、全体のレベルを上げていく。
香炉狩りを始めてから、半日近く。
陸が管理画面を確認すると、最後までLv.14だったスピードウルフスケルトンもLv.15へ上がっていた。
「よし! ここまででいいか!」
他の個体も確認する。二十体のスピードウルフスケルトンと十体のジャイアントバットスケルトンは、全員Lv.15以上。高い個体はLv.17まで上がっている。
「これなら第7階層の普通の魔物に負けることもないだろ。速さも十分!」
陸は誘魔の香炉を止めた。
次は、いよいよ本来の目的だ。
「二体と一体で十組!」
スピードウルフスケルトンを二体ずつ、そこへジャイアントバットスケルトンを一体ずつ加える。三体一組の小さな部隊が、きっちり十組できあがった。
「完璧!」
陸は十組を連れて第7階層入口まで戻る。以前の探索で地図はかなり広がっているが、まだボス部屋は見つかっていない。
周囲へ伸びる通路を見ながら、陸は命令した。
「それぞれ別の方向に進んで、第7階層を探索してきて」
十組のスケルトンたちが一斉に動き出す。
「ボス部屋を見つけたら、そこで待機!」
骨の狼たちが岩場を蹴り、ジャイアントバットスケルトンが翼を広げる。十組の部隊は、それぞれ別の通路へ次々と消えていった。
「よし。あとは頼んだ!」
陸はそのまま階層転移で家へ戻る。
玄関を開けた瞬間、小さな影が部屋の奥から飛んできた。
「リク!」
「うわっ」
エリナが翼をばたつかせたまま陸の胸元へ飛びつく。
「ただいま。ごめんな、待たせた」
「かえった!」
「帰った帰った」
陸は笑いながら、エリナの頭を何度も撫でた。琥珀色の目を細めたエリナが、嬉しそうに陸へ身体を寄せる。
「今日はありがとな。明日はいっぱい遊ぼう」
「いっぱい!」
「おう!」
高速探索部隊は無事に送り出せた。
陸はまだ身体を寄せているエリナを、もう一度ゆっくり撫でた。
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